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コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第116回

なた「この調子なら予定通りの最終回を迎えられそうです」

コトタ「ほう?」

なた「回数と内容を今更ながら計算してみました」

コトタ「最終回目前にすることじゃないでしょう」

なた「仰る通りで……」

コトタ「じゃあ本編お願いします!!」

なた「はーい」

 

その後の漢王朝・その3

なた「今回は劉氏諸侯王のお話がメインです」

コトタ「そう言えば文帝の息子達が封じられてない?」

なた「ですね。

   その前に他の諸侯王の子弟のフォローをしてましてね。

   趙王の劉遂(劉邦の孫)の弟である劉辟彊を河間王に、

   朱虚侯の劉章(劉邦の孫)を城陽王、

   東牟侯の劉興居(劉章の弟)を済北王に封じています」

コトタ「劉章がやっと報われたってことですね」

なた「それから文帝は自分の息子である3人を王にしました。

   劉武(恵帝の息子を自称したのとは別人)を代王に、

   劉揖を梁王に、劉参を太原王に封じています」

コトタ「一気に6人の劉氏諸侯王が増えたってことですか」

なた「ですね。

   あ、劉氏諸侯王で思い出しましたが、

   燕王の劉沢(劉邦の一族)が亡くなってまして、

   息子の劉嘉が後を継いでいますね」

コトタ「劉邦時代の人物がどんどん消えていきますねぇ……」

なた「どんな人でも年齢には勝てませんからね。

   さて、紀元前177年に入ります」

コトタ「次はどんな話です?」

なた「そのまま諸侯王のお話が続くんですがね」

コトタ「また増えた?」

なた「いえ、まず城陽王になったばかりの劉章が亡くなり、

   息子の劉喜(劉邦の兄とは当然別人)が後を継ぎました」

コトタ「まだ若いのに……」

なた「どんな人でも(この時代の医療技術だと)病気には勝てませんからね……。

   で、次は淮南王の劉長なんですが」

コトタ「諸侯王の中では唯一の劉邦の息子ですね」

なた「ええ。

   その劉長が結構な事件を起こしてましてね。

   劉長の生母の趙姫が貫高事件の影響で死んだって話はしたと思いますが、

   そこを少しだけ詳しく話しておきましょう」

コトタ「お願いします」

なた「趙王だった頃の張敖(張耳の息子)が劉邦に美人を献上してましてね。

   それが劉長の母の趙姫だったんです」

コトタ「張敖から献上……。

    だから貫高事件で巻き込まれてしまった?」

なた「そういうことです。

   この企画でも話したように張敖や貫高自身は許される結果となりましたが、

   趙姫はそのまま獄中に入ってましてね」

コトタ「何で!?」

なた「呂雉が趙姫に嫉妬したからですよ。

   劉邦の寵愛を受けて生き延びた夫人はいませんから……」

コトタ「ああ……」

なた「趙兼(趙姫の弟)が呂雉の腹心たる審食其に

   "姉の釈放を皇后(当時は呂雉)に執り成してもらえないだろうか"

   とお願いしたんです」

コトタ「でも審食其は呂雉の嫉妬心を知っているから何も言わない?」

なた「その通り。

   結局趙姫は劉長を獄中で出産し、怒りの余り自殺したのでした。

   劉長は呂雉を母として養育され、呂雉に従っていたのもあり、

   他の劉邦の息子と違って被害がなかったんです。

   しかし劉長は"審食其が母を見殺しにした。許さん"と

   ずっと審食其を憎んでいたのでした」

コトタ「思えば審食其はまだ生きてたんです?」

なた「もちろん生きていますよ。

   文帝即位と同時に丞相ではなくなってますがね。

   さて、劉長は自分が文帝に一番親しい間柄だってこともあって、

   かなり自由奔放な生活をしてましてね。

   法を犯すことも度々あったのですが、文帝は特に咎めませんでした」

コトタ「それもどうかと思いますが……」

なた「しかも劉長は文帝のことを"陛下"と呼ばずに"大兄"と呼んでいたのです。

   この企画では登場人物の1人称や2人称をわかりやすく雑にしていますが、

   本来はそんなのは許されませんからね」

コトタ「劉長を抑えつけることはできないんです?」

なた「他の諸侯王はもちろん、薄太后や劉啓(文帝の息子)すら

   劉長を恐れていたそうですからね。

   さらに主君である文帝が甘々な対応しているのもあって、

   群臣では何ともできませんし」

コトタ「文帝しっかり!?」

なた「そんな劉長は力自慢でしてね。

   鼎を持ち上げることができたって逸話を考えると、

   筋力だけなら項羽と並んでいた可能性もあります」

コトタ「それは誰でも恐れますね……」

なた「で、本題の劉長が起こしてしまった事件です。

   劉長は審食其に会いに行ってましてね」

コトタ「まさか!?」

なた「はい、そのまさかですね。

   劉長は審食其をハンマーで撃ち殺して、従者に首を斬らせています」

コトタ「やっちゃったー!?

