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コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第99回

なた「前回、強いか弱いかわからない黥布が、

   どっちかわからないまま死にました」

コトタ「そのまとめ方はどうかと思いますが……」

なた「気にしないでください。

   では第99回!!行っちゃいましょう!!!」

コトタ(オープニングトークのネタが完全に尽きてますね?)

 

後継者争い、終焉へ

コトタ「周昌のお陰で一時的に解決したものの、

    また再燃してる感じでしたか」

なた「ええ。

   ずっと燃え続けてたとは思いますがね。

   劉邦は長安に帰還すると、病がさらに重くなったのもあって、

   改めて劉盈の廃嫡、劉如意の立太子を検討しています」

コトタ「懲りないなぁ……」

なた「張良が諌めてますが、全く相手にされない為に

   病を理由に辞職しちゃってます」

コトタ「そんな簡単な理由で張良が消えちゃうんですか!?」

なた「後継者争いは簡単な理由ではないですけどね……。

   叔孫通も同じように諌めてるのですが、結構激しい内容です」

コトタ「ほほう」

 

叔孫通「始皇帝は扶蘇を太子に定めるのが遅かった為に、

    趙高によって胡亥が詐立されてしまい、結果秦は滅びたでしょう?

    劉表も袁紹も長子を立てなかったから失敗したじゃないですか!

    皇后(呂雉)は陛下と苦楽を共に耐えてきました!

    それを裏切ってはいけません!もしも趙王(劉如意)を太子とするなら、

    まず私を殺してください!!!」

 

コトタ「劉表と袁紹は400年後の人物でしょう!!!!」

なた「あ、そうでした。

   まあ……言いたいことは伝わったので良いかと!!」

コトタ「良くないと思いますが……。

    えっと劉邦はどう応じたのです?」

なた「"ははは、お前が死ぬ必要はない。俺は冗談を言っただけだぞ"

   って答えてます」

コトタ「冗談で済まされないでしょう……」

なた「って叔孫通は言ってますね。まあ叔孫通の諫言だけでなく、

   多くの大臣が劉如意ではなく劉盈を支持していたのもあって、

   諦めたみたいなのですが」

コトタ「後継者争いは終わった、と」

なた「ええ。

   でも張良の列伝(正確には世家)にはこんな話も残されてましてね。

   結果は劉盈の太子が決定的になったので一緒なんですが、

   その根拠として四皓の存在があるんです」

コトタ「劉邦が呼んでも仕えなかった4人の賢人でしたね」

なた「ですです。

   ある日宮殿で酒宴が開かれて劉盈も参加したのですが、

   劉盈の後ろには四皓が従っていました。

   劉邦はそれを見て"あいつらは誰だ?”と言ったところ、

   4人が自己紹介をしていきます」

コトタ「張良が言った通りの流れになってますね」

なた「劉邦は4人がずっと求めていた人材だと知って大変驚きます。

   "お前らは俺が何年も呼び続けた賢人達じゃないか!

    何で今になって息子の客になってるのだ!?"と」

コトタ「当然そう思いますよねぇ」

なた「"陛下は傲慢でしょう?ワシらをきっと侮るに違いないと考えたのです。

    義によって辱めを受けるわけにはいけませんから、逃げ隠れておりました。

    でも太子は仁徳があり、謙虚に人材を愛してくれると噂がありましてね。

    臣民が太子の為なら命を投げ捨てることも厭わないらしいじゃないですか。

    だからワシらは自らの意思で太子の元に集まったのです"

   と四皓は答えました」

コトタ「それ殺されません……?」

なた「"今後も先生方には息子の教育を頼みたい"と言うだけでしたね。

   酒宴が終わってから劉邦は嘆息し、戚夫人(劉如意の生母)を呼びました。

   "本当なら如意を太子にしたかったが、どうにも無理みたいだ。

    あの4人がいるなら劉盈の羽翼は完成されたと言って良い。

    これを覆すのは俺でも不可能だ。お前は呂雉に従って生きるしかあるまい"

   と劉邦は戚夫人に話し、事実上正式に廃嫡を諦める宣言をしたのでした」

コトタ「完全決着っと……」

なた「それとは別の後継者についても決着つけてましてね」

コトタ「え?何の後継者です?」

なた「荊王の劉賈ですよ」

コトタ「ああ、黥布に殺されたんでしたね……」

なた「ただ劉賈には子供がいなかったんです。

   それで劉邦は諸侯や群臣に誰を封じるべきか意見を求めました。

   "荊王がこれまで呉の地もまとめてくれていたが、

    その荊王も後継がいないまま死んでしまった。

    俺は改めて呉王を立てたいと思う。誰が相応しいか教えよ"と」

コトタ「荊王ではなく呉王になったんですね」

なた「荊王がこれ以降前漢で立てられることはなかったのを見ると、

   劉邦的に従兄を尊重して、永久欠番扱いにしたのかなーと思ったりもしますがね」

コトタ「なるほど」

なた「で、長沙王の呉臣が中心となって呉王に推薦されたのが、

   劉喜(劉邦の兄)の息子である劉濞でした」

コトタ「つまり劉邦の甥っ子ですね。

    劉喜は代王だったけど匈奴に攻められたのに、

    戦わずに逃げて侯に格下げされてた人でしたっけ?」

なた「その通りです。

   それより劉邦と劉濞のちょっと面白い会話が残ってますので見てください」

 

