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コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第77回

なた「前回は韓信、季布、鍾離眜のその後を話しました」

コトタ「鍾離眜はちょっとだけですけどね」

なた「また次回話すことになりますがね」

コトタ「後日と仰ってたので、もう少し後の回と思ってました」

なた「多分次回です。

   今回の分量が予定通りならば!!!」

コトタ「いい加減ちゃんとしましょう……」

なた「はい……」

 

みんなのその後・その2

なた「というわけで今回はトリックスター田栄の弟、

   斉王を一瞬だけ名乗った田横のその後から」

コトタ「あれ?本編始まってた!?」

なた「始まってますよ!!」

コトタ「そうですか……。

    えっと田横は灌嬰に敗れてから彭越を頼って逃げたんでしたね」

なた「その通り。

   田横はホームステイ先の彭越が梁王に封じられたのもあって、

   劉邦に誅殺されるのを恐れて海を出て、とある島へ逃げました」

コトタ「ホームステイって……」

なた「その島は現代でも"田横島"と呼ばれているのですが、

   それは田横が由来なのです」

コトタ「ほええ……」

なた「場所はググればGoogleマップでも出てきますので、

   そちらを参考にしてください」

コトタ「本当だ!!」

なた「田横は斉の人々から尊敬も信頼もされていてですね。

   500を超える賢者が田横に従って島に移住したみたいなんです。

   劉邦はそれを知り"田横を放置していれば後々の災いになるだろう"

   と危惧しました」

コトタ「それ程の人物なのですかね?」

なた「この企画では田横のことを大人物とは描いてませんでしたが、

   彼はそれ程の人物なんですよ」

コトタ「ふむふむ」

なた「劉邦は田横の罪を許すことを公言し、島に使者を送りました。

   "朝廷に参内するように"と」

コトタ「許されたのなら田横にとっては万々歳なのでは?」

なた「そうも行かない事情があるでしょう?

   田横は酈食其を釜茹でにしちゃってるんですから」

コトタ「あー……」

なた「それだけならまだしも酈食其の弟、酈商は漢の将軍です」

コトタ「追い打ちだぁ……」

なた「なので田横はそれらを理由に、

   謝罪と共に入朝を拒否しております」

コトタ「劉邦はどう反応したのでしょう?」

なた「使者から田横の言葉を聞いた劉邦は酈商に言いました。

   "これから斉王の田横が洛陽に来る。

    もし彼の従者を含めて害するようなことがあれば、

    一族皆殺しにするからな!!"と」

コトタ「酈商からすれば微妙な気持ちになりそうなお達し……」

なた「劉邦は改めて使者を田横に送り、酈商に伝えた内容に加え、

   "田横よ。お前が洛陽にくれば王か侯に封じるだろう。

    しかし来なければどうなるかわかってるよな?"と伝えたのでした」

コトタ「酈食其のことを気にしないでいいなら、

    田横に憂いはなくなりましたね」

なた「というわけで田横は斉の賓客2人を連れ、使者と共に洛陽へ赴くことになりました。

   ですが洛陽の30里程手前の地で止まります。使者がその理由を問うと

   "臣下が陛下に会うならば体を清める必要がある"と使者に伝えたのでした」

コトタ「まあ理由としては真っ当ですね」

なた「使者が離れたところで田横は賓客2人に話し始めます」

 

田横「私は漢王と同様に南面して君主を称しておりました。

   だが今はどうでしょうか。漢王は皇帝となり、

   私は陛下の虜として北面し仕える立場にあります。

   これだけでも私は大変恥辱を感じているのです。

   さらに私は酈食其殿を釜茹でにしたにも関わらず、

   弟の酈商殿と共に陛下に仕えないといけません。

   例え酈商殿が陛下の詔から私を害さないとしても、

   私は一生慚愧の心を持ち続けることでしょう。

   そもそも陛下が私を呼んだのは、ただ私の顔が見たいだけのことです。

   今私の首を斬って30里先の洛陽に赴いたとしても、

   私の顔は変わらず見ることができるはずです」

 

