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コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第96回

なた「絶対この企画100回目で完結させることができないな、

   と確信したなたちゃんです」

コトタ「若干片鱗は見えてますけど呂雉編が始まってないですものね」

なた「呂雉編の後もちょろちょろっと話すことはあるので……」

コトタ「ここまで来たら最後まで付き合いますから!!」

なた「ありがとうございます。

   早速本編見ていきましょうか」

コトタ「はーい」

 

異姓諸侯王プラスマイナス0・その2

なた「この頃劉邦が病に倒れてましてね」

コトタ「えっ!?そっちが死ぬの!?」

なた「早とちりしないでください。

   まだ劉邦は死にませんから」

コトタ「ほっ……」

なた「劉邦はいつぞやの皇帝みたいに寝室にこもりっきりになり、

   守衛に命じて門を閉じていたのです。

   愉快な仲間達であり、国家の重臣の灌嬰や周勃ですらが

   劉邦に会うことが許されておりませんでした」

コトタ「なんでまた……」

なた「さあ……?

   でもそんなことを気にしない人が愉快な仲間達にはいたでしょう?」

コトタ「んー?」

なた「鴻門の会でも項羽を目の前にして物怖じせずいたあの人ですよ」

コトタ「あー!樊噲ですね」

なた「ですです。

   劉邦が倒れてから十数日経った頃に樊噲は宮中に入り、

   一直線に劉邦の寝室へ向かったのです。

   守衛に止められたかは書いてませんが

   "ああっ樊噲様!おやめください!"なんて言われたとは思います」

コトタ「想像がつきます」

なた「樊噲の後ろに愉快な仲間達や大臣達がついていき、劉邦に謁見します。

   すると劉邦は宦官に膝枕をしてもらって寝ていたのでした」

コトタ「えーっと……」

なた「樊噲は劉邦のそんな姿を見て涙を流し始めました。そして言います。

   "陛下、いや俺らの大将よぉ。

    かつて大将は俺らと共に沛で兵を興して、天下を平らげたよなぁ。

    あん時の大将の姿と言えば、何よりも雄壮だったぜぇ。

    でも今天下は治ったとは言え、度重なる戦禍でみんな疲れちまってる。

    そんな状態で大将が倒れて、大臣も将兵もみんな不安なんだ。

    それなのに俺らと会って今後の話も全くしないでいやがって、

    宦官なんかのそばで人生を終わらせようとするんですかい?

    大将は趙高のことを知らないんですかい?"と」

コトタ「その宦官の名は……?」

なた「伝わってないですね。

   劉邦は樊噲の言葉を聞いて"樊噲、お前の言う通りだわ!"

   と笑いながら立ち上がり、その後はこもりきりの生活はやめたみたいです。

   病は治ってないですけどね」

コトタ「あー、なんかこういう話を聞くと、劉邦は君主の器なんだなーとは思いますね。

    粛清祭で"結局劉邦はひどい人なんだ"ってなっちゃいますけど……」

なた「さて、ここまでは余談です。

   本題は前回に続いて異姓諸侯王のお話ですが」

コトタ「黥布……ですね」

なた「はい。

   その黥布が反乱を起こしました」

コトタ「えっ」

なた「と言っても反乱が起きるまでの経緯を話さないといけませんね。

   黥布は韓信が呂雉に謀殺された時点で緊張感を抱いていました。

   そこで続いて彭越が殺され、その緊張感は頂点に達したのです」

コトタ「3人は劉邦の臣下で同格とも言える存在ですものね」

なた「黥布は秘密裏に兵を集め、周辺の地域に探りを入れます。

   まだここまでなら黥布も反乱を起こすまでには至らなかったはずでした。

   しかし事件が起きています」

コトタ「さすがに3回目なので、事件が何かわかりますよ!」

なた「ですよねー。

   韓信も彭越も密告者が原因で誅殺されてましたが、

   黥布はちょっと違います」

コトタ「ほほう?」

なた「黥布の寵愛してる姫が病気になってお医者さんのとこに行ったんです。

   そのお医者さんの家の向かいに住んでたのが賁赫という人でしてね。

   賁赫は主君の寵姫が目の前の医者にかかってると知って、

   お礼品を持って医者の家で酒宴をしたわけです」

コトタ「寵姫と繋がりができて損はないですものね」

なた「でも黥布はそれを勘違いしてしまったんです。

   賁赫と寵姫が不倫をした、ってね」

コトタ「ええ……」

なた「黥布は賁赫を捕らえるように命じた為、

   賁赫は長安へ逃げたのです」

コトタ「その流れは結局……」

なた「コトタさんの想像通り賁赫は黥布の謀反を訴えています。

   ただ"ちょっと違います"と言ったように、これまでと結果が変わってるんです」

コトタ「結果が変わってる?」

なた「これまでと同じなら黥布は騙されるか捕まって殺されたでしょう?

   劉邦はこの件の報告を受けて蕭何に相談したところ、

   "黥布が謀反なんて起こすわけないでしょう!

