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コトタさんの教えて!中国史 武将編 第5回 陳慶之 後編

なた「さて、陳慶之の続きをやっていきましょう」

コトタ「前回の半分以上が南朝や蕭衍の話だった気もしますが……」

なた「それは全て陳慶之の話ですから!

   とりあえず陳慶之の事績を全て詳しく話してしまうと、

   さすがに3回に分けることになってしまいますし、

   簡単に出来事を話していって何とか2回に収めます」

コトタ「フラグでは……」

なた「大丈夫です!!」

 

馬が苦手な将軍

コトタ「馬が苦手?

    馬姓の武将がライバルとかだったり?」

なた「いえ、そのまま馬に乗るのが下手だったみたいです。

   あとは個人武技も同様に苦手でした」

コトタ「ほええ……」

なた「では本題へ移りましょう。

   サブタイトルについての話題はここで終わりです」

コトタ(それって今回のサブタイトルとしては不適格なのでは……)

なた「えーっと、526年からですね。

   また北魏と戦ってるのですが、その際に夏侯亶に従っています。

   なんと陳慶之は52の砦を陥落させ、敵将を降し、

   7万以上の人口を手に入れたのでした」

コトタ「やっぱり強いですね……。

    砦の規模がわかりませんが、それでも簡単にできることではないですし」

なた「ええ。

   そのまま続けて527年、今度は曹仲宗に従ってるのですが、

   北魏は15万の大軍を派遣してきました。

   陳慶之はこの大軍を迎え撃とうと考えますが、同僚に止められます」

コトタ「15万はなかなか厳しい人数ですよね……。

    梁軍がどれくらいいたかにもよりますが」

なた「全体でどれくらいかはわかりませんが、

   とりあえず陳慶之と同僚の会話を見てください」

 

陳慶之「北魏は15万ですか。

    うーん、先鋒だけでも潰しておきたいですねぇ」

同僚「おいおい、陳慶之よ。

   兵法にもある通り、敵を疲れさせるのが上策だ。

   先鋒に勝っても功績は少ないし、負けてしまっては

   我らの士気が下がってしまうぞ」

陳慶之「いいえ、逆ですよ。

    むしろ北魏の兵士は遠方から攻めてきてるので、

    こっちより疲れてます。だからこそ15万全軍が集結する前に、

    先鋒だけでも潰したいのです」

同僚「お前に勝てるのかい?」

陳慶之「そんなに疑うならいいでしょう。

    私ひとりで行きます。そうですね、騎兵を200程連れていけばよいでしょう」

同僚「200騎だって!?」

陳慶之「ではいってきます」

 

コトタ「15万全体ではないとは言え、200!?!?」

なた「はい。

   その200騎だけで北魏の先鋒を打ち破ってます。

   これには北魏の兵も驚き、陳慶之を恐れていますね」

コトタ「そりゃそうですよね……」

なた「この戦いは1年程続き、北魏が後方を脅かそうとした為、

   曹仲宗は撤退を考えましたが、陳慶之がそれを止めています。

   "兵は死地だからこそ生きる道を探すものです"的な話をしたところ、

   曹仲宗は納得し、撤退せずに北魏へ攻撃をしたのです」

コトタ「それでそれで?」

なた「陳慶之の活躍もあって勝利していますよ。

   これで前回の元法僧の件から続いていた徐州戦線は安定したのです。

   蕭衍はこの結果に大満足し、陳慶之を絶賛しています」

 

蕭衍「将軍の子孫じゃなくても、貧乏な家の出身でも、

   能力があればここまで昇進できるもんなんだなぁ。

   陳慶之、お前はすごい男だ!!!」

 

コトタ「つまり陳慶之は特に恵まれた環境でもなかったのに、

    自身の才知だけでここまで勝ってきた、と」

なた「そうなんですよ。馬は乗れなくとも頭が良かったし、

   エピソードを見てる限り肝が座ってたんでしょうね。

   さて、どんどん続けましょう」

コトタ「はーい」

なた「続いて529年ですが、北魏からまたも皇族の元曚梁に亡命してきました。

   彼が亡命した経緯を説明すると長くなりますので端折りますが、

   "北魏では専横してる奴がいて困ってるので、俺が皇帝になる手伝いをしてくださーい!"

