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コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第97回

なた「関東三将の生き残りである黥布が遂に謀反を起こしました」

コトタ「3人とも愉快な仲間達としては新参でしたし、

    地元からの仲間である樊噲や盧綰らとは扱いが違うんですかねぇ」

なた「それはどうでしょうねぇ……。

   さて今回は黥布との戦いが本格的に始まる前のお話をしていきます」

コトタ「はーい」

 

四皓

なた「前回劉邦が病気になったって話はしましたよね」

コトタ「自室に引きこもっていましたが、樊噲がケツを叩いたんでしたね」

なた「ええ。

   でもやっぱり老齢なのもあって、病気で戦場に向かうのはきついと

   考えたのでしょう。劉邦は太子の劉盈を黥布征伐の総大将に指名しています」

コトタ「劉盈は戦えるのです……?」

なた「実際に戦場で歩兵として戦うわけではないですし、

   あくまで総大将として戦場に出てくれるだけでも良かったのでしょう。

   指揮や戦術はいくらでも他の将軍がすればいいだけの話ですから」

コトタ「太子として箔を付けて欲しかった?」

なた「どっちかわかんないんですよねぇ。

   周昌の件もあって一度は諦めてましたが、

   後日また劉如意を立太子しようとしてましてね。

   "死んでくれたらラッキー。じゃなくとも黥布に負けて、

    それを理由に廃嫡できる"とか劉邦なら考えていた

   可能性もあるんじゃ?って思いまして……」

コトタ「我が子に対してそこまで非情になれるでしょうか……?」

なた「ほら、馬車から蹴落としてたじゃないですか」

コトタ「そうだった……」

なた「結論で言えば劉盈は総大将にならず、

   劉邦が自ら病身を押して出陣してるんですが」

コトタ「あら、そうなんですね」

なた「そんな結論に至った理由がサブタイトルにもなっている四皓です」

コトタ「気になってました。

    四皓とは一体何なんです?」

なた「何、っていうより誰ですかね。

   東園公、夏黄公、角里先生、綺里季という4人の賢人のことを

   まとめて四皓と呼ぶのですが、彼らは皆劉邦に招聘されても

   応じなかった人達でしてね」

コトタ「ふむふむ」

なた「でもこの頃、四皓は劉盈の客人になっていたんです」

コトタ「劉邦の誘いは断ってるのに!?」

なた「何故四皓が劉盈の客人となったのか、その理由は少し時間を遡ります」

コトタ「回想シーンに入りますね!?」

 

呂雉「このままだと陛下(劉邦)は劉如意を太子にしてしまう。

   どうすればいいの!私の可愛い息子を廃嫡なんてさせたくないわ!」

側近「留侯(張良)は計略が得意ですし、陛下も信頼しています。

   彼に策を授けてもらうのはいかがでしょう」

呂雉「それは良いわね!

   兄上、留侯に会いに行ってもらえます?」

呂釋之「わかりました」

 

呂釋之「やあ、張良殿。

    都では陛下が太子の廃嫡を考えていて大変な状況だ。

    何故君はのんびりとしていられるのだ?」

張良「建成侯ではありませんか。

   その話は存じておりますが、親子や家族の争いに

   私のような者が数百人いたところで役に立たないでしょう?」

呂釋之「そんな理屈はどうでも良い。

    我が一族の問題でもあるのだ。何か策を示してくれ」

張良「うーん、そうですねぇ……。

   この問題は舌先でどうにかなる問題ではないと思うのです。

   あ、良いことを思いつきました。

   今まで陛下が招いてもそれを拒んだ賢人が4人いるのです」

呂釋之「ほほう?」

張良「その4人は皆老齢でしてね。

   陛下が傲慢なのを知っていたので、今は山に篭っているのです。

   義を重んじて漢王朝に仕えなかったわけです。

   それでも陛下は4人のことを重く敬っていらっしゃいましてね。

   ですので建成侯、あなたは謙虚な態度で4人を厚く丁重にお迎えすればいいのです。

   きっと4人は太子の為に来てくれるでしょう」

呂釋之「それでどうすれば良い?」

張良「たまに太子が入朝する時に4人を連れて行くだけです。

   陛下は自分ですら呼べなかった4人が太子のそばにいると知れば、

   きっと廃嫡なんて考えなくなるでしょう」

 

