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コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第90回

なた「気付けばこの企画も90回目です」

コトタ「そろそろ全94回の無双武将編を抜きそうですね」

なた「回数ネタも最近してない気がしますが、

   このまま前漢終わりまで駆け抜けてもいいんじゃ?

   って思い始めてたり……」

コトタ「それはもう項羽と劉邦じゃないですよ!」

なた「ですよねーー!

   まあ当初の予定通り呂雉編で終わりますけどね」

コトタ「それがいつになるやら……」

なた「では本編いっちゃいましょー!」

 

父親と息子

なた「さて劉邦が長安近くの酈邑という地を新豊と改名しました」

コトタ「いきなりですね?

    それにしても新豊って?」

なた「劉邦の出身地は沛県豊邑でしたでしょう。

   それに因んで改名したんですが、理由は親孝行でしてね」

コトタ「ほほう?」

なた「劉太公(劉邦の父親)がしょんぼりしてることが多くてですね。

   劉邦が"何で父はしょんぼりしてるんだ?"と側近に問います。

   理由を調べてみると、豊邑時代の飲み仲間もおらず、

   闘鶏等の娯楽を楽しめる場所も近くにないからだったのです」

コトタ「老齢まで慣れ親しんだ家から離れたらそうなりますかねぇ……」

なた「というわけで劉邦は豊邑の民を酈邑に移住させ、

   豊邑そっくりの街づくりをさせて、新豊に改名させたのです」

コトタ「なるほど」

なた「劉太公は大変喜んだそうですね。

   そんな劉太公も紀元前197年の夏に亡くなってましてね」

コトタ「あら……。

    前回予告していた序盤から登場している人物って劉太公でしたか」

なた「ですです。

   劉邦も大変悲しんだでしょうね。

   その証拠に各諸侯国の都に太上皇廟を作ることを命じてるぐらいですから」

コトタ「だからサブタイトルが父親と息子なんですね。

    劉太公と劉邦の関係性を紹介する回ですか」

なた「いえ、そうじゃないんです。

   (劉邦の)父親と(劉邦の)息子って話でしてね。

   劉太公の話はここまでです」

コトタ「えっ」

なた「では今度は息子の話」

コトタ「どの息子です?

    これまで登場したのは3人でしたっけ?

    呂雉の産んだ太子の劉盈、曹氏の産んだ斉王の劉肥、

    それと戚夫人の産んだ趙王の劉如意」

なた「前回登場した劉如意のお話ですね」

コトタ「戚夫人は劉邦の寵愛を受けてたんでしたね。

    当然劉邦にとってその子の劉如意も可愛い」

なた「その通り。

   為に劉邦は劉如意を太子にしようとしてるんです」

コトタ「えーーー!?