   というわけです」

コトタ「わぁ、端折りすぎてよくわからなーい」

なた「蕭衍は元曚慮斥佞亡尭阿掘

   "よっしゃ!じゃあうちの陳慶之がお前さんを守って北伐に向かおうじゃないか"

   と7000の兵を与えています。

   そして元曚呂修里泙濤陳襪紡┛未掘陳慶之を魏の前軍大都督に任じています」

コトタ「ん……?」

なた「どうしました?」

コトタ「いえ、色々ツッコミどころが多すぎて……。

    一番インパクトあったのは、与えられた兵がたった7000ですか……?」

なた「はい、北魏の首都である洛陽を攻めるのに7000です」

コトタ「いやいやいやwww」

なた「それが経緯は省きますが、陳慶之勝っちゃってるんですよ」

コトタ「!?」

なた「たった5ヶ月弱で47回戦闘をしており、32の城を陥落させています。

   30万の大軍をたった3000でボコボコにしたなんて話もありまして……」

コトタ「強いってレベルじゃないですよ!?!?」

なた「その後、元曚板跳椎靴詫賤枡りするのですが、

   まあ元曚辰討修鵑覆卜匹た佑任發覆てですね。

   政治を疎かにして酒色に溺れてたんです。

   北魏での地位もさらに昇進した陳慶之がしっかりと統率はしていたものの、

   元曚歪跳椎靴鯀造泙靴想い、そして危険視し始めます」

コトタ「まさか……」

なた「ああ、これまでみたいに陳慶之が殺されたりはしませんよ。

   じゃあとりあえず会話シーンいきましょう」

 

陳慶之「うーん、陛下、このままだとまずいですね」

元曄峅晋里澄

陳慶之「いやあ、皇帝に即位したとは言え、周りは敵だらけです。

    それなのに兵の数は少ないですし」

元曄峅燭言いたいのだ」

陳慶之「我が君(蕭衍)に頼んで精兵を送ってもらいましょう。

    そうしないと魏はここで滅びちゃいます」

元曄屬修Δ……。お前がそう言うなら……」

側近「陛下、お待ちください(ヒソヒソ」

元曄屬匹Δ靴拭」

側近「陳慶之の兵数は数千しかいないというのに、

   それでも彼を抑えることは難しいでしょう?

   もしこれ以上彼の兵が増えたら、それこそ魏は滅びます(ヒソヒソ」

元曄屬佞……。

   陳慶之よ、とりあえず下がるがよい。

   此度の件は一旦考えておく」

陳慶之「承知しました」

 