なた「というわけで呂釋之は張良に言われた通りに四皓を呼びました。

   そして4人とも劉盈の客人になったわけです。

   まあ正確には呂釋之の客人なんですが」

コトタ「ほええ」

なた「で、話が本編に戻ります。

   黥布征伐の総大将に劉盈が指名されてからの会話を見てください」

 

四皓「私達が都に参ったのは太子をお守りする為じゃ。

   太子が総大将になるのは危ない」

呂釋之「先生方、それはどういうことです?」

四皓「太子が総大将になって功績を挙げたとしても、太子以上になることはない。

   しかし失敗すれば、それが原因で太子の地位が脅かされてしまう。

   それに今回太子が率いる将軍達は秦楚の戦いで陛下と共に天下を取った猛将じゃ。

   羊が狼を指揮したところで従うわけがありませぬ。

   つまりこれは失敗して当然の征伐作戦なのじゃ」

呂釋之「ではどうすればよいのです!?」

四皓「陛下は以前"不肖の息子を愛する息子の上に置くことはない"と話しておった。

   これは趙王(劉如意)を立太子するという意味で間違いないじゃろう。

   建成侯、今すぐ陛下に対して、皇后にこう言わせると良いぞ」

呂釋之「教えてください!」

四皓「"黥布は韓信や彭越と並ぶ天下の名将で、戦争にも強い。

    太子が率いる将軍は元々は皆陛下と対等の立場だった猛将ばかり。

    つまり太子が指揮をしても従うわけがないのはわかりきっている。

    もしそれを黥布が知れば士気を高めて西へ攻めてくるはずだ。

    陛下は病身を押してでも出陣すべきである。

    さすれば将軍は皆力を尽くして戦ってくれる。

    苦しいだろうが妻子の為に頑張って欲しい"とこんな感じじゃな」

呂釋之「すぐに妹に伝えます!!」

 

なた「呂釋之は4人に言われた通りに呂雉に話し、

   呂雉は機会を見て劉邦に泣きながら訴えたのでした」

コトタ「四皓が言った言葉をですね」

なた「すると劉邦は

   "そうだよなー。

    劉盈じゃ総大将は無理だと思っていたとこだ。

    仕方がない、俺が自ら黥布征伐へ向かおう"

   とあっさりと劉盈の総大将指名を白紙に戻したのでした」

コトタ「賢人の読み通りってことですね」

なた「いくら総大将指名が廃嫡作戦の一環だったとしても、

   負けられたら困る戦いだって気付いたんでしょうね」

コトタ「ふむう……」

なた「というわけで劉邦が大軍を率いて進発しました。

   そこに現れたのが劉邦と同じで病に伏せていた張良でした」

コトタ「劉邦と張良コンビ復活で黥布を倒す展開ですか!」

なた「いえ、張良はこう言っています。

   "本当なら私も陛下に付き従うべきなんでしょうけど、

    病が重すぎて無理っぽいです。

    楚人(黥布軍)は凶暴なので陛下もご無理なさらないように。

    あと太子を関中守備の将軍に任じるのがよろしいでしょう"と」

コトタ「関中守備も大事な役目ですものね」

なた「ええ。

   "わかった。では劉盈に関中の留守番を任せよう。

    しかし張良、お前も病で大変だろうが太子の補佐をしてくれないか?"

   と劉邦がお願いしたので、張良は行少傅(太子の教育係代理)になったのでした」

コトタ「意外と太子想いなとこありません?」

なた「どういう意図があったかはわかりませんがね。

   それでは今回はここら辺で終わります」

コトタ「はーい!

    次回また会いましょう!!」

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