June 2020  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第115回

なた「前回からハイライト形式で進めると言いながら、

   詳しく話してしまった気がします」

コトタ「いつものことだから気にしてませんでしたよ」

なた「そうですか……。

   今回からはどんどん進んでいくので安心してくださいね!」

コトタ「いつもの様に期待しませんけどね!!」

なた「ふええ……」

 

その後の漢王朝・その2

なた「今回の最初は個人的に好きなエピソードから」

コトタ「つまり陳平ですね?」

なた「大正解です。

   早速ですがこちらの会話シーンを見てください」

 

文帝「右丞相(周勃)、1つ質問してよろしいでしょうか」

周勃「陛下、なんなりと仰ってください」

文帝「この天下では1年間でどれくらい裁判が行われてるのです?」

周勃「えっと、あの……。

   申し訳ないですが存じかねます……」

文帝「そうですか……。

   では1年間でどれくらいの穀物や金銭の税収があるのでしょう?」

周勃「あ、それは、うーん……。

   陛下、勉強不足の私をお許しください」

文帝「いえ、良いですよ。

   では左丞相(陳平)に聞いてみましょう。

   裁判と税収を教えてもらえますか?」

陳平「それらを担当している者に聞けばわかるでしょう」

文帝「どういうことです?」

陳平「裁判について聞きたいなら廷尉に、

   税収について聞きたいなら治粟内史に聞けば良いのです」

文帝「それはわかりました。

   では左丞相、あなたは宰相として何を担当しているのでしょう」

陳平「陛下を補佐し、諸侯や異民族を鎮撫し、民衆を従わせ、

   臣下にそれぞれの仕事を全うさせるのが宰相の責務にございます」

文帝「素晴らしい答えですね。

   よくわかりました。ありがとうございます。

   では私は自室に戻りますね」

 

周勃「はぁ……」

陳平「周勃殿、どうなされた?」

周勃「何故これまで答え方を教えてくれなかったのか。

   陛下の前で恥をかいてしまったではないか」

陳平「ははは。

   周勃殿、あなたは丞相の身でありながら、

   その役目をこれまで知らなかったと言うのか。

   もし陛下に長安内の盗賊の数でも聞かれていたら、

   無理にでも答えたのか?」

周勃「ぐぬぬ……」

 

なた「この件で周勃は自分が陳平に遠く及ばないと自覚したそうです。

   そして周勃は周りからの助言もあって、右丞相を辞任しています」

コトタ「えっ」

なた「"あなたの功績は凄いですけど、驕慢な態度で尊貴な立場にいたら、

    いずれ災禍が及びますよ"って言われたんですよ。

   上述との陳平との一件もありましたし、本当に陳平や群臣に

   追い落とされてしまうのでは?と危機感を覚えたんでしょうね」

コトタ「右丞相は誰がなったんです?」

なた「右丞相と左丞相の位が廃止されて、陳平が1人で丞相になってますね。

   では次のお話に行きましょう」

コトタ「はーい」

なた「南越武帝を称した趙佗を覚えていますか?」

コトタ「もちろん。

    劉邦の時代は臣従していたのに、

    呂雉が貿易停止にしたことに怒って離反したんですよね?」

なた「概ね合ってますね。

   その趙佗の元に陸賈が再び使者として出向いています。

   内容としては文帝が即位したことと、離反したことに対する譴責なんですが」

コトタ「ほほう」

なた「陸賈が到着すると趙佗はへこへこして出迎えてましてね。

   "2人の皇帝が並ぶなんて聞いたことがありません。

    陛下(文帝)こそ賢天子でしょう。私は今後帝制をやめます!"

   って感じで、即臣従を決めちゃってるんです」

コトタ「ええ……」

なた「呂雉の蛮地との貿易停止政策により、国家運営に支障が出てしまい、

   周辺異民族と同等扱いにされたってのが離反の原因ですからね。

   文帝は再び使者を交わして関係を取り戻そうという意志があったので、

   それに応じたってわけです」

コトタ「なるほど」

なた「さて、約束通りどんどん話を進めますが、

   この年、楚王の劉交(劉邦の弟)と斉王の劉襄(劉邦の孫)が亡くなり、

   それぞれ息子の劉郢と劉則が継いでおります」

コトタ「人の死は時代の流れを感じさせますね……」

なた「あと唯一の異姓諸侯王である長沙王の呉右も亡くなってましてね。

   こちらも息子の呉著が継いでるんですが……」

コトタ「ん?どうかしました?」

なた「実は前漢王朝としては呉著が最後の異姓諸侯王でしてね。

   紀元前157年に亡くなっているのですが、子供がいなかった為に、

   呉氏長沙国はそこで滅びてるんです」

コトタ「あらら……」

なた「紀元前155年、もう景帝の時代になっているのですが、

   景帝の息子の劉発が長沙王に封じられ、そこから劉氏長沙国が興ったわけです。

   ちなみに前回少し話した光武帝は、その長沙王の劉発の子孫なんです。

コトタ「ああ、だから景帝の末裔」

なた「ですね。

   余談ですが、三国志だと孫策が諡号として孫権から長沙王を贈られています。

   本当に余談で何も関係ないんですがね」

コトタ「関係ないんかーい!!」

なた「お、新しいツッコミですね。

   ではコトタさんがキャラ変を頑張ってるのは置いといて、

   紀元前178年に時代を進めましょう」

コトタ「ふええ……」

なた「本当は賈誼って人物のことも語りたかったのですが、

   彼が亡くなるまではこの企画は続かないので、

   後日別企画で紹介しましょう」

コトタ「賈誼……?」

なた「賈逵の先祖でしてね」

コトタ「賈逵!?