    さすがに呂雉の腹心とは言え、劉邦時代からの重臣ですから

    文帝もこれは許すことができないんじゃ……?」

なた「いえ……。

   劉長は審食其殺害後、そのまま文帝の元へ向かって謝罪してましてね。

   文帝はこの事件が趙姫の仇討ちだと知っているので、許しちゃってるんです」

コトタ「ええ……」

なた「劉長は淮南国に帰ってからさらに自由奔放さに磨きがかかってしまい、

   遂には皇帝と同じような儀礼や政治を行うようになったのでした」

コトタ「さすがに放置してはまずいと思いますよ……」

なた「実は直言マンの袁盎も諫言してるんですが、

   これまで話を聞いていた文帝も劉長のことについては耳を貸さなかったそうです」

コトタ「袁盎の言葉でも無理ならどうにもできないですね!!!」

なた「ですね!!!

   このまま諸侯王の話を続けて行きますが、

   今度は済北王になったばかりの劉興居です」

コトタ「兄の劉章は亡くなりましたが、劉興居には何が?」

なた「謀反を起こしています」

コトタ「何で!?」

なた「そこまでの経緯を話さないといけませんね。

   諸侯王の話題から一旦離れるのですが、

   この頃、周勃が丞相を辞めてまして」

コトタ「えっ」

なた「文帝が"列侯は封国へ赴いてください"という詔勅を出していたんですがね。

   テキトーな理由で詔勅を無視して長安に残ってる人が多くいたのです。

   朝廷にいて権力を握っていたかったからでしょうけど」

コトタ「呂産や呂禄も王に封じられてたのに長安に残ってましたものね」

なた「というわけで文帝は最終手段を使ったんです。

   "私が一番重んじている丞相(周勃)を封国に行かせるので、

    みんなも行ってくださいね"と」

コトタ「それで周勃が丞相を辞めたってことですか……。

    えーっと周勃は絳侯でしたっけ?」

なた「ですです。

   周勃は文帝に言われた通り絳県に帰っています。

   次に丞相となったのは太尉の灌嬰でした」

コトタ「順序的にそうなりますか」

なた「ええ。

   そのタイミングで匈奴の右賢王(単于の次の位)が

   漢の領土を侵し始めたのです」

コトタ「漢王朝とは和議を結んだのでは?」 

なた「その通りです。

   "匈奴は婚姻を交わして我々と兄弟になったはずですが、

    右賢王は約束を破って我が地を侵しているそうですね。

    丞相(灌嬰)は8万5千の騎兵を率いて右賢王を討ってください"

   と文帝は抗戦の意思を示したのでした」

コトタ「匈奴相手に8万5千で足ります……?」

なた「まあ本軍じゃなくて右賢王軍だけでしょうから。

   灌嬰は歴戦の強さでしっかりと勝利してますし」

コトタ「さすが、と言うべきなんですかねぇ。

    あれ?それにしてもここまでの話が劉興居の

    謀反にどう関係するんです?」

なた「ああ、ここからです。

   実は匈奴が攻めてきた時に文帝は代国へ行幸してましてね。

   かつての自分の臣下と旧交を温めていたんです」

コトタ「ふむ?」

なた「そもそも劉章と劉興居は呂氏誅滅の功績があったので、

   大臣の協議ではそれぞれ趙王と梁王に封じるはずだったんです。

   しかし文帝は即位すると、劉章と劉興居が当時の斉王の劉襄(劉邦の孫)

   を皇帝にしようとしていた事実を知り、

   2人の功績を減らして城陽王と済北王に封じたわけです」

コトタ「文帝らしからぬ采配だったんですね」

なた「いくら謙虚でも人並みには欲はあったでしょうしね。

   城陽国と済北国っていうのは斉国の1郡を分けただけの小さな国でしてね。

   本来なら劉章も劉興居も趙と梁という大国を得られるはずだったのもあって、

   不満に感じていたのです」

コトタ「あー……」

なた「で、匈奴が領土を侵してるって情報を知り、

   さらに文帝が代国へ向かってると聞いたので、

   "皇帝自ら親征してるのか!この機会は逃せんな!"

   と滎陽を攻撃しようとしたんです」

コトタ「滎陽は兵も多い要地ですものね」

なた「ええ。

   ただ文帝が劉興居の謀反をすぐに知っちゃってですね。

   灌嬰と騎兵を長安にすぐに戻し、柴武を大将軍に任じて、

   劉興居を迎撃させてるんです」

コトタ「柴武も愉快な仲間達の古参でしたね。

    登場は少ないですけど」

なた「ですねぇ。

   地位的に他の愉快な仲間達同様に功績も多かったんでしょうけどね。

   楚漢戦争時の記述が少なすぎて……」

コトタ「自分から振っといてアレなんですが、

    柴武は置いといて、劉興居はどうなったのです?」

なた「灌嬰や柴武に勝てるわけがなく、捕らえられて自殺してますね」

コトタ「あっさり……」

なた「ハイライト形式ですから……。

   まあ詳しく語っても、この事件は結構あっさりなんですがね。

   では今回はここら辺で」

コトタ「はーい!

    次回また会いましょうーー!!」

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