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コトタさんの教えて!中国史 武将編 第2回 岳飛 前編

 

なた「さて第2回です」

コトタ「今回は岳飛ですね」

なた「本場中国では、"中国史上最大の英雄"と呼ばれてるらしいです。

   日本では馴染みがないですけど」

コトタ「でも知名度は低くないですよね?」

なた「ですね。

   コーエーSLG三国志では古武将として超高性能武将で登場してますし」

コトタ「三国志のが"いにしえ"なんですが……」

なた「あくまで"中国史上最大の英雄"という点で、

   日本では馴染みがない、といったところでしょうか」

コトタ「ふむふむ」

なた「とりあえず本編始めますね」

コトタ「始め方が雑ですね……」

 

宋は忠を尽くすべき国だったのか?

なた「岳飛については"説岳全伝"という清代の小説で生涯が語られているのですが、

   これは三国演義同様に講談師が語り継いだ内容をまとめたようなものでして、

   史実ではありません」

コトタ「花関索伝みたいなものでしょうか?」

なた「あっちは主人公が架空ですし、ちょーっと違いますね。

   えっと、その説岳全伝を和訳したものが

   銀英伝で有名な田中先生の"岳飛伝"でして、

   なたちゃんの好きな小説ベスト10に入る面白い作品です」

コトタ「今度読んでみます」

なた「それとは別に北方先生も水滸伝三部作の最終作として"岳飛伝"を書いてます」

コトタ「しかし、それらは全部創作の岳飛?」

なた「ですです。

   史実の岳飛については宋史(北宋と南宋の正史・元代に編纂)に記述があります。

   あとは十八史略(神話〜南宋までをまとめた編年体の史書)などなどですね」

コトタ「当然ですが正史に列伝されてる?」

なた「もちろん。

   ただ……、いえ、そこは後回しにして、

   先に岳飛の生涯を説明しちゃいましょう」

コトタ「何か含むものがあるんですね……」

なた「岳飛はここまでも触れてる通り宋代の人物です。

   時期的には北宋末期〜南宋に活躍してます」

コトタ「女真族の王朝、金が北宋を滅ぼしたんでしたっけ?」

なた「よくご存知で。

   岳飛は農家の出身でしたが、学問や読書を好み、

   膂力も立派で、幼少時から弓術に優れていたそうです」

コトタ「文武両道……」

なた「さらに、比較的貧乏な家だったようですが、

   恵まれない人たちの救済をしたりと人格者みたいでした。

   代々農家の家系だったようなので、それなりにお金はあったと思いますがね」

コトタ「文武両道で良い人とかチーターじゃないですかー」

なた「で、その当時の宋は、というか中国大陸の北東部は

   遼という契丹族の王朝に征服されていました」

コトタ「金じゃないんですね」

なた「ええ。

   遼は五代十国の頃から北東部を征服してたので、

   宋にとっては目の上のたんこぶ状態でした。

   まあお互いに貿易を行ってて、一応は仲良くしてたんですがね」

コトタ「でも異民族国家が長城の壁もない近くにあれば怖い?」

なた「そうなんですよ。

   もし戦争になったとしても宋は負けてしまいます」

コトタ「えっ……。何故です?」

なた「宋は科挙の影響もあってか、文官に大きな権力があってですね。

   武官が育ってなかった為、兵士は弱兵と有名だったんですよ」

コトタ「あらら……。

    あ、北東部っていうと、現代で言う北京とかですか?」

なた「ですです。

   北京は遼の南京ですがね(ややこしい)。

   当時は燕京と言いますが」

コトタ「"教えて!三国志"でそんな話ありましたね!」

なた「でしたね。話を戻しますが、

   そんな宋の弱兵だけでは遼から北東部を奪還することはできません」

コトタ「そこで岳飛が活躍して……!!」

なた「いや、まだです。

   ここでタイミングが良いのか悪いのか、女真族の金王朝ができるのです」

コトタ「ほう……?」

なた「位置的には遼よりさらに北でしてね。

   元々女真族は遼に隷属してて、圧政で虐げられてたんです。

   それもあってか、力をつけた女真族は金を樹立すると当然ながら遼と対立しました」

コトタ(岳飛の生涯ってより北宋末期の話してないですか……?)

