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コトタさんの教えて!春秋戦国 第7回

なた「えっと、前回は当初いい感じだったのに、

   最後にはダメダメになった宣王について話しました」

コトタ「とっても残念です」

なた「今回は予告通り西周最後の王についてお話していきます」

コトタ「最後の王って言うと桀王や紂王のイメージが強くて、

    全然期待ができないんですが……」

なた「ええ、似たようなもんです」

コトタ「ふええ……」

 

西周最後の王

なた「先に言っておきますが、ご存知の通り周自体は東周に引き継がれるので、

   周最後の王というわけではありません」

コトタ「あえて西周と東周に分けるのは、

    それだけの大事件があったってことですよね」

なた「その通り。

   で、最後の王は姫宮涅(宣王の息子)で、幽王と呼ばれます。

   紀元前781年に即位しました」

コトタ「幽王嫌い!!」

なた「その言葉は後で出てきそうですけど、まだ早いです!!!」

コトタ「早とちりしてしまいました」

なた「幽王の治世は早速ひどかったようで、

   大地震が起きたり、山が崩れたり、3つの川が枯れたりしています」

コトタ「それは幽王どころか誰にもどうしようもできないのでは……」

なた「君主がダメダメだと天変地異が起こるってのは中華の基本ですからね。

   利を好み民を顧みない佞臣らを重用し、政治は非常に乱れていたそうです」

コトタ「つまり、宣王末期から変わらないってことですね」

なた「ええ。

   前回宣王を救った奄父の子、つまり馬車自信ニキの7代孫である叔帯は

   幽王のひどさに耐えきれず周を離れ、晋の文侯に仕えたそうです。

   後に晋で趙氏が栄達するきっかけとも言えますね」

コトタ「晋……文……、まさか春秋五覇の!?」

なた「そっちは晋の文公で、100年ぐらい先の人ですね」

コトタ「早とちり2回目……」

なた「早とちりの種類が違うと思いますがね。

   いずれにせよ、何代も王のそばで仕えた重臣ですらが

   離れる程ひどかったってことです」

コトタ「幽王のひどい部分がわかる具体的なエピソードはないんです?」

なた「ありますよ。

   それこそ冒頭で話した通り、桀王と紂王と似たようなのが」

コトタ「幽王嫌い!!!」

なた「落ち着いて!まだ話してません!!

   桀王には妹喜、紂王には妲己がいましたが、

   幽王には褒姒という美女がいましてね」

コトタ「褒姒……」

なた「褒姒は絹が破れる音が好きでしてね。

   幽王は褒姒の喜ぶ顔が見たくて、大量の絹を集めたそうです。

   当然民衆から収奪した物も多かったでしょう」

コトタ「そのエピソードにデジャブが……」

なた「ああ、桀王と妹喜のエピソードと全く一緒です。

   恐らく褒姒のエピソードを流用したのでしょう」

コトタ「時系列的に逆では?」

なた「ほら、夏王朝は先史時代で記録がほとんどないですからね。

   王を惑わせた傾国の美女という共通点で、

   有史以降の褒姒のエピソードが丁度よかったのかと」

コトタ「なるほど」

なた「ちなみに褒姒は幽王の正妻ではなくて、

   既に正妻である申后(申侯の娘)との間に産まれた太子もいたんです」

コトタ「あ、わかりました。

    寵姫の褒姒が産んだ子を太子に指名しようとした?」

なた「大正解!