なた「元曚歪跳椎靴裏切ると疑い、蕭衍に使者を出して伝えます。

   "こっちは安定してますし、あとは専横してた奴を捕えるだけです。

    それも陳慶之がいれば簡単です。しかし、今は安定させないといけない時期なので、

    民衆が動揺してしまう可能性がありますし、梁から兵を送るなんてやめてくださいね"と」

コトタ「陳慶之の兵を増やさない為に、ってことですね」

なた「ですです。

   ここで陳慶之は副将に独立を薦められていますが断っています。

   ただ、洛陽にいても元曚簑Χ畸に疎まれてるのはわかっていました。

   その為、陳慶之は元曚"徐州へ行かせて欲しい"と願い出たのでした」

コトタ「何故徐州です?」

なた「陳慶之は一連の北魏との戦いで、徐州刺史にも任じられていたんですよ。

   だけど元曚"蕭衍様は洛陽を我々に任せたのに、徐州へ行くなんておかしい!"と

   認めず、その後陳慶之はそのことは触れずに、我慢の日々が続いたのです」

コトタ「うーん……」

なた「そうこうしてる内に、元々の北魏勢が力を盛り返してしまってですね。

   100万を超える大軍勢が洛陽を攻めてきたのです」

コトタ「えええええええええ」

なた「まあ当然なんですが、元曚亙瓩蕕┐蕕譴峠莊困気譴討い泙后

コトタ「陳慶之は……?」

なた「一旦洛陽から離れてますね。黄河を北に渡って、北中城を守ってました。

   そこで3日間で11回の戦闘があり、かなりの損害を与えたようで、

   北魏軍は撤退しちゃってます」

コトタ「ひええ」

なた「しかし、さすがの陳慶之でも数千の兵だけで

   100万を倒せるはずがないので、梁へ撤退しようとしました」

コトタ「陳慶之ならできそうなのが怖い……」

なた「ちょうどその頃に洛陽が陥落して、元曚捕らえられてですね。

   北魏の大軍は陳慶之を追撃」

コトタ「陳慶之は転身して大軍を……!?」

なた「いえ、100万全部ではないとは言え、抵抗しきれなかったようです。

   しかも洪水に巻き込まれて梁軍は散り散りになっちゃってます」

コトタ「無敗じゃなくなった……」

なた「陳慶之は髪の毛やヒゲを全て剃り、お坊さんに擬態し、

   何とか梁の都である建康(建業)へ帰り着いたのでした」

コトタ「無事ではあったんですね、良かった……」

なた「陳慶之は北伐の功績から右衛将軍に昇進しております。

   その後は内政の才能も発揮しつつ、幾度と北魏やら賊やらと戦って全て勝利してます」

コトタ「わーお」

なた「536年には宇宙大将軍が7万を率いて攻めてきてますが、

   それも撃退してます」

コトタ「宇宙……?

    ふざけないでくださいね?」

なた「いえ、大真面目です。

   まだこの頃は宇宙大将軍にはなってませんが、

   後々宇宙大将軍を名乗る侯景という東魏の将軍がいたんですよ」

コトタ「本当に……?

    それにしても東魏?北魏はどうなったんです?」

なた「六鎮の乱ってのが起きましてね。

   西魏と東魏に分かれちゃってます」

コトタ「結構な大事件起きてたーーー!?」

なた「そこらの話はまた北魏末期の人物を語る時にしましょうかね」

コトタ「ですね。

    陳慶之に戻しましょう」

なた「と言ってももう終わりでしてね。

   539年、陳慶之は亡くなってます」

コトタ「死因は……?」

なた「病死とも戦死とも記述はないですし、最後まで蕭衍に疎まれたりもしてません。

   56歳なので老衰というのも考えづらいですが……」

コトタ「"ほぼ無敗"の名将は平和的に亡くなった、と」

なた「そういうことですね。

   梁書でも南史でも陳慶之は大絶賛されてましてね。

   晩年を汚したりすることもなかったのも大きいでしょうね」

コトタ「強くて良い人、陳慶之でしょうか」

なた「です。

   ここからは余談ですが、先程登場した宇宙大将軍こと侯景は梁を滅ぼしてましてね」

コトタ「えっ」

なた「残念ながらなんだかんだあって蕭衍は幽閉されて憤死しております。

   その後、色々あって侯景は漢の皇帝に即位しちゃってるんです」

コトタ「あの……、なたさん。

    南北朝は八王よりカオスな気がするんですが……?」

なた「そうですよ???」

コトタ「……」

なた「そんな宇宙大将軍改め漢皇帝の侯景もすぐに殺されてしまいまして、

   しかも梁は後梁として復活してます」

コトタ「もう何が何だか……」   

なた「さらに時が流れると、教科書に載ってる可能性が高い三国志人物のひとり、

   陳羣と同じ潁川陳氏の陳覇先が禅譲を受けて陳を建国してまして、

   それが最後の南朝です」

コトタ「"教えて!南北朝"をやるつもりですか!?」

なた「やるならもっと詳しくやりたいですよ!!

   ただ、これだけは言っておきたくて」

コトタ「これだけ?」

なた「その陳を滅ぼしたのが隋なんです。

   まあすぐに唐に変わってますが、後漢末期から続く400年にも渡る戦乱

   が漸く終わったってわけです」

コトタ「つまり、陳慶之は戦乱終末期を生きた名将だったってことですね!!」

なた「うまく繋げてくれましたね!

   では今回はここまでとしましょう」

コトタ「次回をお楽しみに!!!」

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