なた「となれば宋も"金と結んで遼を挟み撃ちしたらいいんじゃね!?"

   って流れになりますよね」

コトタ「敵の敵は味方ですしね。

    遠交近攻ってのもありましたし」

なた「というわけで、宋と金は盟約を結び、共に遼を攻めたのです。

   丁度岳飛が義勇軍に参加した1122年のことでした」

コトタ「さすがに遼は滅びる?」

なた「です。

   1125年に遼は"金によって"滅ぼされています」

コトタ「金宋同盟によって……では?」

なた「いやあ、宋側は負け放題スマッシュブラザーズでしてね。

   金に頼って何とか勝ち馬に乗ったみたいなものなので」

コトタ「あらら……。

    あの、岳飛は何してたんです……?」

なた「遼との戦いには参加していませんが、

   100人を率いて計略を用いて賊討伐に成功したり、

   文武両道通りの活躍をしています」

コトタ「歴史に名を残すようなことはまだしていない、と」

なた「ええ。

   で、また北宋末期の話に戻っちゃいます。

   遼が征服していた北東部なんですが、ほとんど金が制圧しちゃってですね」

コトタ「まあ……致し方ないですよね……」

なた「その癖、宋は金に払う約束だった支払いを反故にしてまして」

コトタ「ええ……」

なた「金からしたら"遼も倒せたんだし、弱い宋も滅ぼせばよくね?"ってなりますよね」

コトタ「うーん……。

    なるんでしょうかねぇ……」

なた「残念ながら当然で、金はそうなったんです。

   すぐに金は宋の都である開封を一斉包囲しています」

コトタ「展開がはやーい!」

なた「狼狽えた北宋の皇帝たる徽宗は退位することで責任を取りました。

   また、お金と領地と人質を差し出して何とか金の怒りを宥めたのです」

コトタ「戦っても勝てませんものね……。

    あれ?北宋の皇帝はどうなったのです?」

なた「子の欽宗が継いでいます。

   そこで改元されて、元号が靖康となっているのですが」

コトタ「ふむふむ」

なた「怒りが収まった金軍が燕京に撤退したのをいいことに、

   宋はよせばいいのに余計なことをします」

コトタ「今度はなんですか……」

なた「差し出した領地にやってきた金軍を攻撃したんです」

コトタ「ええ……」

なた「しかも遼の残党を唆したり、プライドないこともやってます」

コトタ「あの……西晋末期よりひどくないですか……?」

なた「かもしれないですね。

   当然金は激おこで1126年、つまり靖康元年に再び開封を包囲し、

   遂には攻め落とし、徽宗と欽宗を捕縛し、北宋は滅びてしまいました」

コトタ「ふええええ!?」

なた「これを"靖康の変"と言います」

コトタ「ああ、なるほど。

    だから靖康の改元について触れてたんですね。

    それにしても何で北宋は意味不明な行動を繰り返したんです……?」

なた「そこが岳飛の最期にも繋がるお話でしてね。

   金に対する姿勢として、当時の宋は主戦派と和議派に分かれてたんですよ」

コトタ「つまり和議派の献策で領地や人質だけで何とか国を保持できそうだったのに、

    主戦派が余計なことをした為に滅びてしまった?」

なた「そういうことですね。

   で、宋の残党は欽宗の弟の康王の元に集まり始めます」

コトタ「お?」

なた「宗沢という文官が司令官として軍を指揮し、

   そこには兵卒から将軍まで上り詰めた韓世忠、

   そして賊討伐で名を挙げたとは言え農家出身の岳飛がいたのでした」

コトタ「主役が目立たない回ですね……」

なた「文官が将軍になるのが当たり前の宋王朝でしたが、

   ちゃんと武人として戦える人物が将軍に選ばれてるあたり、

   宋の変化がわかりやすいですよね」

コトタ「康王政権下の宋では和議派より主戦派が

    主流だったってことでしょうか」

なた「正解!

   さて、息を吹き返したようにも見える宋は果たしてどうなるのか!

   今回はここら……」

コトタ「待ってください!!!

    全然岳飛の話してませんし、話が締まってませんよ!!!」

なた「えっと……、岳飛は前後編にしようと思ってまして……」

コトタ「1人の話を複数回やったらだれてしまうって話してませんでしたかーー!?」

なた「それでは次回をお楽しみに!!」

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