劉邦「お前は謀反を起こしそうな顔してるなー」

劉濞「そ、そんなことしません!」

劉邦「うーん?

   我が国は50年後に東南の地で乱が起きるはずだ。

   それの主はお前じゃないか?大丈夫か?

   天下は我ら劉一族のモノなのだからな。みんな家族なわけだ。

   絶対に謀反なんてするなよ?」

劉濞「言われなくても謀反なんてしませんから!!!!」

 

コトタ「叔父に疑われるのも辛い話で……。

    というかどこが面白い会話なんです?」

なた「この企画では話すことがないので先に伝えておきましょうかね。

   実は50年後ではありませんが、41年後の紀元前154年に

   呉楚七国の乱ってのが起きていましてね」

コトタ「呉楚……ってまさか!?」

なた「はい。

   呉王の劉濞が反乱を起こしてるんですよ。

   他の諸侯国6つも同調したのもあって、呉楚七国の乱と呼ばれてるのです」

コトタ「劉邦に人相見の才能もあったとは……」

なた「後付け設定な気がしますけどねー。

   史記ってそういうの多いので」

コトタ「史書に書いている以上史実だけども、事実かどうかは微妙ってことですね」

なた「ですね。

   では今回の前半はこれで終わりです」

コトタ「前半!?」

なた「次のサブタイトルをどーん!!!」

 

北の動乱

コトタ「たまにある2つ目のサブタイトルですね」

なた「次回の為に調整してるんです!!」

コトタ「第100回に大イベントを合わせたいって言ってましたものね。

    調整が厳しいとのことでしたが、目処がついたんです?」

なた「はい!!」

コトタ「北の動乱ってことでしたが、匈奴が動いたんです?」

なた「あ、あの人のこと忘れてますね?

   匈奴というより陳豨ですよ」

コトタ「あー、そういえば陳豨がどうなったか聞いてませんでしたね」

なた「と言っても黥布以上にあっさり終わるのですが……。

   えーっと周勃が代を平定し、そこで陳豨は斬られています」

コトタ「本当にあっさりだった!!!」

なた「本題は陳豨が存命時の話なんですがね。

   燕王の盧綰も当たり前ですが代の攻略に出兵させていたのです。

   盧綰は張勝という臣下を送って"陳豨ら反乱軍はもう負けたぞ!"と

   虚報を伝えさせたのです」

コトタ「謀略を用いた、と」

なた「実は匈奴にはかつての燕王の臧荼の息子である臧衍がいたのですが、

   臧衍は張勝に接触してこんな話をしたのです」

 

臧衍「張勝殿が燕王に大事にされているのは、異民族の住まう辺境に詳しいからでしょう。

   では燕の地が今も保たれているのは何故だと思います?」

張勝「そりゃ王様(盧綰)は陛下の幼馴染で親友だからだろう」

臧衍「違いますよ。

   諸侯が反乱を起こして戦乱が続いているからです。

   張勝殿は燕王の為に陳豨殿を倒そうとしているようですが、

   反乱軍が敗れたら次に攻められるのはどこだと思ってます?」

張勝「まさか……」

臧衍「そのまさかですよ。

   次に攻められるのは間違いなく燕です。

   燕王はもちろんですが、張勝殿も捕虜とされて最悪処刑されるでしょう」

張勝「ではどうすれば良いのだ!?」

臧衍「簡単です。

   陳豨殿の攻撃を止めて、我ら匈奴と和議を結ぶんですよ。

   うまくいけば燕王はずっと安泰になります」

張勝「よし、わかった」

 

なた「張勝は臧衍の提案に同意し、反乱軍に協力し始めたのです」

コトタ「えーーー!?」

なた「盧綰は張勝が匈奴と内通して裏切ったとわかり、

   朝廷に"張勝の家族を処刑させてください"と許可を求めました」

コトタ「このままじゃ盧綰が危ない!」

なた「何故です?」

コトタ「だって張勝に殺されちゃうんじゃ!?」

なた「と思うでしょう?