    ってことは賈充や賈南風の先祖ってことですか!?」

なた「いえ、同姓同名の別人です。

   こっちの賈逵は101年に亡くなっている儒学者ですので」

コトタ「思わせぶりなだけで全然関係なかったーーーーーー!!!!」

なた「では本題に戻りますね。

   えーっと紀元前178年始まってすぐに陳平が亡くなっています」

コトタ「なたさんのお気に入りが……」

なた「諡号は献侯とされていますが、"献"は頭の良い人に贈られる字です」

コトタ「まさに陳平らしい諡号なんですねぇ」

なた「そんな陳平は子孫についてこう語ってましてね」

 

陳平「私は高祖の為、漢王朝の為とは言え、数多くの謀略を操ってきた。

   きっと私の子孫はいずれ絶える。地位を失えば二度と元には戻れないだろう。

   これは謀略を使い続けた私の咎である」

 

コトタ「結果はどうなったんです?」

なた「曽孫の陳何が浮気しちゃって、爵位剥奪の上で処刑されてますね。

   玄孫(曽孫の子)の陳掌が霍去病の母親と密通して、

   霍去病の義父の立場になりましてね。

   霍去病は武帝が寵愛する武将で、匈奴を事実上壊滅させて、

   漢王朝と匈奴の立場を逆転させた大功績の持ち主なんです。

   だからそんな霍去病の力を利用して、陳掌は陳氏の再興を頑張ったのですが、

   無理だったようです」

コトタ「地位を失い、二度と戻れなかった……。

    陳平の予想通りってことですね……。

    それにしても浮気やら密通やら、女性関係にだらしない……」

なた「ほら、陳平自身も兄嫁と密通してたって話がありますし、

   血は争えないんでしょう」

コトタ「そう言えば……」

なた「陳平が死んで、次に丞相となったのが周勃です」

コトタ「えっ!?

    さっき丞相を辞めたばかりでは?」

なた「他に候補がいなかったわけじゃないんですがね。

   次に前回周勃と文帝の関係を諌めた袁盎のエピソードを3つ程」

コトタ「3つも!?

    ぽっと出の人ではなかったんですね」

なた「それどころかかなり重要な人物ですよ。

   まあ文帝、景帝時代の人なので最後までは語れませんがね。

   実は前回の(文帝を諌めた)話の後に周勃がその事実を知ります。

   "袁盎!貴様、文帝に私のことで諫言したそうじゃないか!

    私はお前の兄と仲が良いのにどうしてそんなことをする!?"と」

コトタ「逆恨みじゃないですか……」

なた「これに対して袁盎は謝ってません」

コトタ「ええ……」

なた「袁盎は皇帝でも関係なく直言をする人でしてね。

   そりゃ周勃に何と言われようと"正しいことを言ったまで"と思えば

   謝らないでしょう」

コトタ「確かに……」

なた「続いてのエピソードを話しましょう。

   文帝が6頭の馬が挽く車で、山を走っておりました。

   急な坂に差し掛かりますが、速度を落としません」

コトタ「危ないですよ!!」

なた「袁盎は文帝の車まで馬を走らせて追いつき、車を止めさせます。

   そこで会話シーン」

 

文帝「袁盎、どうしましたか?

   まさかびびってるんじゃないでしょうね?」

袁盎「尊貴な人は危険な場所に行かないと言います。

   陛下は今車を走らせて山を勢い良く下ろうとしましたが、

   もし馬が驚いて倒れて車が壊れたらどうなっていたでしょう?」

文帝「私は死んでいたでしょうね」

袁盎「そうなったら宗廟や社稷はどうなるのです!?」

文帝「袁盎、君の言う通りですね。

   私は自分の立場を考えて自重しましょう」

 

コトタ「本当に直言してますね……」

なた「さらに激しい直言がありましてね。

   文帝は慎氏という夫人を寵愛しておりました。

   どこに行くにも竇皇后と慎氏を同席させていたのです」

コトタ「ふむふむ」

なた「ある日、酒宴が開かれた時、文帝は当然2人を侍らせていたのですが、

   袁盎はあえて慎氏の席を竇皇后の席の後ろに設置したのです」

コトタ「文帝の横に並べるのが普通ではないです?」

なた「慎氏もそう思ったんでしょうね。

   というか"陛下に寵愛されてる私が何で後ろなのよ!"と怒って座らなかったんです。

   それを見て文帝も怒って酒宴に参加せず退席しています」

コトタ「ええ……」

なた「袁盎は退席した文帝を追いかけて言いました」

 

袁盎「陛下は皇后を決定し、竇皇后を立てたでしょう。

   慎氏は妾に過ぎません。どうして皇后と妾が並んで座れましょうか。

   陛下が慎氏の為にしていることは災禍の原因にしかなりません。

   かつて呂太后が戚夫人にした仕打ちをご存知ではないのですか?」

 

コトタ「戚夫人……、

    ああ……嫌な記憶が蘇る……」

なた「文帝は袁盎の直言を称賛し、慎氏を呼んでそのことを話しました。

   慎氏も袁盎に感謝し、黄金を下賜したそうです」

コトタ「以前文帝は頑固だと言いましたが、本質は劉邦に似てるんですね」

なた「人の話をよく聞いて、特に直言が好きってのはそうでしょうね」

コトタ「うんうん」

なた「それでは今回はここまでにしておきましょう。

   次回もハイライト形式で進めていきますよー!」

コトタ「次回の教えて!項羽と劉邦をお楽しみに!!」

pagetop