    きっと黥布を恨む者が妄言を吐いてるだけです。

    賁赫を捕えて、事実なのかを調べさせましょう"と蕭何は答えてるんです」

コトタ「韓信は真っ黒でしたけど、彭越の時もそういう対応をしてくれていれば……」

なた「劉邦は蕭何の言葉を受け入れて賁赫を逮捕、

   黥布の調査を始めさせたんですが、このタイミングで黥布が動いちゃいます」

コトタ「動いちゃうとは?」

なた「賁赫が密告したことを知ったんですよ。

   ほら黥布は秘密裏に兵を集めてるって話したでしょう。

   それが"バレてしまった!"って思っていたところに、

   都から調査の為に使者が来ちゃったわけです」

コトタ「タイミングが良いのか悪いのか……」

なた「というわけで黥布は賁赫の一族を皆殺しにし、

   正式に謀反を起こしています」

コトタ「韓信は計画倒れでしたし、彭越は冤罪みたいなものでしたが、

    黥布はちゃんと謀反に成功した、と言うべきでしょうか」

なた「ですね。

   黥布が兵を挙げたと聞き、劉邦は賁赫を解放して将軍に任じております。

   そして諸侯や将軍に意見を求めると皆口を揃えて言いました。

   "黥布の野郎を生き埋めにしてやりましょう!"と」

コトタ「これまでと違って全面戦争が勃発するってことですね。

    でも黥布の強さってよくわからないんです。

    韓信と彭越はこの企画でも活躍していましたが、

    黥布は名前が出てるだけ程度だった記憶ですし……」

なた「項羽にも劉邦にも評価されて、どちらにも王に封じられたのは

   黥布だけって事実はありますがね。

   項羽が反秦連合で諸侯のトップに立てたのも、

   副将として戦っていた黥布の強さが理由らしいですし」

コトタ「ふむ」

なた「さて黥布征伐にあたって、薛公という人が登場します」

コトタ「初登場?」

なた「まあ今回しか登場しませんがね。

   元々楚の宰相をしていた人みたいですが、それぐらいしかわかりません。

   この頃は夏侯嬰の客人だったようです」

コトタ「じゃあ……薛公と夏侯嬰の会話シーンですね?」

なた「その通り。

   では見てみましょう」

 

夏侯嬰「黥布が謀反を起こすとはなぁ。

    薛公はどう思う?」

薛公「謀反するのは当然ですよ」

夏侯嬰「陛下は土地を分けて黥布を王に封じたのだぞ?

    何故謀反を起こす必要があるのだ」

薛公「韓信が殺され、次いで彭越が殺されました。

   彼らは黥布と同じだけの功績を残していましたよね。

   そうなれば次は自分が殺されると思ったのです」

夏侯嬰「それもそうか……」

 

なた「この企画を読んでいたら誰でも想定できる内容ではあるんですがね。

   夏侯嬰が薛公について劉邦に報告したところ、

   劉邦も薛公から話を聞くことになりました」

コトタ「では今度はそっちの会話ですかね」

なた「ですね」

 

劉邦「薛公と言ったな。夏侯嬰から話は聞いてるぞ。

   黥布は謀反を起こして当然だと言ったそうだが」

薛公「ええ、当然の結果です。

   しかし今はそんな話をしても仕方がないでしょう」

劉邦「そうだな。

   何か策があるのか?」

薛公「それよりも敵がどんな策を使うかを判断するのが大事です。

   もし黥布が上計を使えば山東の地は全て奪われるでしょう。

   中計を使ったなら勝敗はどうなるかわかりません。

   下計ならば何も心配する必要はありません。

   陛下はのんびりしていれば良いのです」

劉邦「上計とはどういう策なのだ?」

薛公「東は呉を取り、西は楚を取り、斉を併せて魯を取り、

   燕と趙に檄を発して、それぞれの領土を固く守ることです。

   黥布がそう動けば山東は漢王朝の土地ではなくなります」

劉邦「なら中計は?」

薛公「東は呉を取り、西は楚を取り、韓を併せて魏を取り、

   敖倉の食糧を手にしてから成皋の入り口を塞いで守るのです。

   黥布がこの策を採用するなら、どちらが勝つか微妙なとこでしょうね」

劉邦「ふむ……。

   下計はどうだ?」

薛公「東は呉を取り、西は下蔡を取り、物資や食糧を会稽に移し、

   黥布自身が長沙を守る策です。

   黥布がこう動けば何も気にせずいれば良いでしょう」

劉邦「では黥布はどの策を使うと思う?」

薛公「黥布は間違いなく下計を使うでしょう」

劉邦「何故そうなるんだ?

   上計や中計を使うべきところなのだろう?」

薛公「黥布は所詮囚人ですよ。

   確かに努力を重ねて功績を残して王まで上り詰めました。

   でもそれは全て自分の為にやったことです。

   今後も黥布が民衆や未来のことを考えて動くことはないでしょう。

   だから下計を使うのです」

劉邦「お前の意見は正しいだろう。

   よし、1000戸に封じよう」

 

コトタ「何か難しい会話してますね。

    それぞれの策がどういうことなのか……」

なた「要するに黥布が大きく動くなら危ないけど、

   自分の国の周りだけを守るような小さい動き方なら

   恐れる必要はないってことですね」

コトタ「なるほど。

    韓信や彭越と並ぶ将軍だから影響力も凄まじいでしょうしね」

なた「ええ。

   というわけで黥布が謀反を起こした為、淮南王が空位となりました。

   異姓諸侯王は前回プラスされましたが、今回マイナスになったので、

   増減無し、0なのです」

コトタ「淮南王はそのまま空位なんです?」

なた「いえ、劉邦の息子である劉長が淮南王に封じられています。

   同姓諸侯王がさらに増えたってことです」

コトタ「残りは長沙王の呉臣と燕王の盧綰、あと南越王の趙佗ですね」

なた「正確には趙佗は異姓諸侯王ではないんですがね!!」

コトタ「えっ」

なた「漢王朝の領土内ではなく、あくまで南越は朝貢国ですので」

コトタ「前回と今回のサブタイトルを全否定じゃないですかー!!」

なた「なんとなくプラスマイナス0って表現を使いたかったので……。

   さて今回はここまでとしましょう」

コトタ「はーい!

    次回をお楽しみに!!」

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