   張勝は盧綰の元に戻ると臧衍に言われた内容を説明したのです。

   すると盧綰はそれを受け入れちゃってましてね。

   処刑の許可が朝廷から届いていたので、別人を処刑して誤魔化していますし」

コトタ「あの……それってつまり盧綰が裏切った……?」

なた「そういうことです。

   劉邦と同郷で同日に生まれ、幼馴染であり親友の盧綰が裏切ったんです。

   愉快な仲間達でも唯一劉邦の寝所に入ることが許された盧綰が裏切ったんです。

   曹操にとっての夏侯惇、劉備にとっての関羽とも言える盧綰が裏切ったんです。

   功績ならば蕭何や曹参には敵いませんが、劉邦との親密さで言えば、

   他の追随を許さなかった盧綰が裏切ったんです」

コトタ「ひいん……」

なた「盧綰は張勝を頻繁に匈奴へ送って連携し、

   兵は出しても、あえて陳豨ら反乱軍と戦わないでいたのでした」

コトタ「あからさまだぁ……」

なた「そして時代が少し進み、周勃が陳豨を斬りました」

コトタ「さっきの話に戻るんですね」

なた「ええ。

   そこで陳豨の副将が漢に帰順してるんですが、

   "燕王が陳豨と内通してましたよ!"と密告したわけです」

コトタ「やっぱり異姓諸侯王の謀反は密告者でバレちゃうーーーーー!!」

なた「この緊急事態は即時劉邦の耳まで届き、

   劉邦は自ら確認する為、盧綰を呼び出しました。

   しかし盧綰は伝家の宝刀"病気を理由に"それを断ったのです」

コトタ「もう疑われるの確定じゃないですかーーーー!!」

なた「劉邦はずっと劉邦不在の実家を守ってくれていた

   審食其を盧綰の元に派遣しています。

   目的は盧綰を長安へ迎える為と謀反の証拠調査です」

コトタ「盧綰はどう対応したのです……?」

なた「災禍が及ぶのを恐れて自宅の門を閉じ切って隠れました。

   盧綰は腹心にこう話します。

   "兄ィ(劉邦)の一族以外で王なのは俺と長沙王(呉臣)だけだろう。

    少し前までもっといたじゃないか。なのに韓信も彭越も誅殺された。

    どれもこれも全部姉御(呂雉)の謀略によってだ!

    兄ィは今病で政治を姉御に任せてるらしい。

    姉御はありもしない理由を押し付けて粛清祭を楽しんでやがるんだ!!"と」

コトタ「ほとんど間違ってないですね……。

    劉邦もそれを咎めてないのだから同罪だと思いますが」

なた「結局盧綰は長安行きを拒否し続けたので審食其は長安に戻りました。

   その為"盧綰は謀反を起こそうとしてますね"と報告。

   しかも匈奴から帰順した武将が"張勝が匈奴と燕の仲を取り持ってまっせ!"

   というタレコミが入る始末です」

コトタ「劉邦は……盧綰を信じます……よね……?」

なた「いいえ、"あの野郎裏切りやがったな!!!"と激怒しています。

   そして樊噲に盧綰征伐を命じたのでした」

コトタ「悲しすぎる戦いじゃないですかぁ……」

なた「劉邦も悲しかったのでしょうね。

   "盧綰と俺は生まれた時からの付き合いで、実兄弟以上に目にかけてきた。

    謀反の報告を聞いても俺は盧綰を信じていたんだ。

    なのにアイツは俺が呼び出しても仮病を使って拒否しやがった。

    絶対俺を裏切ったに違いねぇ!!絶対許さねぇぞ!

    だが燕の臣民は悪くない。 帰順した者は全て許そう。

    盧綰の側近だとしても今からでも遅くねぇ。 帰順すれば許してやる!!"

   と詔勅も出してますし」

コトタ「悲しいからこそ盧綰だけは許さないってことですか」

なた「愛憎は紙一重ですからね……。

   "本当に許してないんだな"ってわかる出来事がもう1つありまして」

コトタ「征伐命令と詔勅の他にまだあるんですか……」

なた「いつも通り燕王を誰にするか諸侯や臣下に聞いてるんですよ。

   つまり劉邦視点ではもう燕王は空位になったってことです。

   ちなみに劉建(劉邦の息子)が燕王に封じられてますが」

コトタ「異姓諸侯王が遂に残り長沙王の呉臣だけに……」

なた「はい、天下はほぼ完全に劉氏のモノとなったのでした。

   といったところで今回はここまでです!」

コトタ「えーーーー!?

    盧綰がどうなったか教えてくださいよ!!」

なた「それはまた次回です!!」

コトタ「ああもう!

    次回は記念すべき第100回です!!お楽しみに!!!」

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