コトタ「まさか!?」

なた「田横は自刎しました。

   賓客2人は田横の首を洛陽まで運び、劉邦に謁見しております」

コトタ「そんな最期だったとは……」

なた「劉邦は田横の首を見て、また田横の礼節を知り、涙を流しました。

   "庶民から身を興して強国斉で兄弟3人が揃って王となったのだ。

    田横が賢人でないはずがなかろう……"と」

コトタ「賓客も辛かったでしょうね……」

なた「田横の礼節を称賛し、王の礼式で葬儀と埋葬を行なっております。

   また賓客2人にも官職を与えました。

   しかし賓客2人は田横の埋葬地の側に穴を掘って自刎したのです」

コトタ「主君に殉じたんですね……」

なた「劉邦はそれを知って"田横島のみんなが賢人に違いない"と使者を送り、

   500人全てを洛陽に招きましたが、田横の死を知った全員が」

コトタ「まさかーーーーーーー!?!?」

なた「自殺しています」

コトタ「最初は疑いましたが、確かに田横は"それ程の人物"でしたね……」

なた「ええ。

   次に燕王の臧荼のお話をしましょう」

コトタ「臧荼は序盤から名前だけは出てましたが、

    ほとんど活躍はないですよね?」

なた「燕がそもそも楚漢戦争から遠い場所ですからね。

   そんな臧荼が反乱を起こしています」

コトタ「何でまた!?」

なた「理由は不明です。

   劉邦自身が征伐へ出向き、負けた臧荼は処刑されています」

コトタ「あっさりし過ぎです……」

なた「そして"誰を次の燕王にすればいいだろうか?"と群臣に問うと

   皆が盧綰を推薦したので、盧綰が燕王に封じられたのでした」

コトタ「皇帝の義弟みたいなものですしね」

なた「ですね。

   ちなみに臧荼なんですが、実は孫娘が結構重要人物の親族でしてね」

コトタ「ほう……?」

なた「孫娘は臧児というのですが、その娘(つまり曽孫)が王皇后と呼ばれる人でして」

コトタ「皇后!?」

なた「その王皇后の子が前漢中興の祖とされる武帝なんです」

コトタ「凄い繋がりだった……!!」

なた「続きまして2人の王についてですが……」

コトタ「ですが?」

なた「1人は臧荼以上に内容が薄いのは気にしないように。

   刎頸コンビの片方で項羽には常山王、劉邦には趙王に封じられた張耳、

   それと番君と称され、長沙王に封じられた呉芮が亡くなっています」

コトタ「あらら……」

なた「それぞれ息子の張敖と呉臣が後を継いだのでした」

コトタ「張敖は鉅鹿の戦いで登場してましたね。

    陳余と共に待機してて、何もしなかったみたいですけど……」

なた「劉邦即位の時点で張敖が趙王になってるっぽいので、

   張耳はそれ以前に死んでいたと考えられます。

   即位前の劉邦の台詞で"趙王張耳"としていたのは、

   今回この話をするのであえて嘘を書いてたわけです」

コトタ「細かすぎて気付きませんよ!?」

なた「むう……。

   で、恐らくこのタイミングだと思うのですが、

   張敖は魯元公主を娶っております」

コトタ「誰……?」

なた「序盤から何度か登場させてるんですがね。

   名前を出すのは初めてでしょうか?

   というか本名は不明ですけど」

コトタ「うーん……。

    公主が女性の称号だってのは記憶にあるんですが……」

なた「おお、よくご存知で。

   公主は皇帝の娘の称号なんですよ」

コトタ「これまで何度か登場している皇帝の娘って……」

なた「そう、魯元公主は劉邦の娘です。

   元公主は皇帝の長女の称号でもあります」

コトタ「なるほど」

なた「さて初登場の呉臣はここでは特に何もないです」

コトタ「本当に臧荼以上にあっさりだった……」

なた「では"みんなのその後"は一旦終わりです。

   これからの内容も大半が"みんなのその後"なんですがね。

   紀元前202年も今回で終わりで、次回からは紀元前201年です。

   そして冒頭の約束通り鍾離眜とある人の没落の話をします」

コトタ「気になる終わり方ですね……」

なた「では次回をお楽しみにー!!」

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