    劉盈がいるでしょう?」

なた「後継者争いなんてこれまで何度も見てきたでしょう。

   劉邦が長安から離れる時は戚夫人が同行することが多くてですね。

   毎晩"如意を太子にしてください"とお願いするんですよ」

コトタ「案外ストレートですね……」

なた「一方呂雉は皇后という立場もあり長安に残ってるので、

   どんどん劉邦と会う機会もない日々が続きました」

コトタ「そうなれば劉邦も戚夫人の発言を重視しちゃいますね……」

なた「ただ理由としては戚夫人への寵愛だけじゃなく、

   劉盈が優しすぎる性格で後継者に不向きだと思ってたのもあるんです。

   劉如意こそ自分に似てて皇帝になれるだろう、と」

コトタ「あー……」

なた「でもやっぱり長子相続が基本ですし、周りからは大反対されてるんです。

   しかし劉邦は頑固でして、何度説得しても納得しません。

   劉如意は趙王となってましたが、未だに長安に留めていたわけです」

コトタ「そう言えば代王になった時も10歳に満たなかったんでしたね」

なた「この頃はもう10歳を過ぎていたようですがね。

   三国時代の二宮の変だって、孫権が魯王に封じた孫覇を任地に送らず、

   都の建業に留め置いていたのも、争いが激化した一因ですからね。

   劉盈を太子と定めた時点で劉如意は都から離しておくべきだったのです」

コトタ「孫権はさて置き、どうなったのです?」

なた「御史大夫の周昌が筆頭になって反対してたんですがね。

   その周昌は吃音症だったらしく、興奮してたのもあって、

   どもりながら劉邦に強く訴えたのです。

   "私は上手く話せませんが、太子を廃位することは間違ってると思います。

    もしも陛下が太子を廃す命令を下しても私はそれを従いませんよ!"と」

コトタ「ふむふむ」

なた「すると劉邦は周昌がどもりながら熱弁してるのが

   おかしくなってしまい笑い出してしまいました」

コトタ「ひどい……」

なた「ひどい話ですよね。

   三国志だと艾が吃音症だそうですが、それもまた余談なので置いといて、

   劉邦は周昌の強い諫言によって、太子廃位を沙汰止みにしてるんですよ」

コトタ「ほええ」

なた「実はこの時、呂雉が隣の部屋でこの会話を聞いていましてね。

   周昌を呼び出して、皇后でありながら跪いて

   "あなたのお陰で劉盈が太子でいることができます"と

   大変感謝したそうです」

コトタ「周昌は漢に必要な人物ですね。

    劉邦の好き放題を抑えてくれそうですし」

なた「ええ。

   直言を辞さないタイプなのもあって、

   蕭何ですらが低姿勢で接したとされています。

   以前にも酔った劉邦を"桀王や紂王みたいです"と諫言してるんですが、

   劉邦はそれを笑って許して、周昌を尚も尊重しているぐらいですから」

コトタ「とりあえずめでたしってとこでしょうか」

なた「一旦は後継者問題は解決したと言えますが……、

   劉邦には心配事がありました」

コトタ「心配事?」

なた「自分が死んだ後に劉如意を守れるのかってことです。

   太子になっていれば立場もあって問題ないでしょうけど、

   太子ではない以上、劉盈はまだしも、

   呂雉らによって危うくなるのでは?って懸念があったのです」

コトタ「何でそうなっちゃうんです!?」

なた「そりゃ太子候補だった有力な皇族なんて邪魔でしょう?

   呂雉からすれば自分の血筋がそのまま皇帝を継いでくれるのがベストですし」

コトタ「曹植が曹丕に虐げられていたのと同じ状況ですか……」

なた「そういうことです。

   ではこちらの会話をご覧ください」

 

劉邦「太子は変えないことに決まったが、

   このままだと俺が死んでから如意が危ないなぁ」

趙堯「皇后(呂雉)や太子(劉盈)、それに重臣の皆様が敬服している有力者を

   趙王(劉如意)の側に置いておけば宜しいかと」

劉邦「ほう?

   それは誰のことだ」

趙堯「御史大夫殿だけでしょうな」

劉邦「なるほど、周昌か。

   口うるさいが忠義にも厚いし、如意のことを守ってくれそうだ。

   周昌どうだ?」

周昌「私は陛下が王になる前から従っていると言うのに、

   何故お側に置いてもらえないのでしょうか……」

劉邦「そんなお前だからこそ頼める仕事なんだ。

   周昌、お前を趙の宰相に任じる」

周昌「わかりました……」

劉邦「さて御史大夫の後任は誰が良いだろうか?」

周昌「それならば趙堯にお任せするのがよろしいでしょう」

劉邦「そうか。

   では趙堯、お前が次の御史大夫だ」

趙堯「承知しました」

 

なた「というわけで劉如意を守る為に副首相クラス(御史大夫)

   の人事異動が決まっちゃったのでした」

コトタ「漢に必要な人物が……」

なた「この人事は口うるさい周昌が煙たかったのもあったでしょうけどね。

   上で話した通り"口うるさいが忠義に厚い"ってとこが選出理由でしょう」

コトタ「趙堯は忖度して周昌を推したってことですか……」

なた「恐らく。

   まあ前回の終盤に話したのと同じで憶測でしかないんですがね。

   では今回はここまでとしましょう!」

コトタ「はーい!

    次回の教えて!項羽と劉邦をお楽しみに!」

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