   石父(虢公)という佞臣が幽王の側近として政治を担っていたのですが、

   褒姒と協力して申后と姫宜臼の讒言を繰り返しました」

コトタ「まさに佞臣」

なた「幽王は案の定申后と姫宜臼を冷遇する様になったのです。

   紀元前777年に姫宜臼は申后の母国である申へ亡命しちゃってます」

コトタ「太子が亡命って……」

なた「その3年後には正式に褒姒は正妻、つまり王后となり、

   息子の姫伯服が立太子されました」

コトタ「やっちゃった!!」

なた「やっちゃったことに対して太史の伯陽は

   "周はもうすぐ滅びるし、どうしようもできない"と言葉を残してますね」

コトタ「そうでしょうね……」

なた「幽王の評判は地に堕ちており、政治も乱れていたのもあり、

   異民族は中原を侵略してきます。

   そして何より味方であるはずの申侯が幽王に敵意を向けたのです」

コトタ「娘と孫が身勝手にも廃されたんですものね」

なた「ええ。

   個人的な感情もあると思いますが、長子相続のルールも破ってますしね。

   申侯は西戎や諸侯らに会って盟を結んだようです」

コトタ「反撃ですね!」

なた「紀元前772年、幽王が先に動きました。

   申国にいる姫宜臼を殺す為に返還を要請したのです」

コトタ「そんなの聞くわけないでしょう」

なた「もちろんです。

   紀元前771年となり、幽王は申征伐の兵を挙げました。

   しかーし、申侯は友好諸侯と共に西戎を中原に招き入れ、

   カウンターで周都の鎬京を攻めたのでした」

コトタ「決戦が始まった、と」

なた「いいえ、決戦って程のことは起きてません」

コトタ「えっ」

なた「さっき褒姒の絹のエピソードをしましたが、

   あれって褒姒が全く笑わないのが原因でしてね。

   幽王は褒姒を喜ばせたい、笑わせたくてやってたわけです」

コトタ「それと決戦に関係が?」

なた「褒姒を笑わせる為に幽王はもうひとつ別のことをしてたんです」

コトタ「ほほー?」

なた「周は侵略を受けた際の招集連絡手段として、

   各地に狼煙と太鼓を設置していました。

   ある時、事故なのか理由なく狼煙を上げてしまい、

   諸侯が各地から集まってきたのです」

コトタ「ふむふむ」

なた「敵の侵略もない為、集まった諸侯はぽかんとした表情をしました。

   そんな諸侯の姿を見て褒姒は大笑いしたのです」

コトタ「あっ……まさか……」

なた「幽王は絹を破るのと同じように、

   何度も何も起きていないのに狼煙を上げました。

   その度に諸侯が来て、褒姒が笑ってくれるからです」

コトタ「暗君っていうかアホですね?」

なた「女性でダメになるタイプの究極でしょう。

   で、そんなことを繰り返ししていた為、

   いつしか諸侯は狼煙が上がっても集まらなくなったのです。

   "どうせまた幽王の戯れだろう"と」

コトタ「そして本当に申や西戎が侵略してきたのに?」

なた「ええ、諸侯は集まりませんでした。

   幽王と姫伯服は殺され、褒姒は捕縛され、

   周の財宝は西戎に全て奪われました」

コトタ「西周の終末でしょうか」

なた「ですね。

   早速、申侯ら諸侯によって姫宜臼が即位しました。

   東周の平王と呼びます」

コトタ「何故東周なんです?」

なた「鎬京はこれまでの戦いでも荒れ果て、

   さらに西戎から近く危険だという理由で、洛邑に遷都したんですよ」

コトタ「ああ、東の都に遷ったから東周ですか」

なた「で、実はこの時期もう1人周王がいましてね。

   虢公翰(佞臣 石父の子?)が宣王の子の姫余臣を虢で即位させてるんです。

   一般的には携王と呼ばれております」

コトタ「虢ってどこらへんです?」

なた「後々河南へ遷りますが、この頃だと陝西省辺りですね。

   携王は鎬京にいたので、虢は程近い場所と言えます」

コトタ「2王が並立してますが、とりあえずは一件落着でしょうか?」

なた「でしょうかね?

   何が解決したかって言われると微妙ですけど……」

コトタ「確かに微妙……」

なた「でもまあ次回から東周編、

   というか春秋編に入るので一区切りですね!」

コトタ「じゃあ節目になると思うので、年数カウントしましょうか。

    今は紀元前771年でしたっけ?」

なた「はい、合ってます。

   第7回までで合計すると299年進みました!」

コトタ「おー!

    始皇帝の天下統一が紀元前221年ですから、残り550年分ですね!

    あれ?@15回ぐらいで終わるんじゃ?」

なた「そうはいかないでしょうね。

   ここからは春秋時代、つまり周以外の諸侯国の記録が増えてきますから」

コトタ「そうだった!!!」

なた「なるべく細かいのはスルーしますけどね!

   というわけで今回はここで終わりましょう」

コトタ「はい!

    次回また会いましょう!!」

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