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コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第74回

なた「項羽が死んでからも色々ありましたが、

   何とか天下は劉邦の元で平定されました」

コトタ「劉邦の治世の始まりですね」

なた「そうなります。

   では前回の予告通りの大イベントを見ていきましょうか」

コトタ「はーい」

 

高帝即位

なた「劉邦は臣下を封じ、民に大赦を行いました。

   となれば次は劉邦自身がどうなるかです」

コトタ「今はまだ漢王ですものね」

なた「ええ。

   案の定と言うべきか、お約束と言うべきか、

   諸侯や将軍、宰相らが劉邦に尊号を名乗るように、

   つまり皇帝に即位するように、と上書しています」

コトタ「やっぱり天下統一をしたってのが理由ですかね?」

なた「それもありますね。

   そこらは詳しく残ってるので、劉邦が即位に至るまでの

   会話を見てみましょう」

コトタ「お願いします」

 

諸侯「我ら諸侯王が漢王に死を冒して発言致します」

劉邦「楚王韓信、淮南王黥布、梁王彭越、韓王信、趙王張耳、燕王臧荼、

   それに元衡山王呉芮か。話すがいい」

諸侯「秦が道義を外れた行いをした為、天下が兵を挙げました。

   その際、漢王は最初に関中に入り、秦王を降し、最も功績を立てたのです。

   滅びた国や途絶えた家系を復興させたことで民衆を安心させたのも漢王です。

   それに我らを王に封じて領地を分けてくれたのも漢王です。

   しかし我ら諸侯王と漢王が同じ王位にあるのはおかしくないでしょうか?

   このままだと漢王の威徳を未来へ残すことができません。

   漢王、どうか皇帝に即位ください」

劉邦「帝位とは賢者が即くものであろう。

   お前達諸侯王は俺を高く評価しているようだが、

   俺はそんな立派な人間じゃねえ」

諸侯「漢王は元々決して高い地位におりませんでした。

   そこから身を起こして秦を倒し、僻地の漢中に封じられてからも徳を行い、

   不義である項羽を倒しました。そして我らを用いて天下を平定しました。

   我らは皆領地を分け与えられ、漢王は天下を独り占めしようともいませんでした。

   そんな漢王の徳は我ら諸侯の中で並ぶ者は1人としておりません。

   だから漢王こそ帝位に相応しいのです」

劉邦「ふむ……。

   お前達が言うならばそれが天下にとって利益があるのだろうな。

   よし、俺は皇帝に即位しよう」

 

なた「劉邦は皇帝に即位しました。

   国号は漢中に封じられ漢王を名乗ったこともあって、漢としています。

   廟号は太祖、諡号は高皇帝ですが、一般的には高祖と呼ばれます」

コトタ「ああ、だから高祖なんですね」

なた「それに併せて王后の呂雉は皇后となり、

   王太子の劉盈は皇太子となっています。

   また劉邦の母親である劉媼は既に亡くなっていますが、

   昭霊夫人と追尊されております」

コトタ「劉太公はどうなったのです?」

なた「時系列としては少し後の話となりますが、

   そっちも先にやっておきましょうか」

コトタ「気になるので是非是非」

なた「劉邦は皇帝になってからも5日に1度は劉太公に会いに行き、

   庶民の父子と同じ礼式に則っていました」

コトタ「劉邦は儒教嫌いだったんじゃ……?」

なた「それでも父親は父親ですし、尊敬すべき相手だったのでしょう。

   そんな劉邦と劉太公のやり取りを日々見ていた劉家の家宰が言います。

   "天に太陽が2つ無いように、地には2人の王(この場合諸侯王ではなく天子)はおりません。

    陛下は太公の子息ではありますが、それ以前に天下の主です。

    太公は陛下の父君ではありますが、それ以前に臣下です。

    どうして主が臣下に拝するのでしょう?これでは陛下の威徳が天下に及ばなくなります"と」

コトタ「確かに……。

    皇帝の父親でも皇帝ではないですしね」

なた「劉太公は家宰の言葉を受け入れたのか、

   ある日に劉邦が会いに来ると外まで出迎え、平伏しました。

   劉邦は驚いて車から降りて劉太公を抱きかかえます。

   すると劉太公は畏れ多い態度をしてこう言います。

   "陛下は天下の主ですよ。どうしてワシの為に

    天下の決まりを乱すのでしょう?"と」

コトタ「劉邦は皇帝であってただの孝行息子ではいられない……」

なた「というわけで劉邦は天下に布告しています。

   内容はこんな感じ」

 

劉邦「父子の絆以上のモノなんてこの世にはないだろう。

   父が天下を手にすれば、それは子に継承される。

   逆に子が天下を手にしたのなら、父が尊貴になるのは当然だろう?

   天下が乱れ、俺がそれを平定できたのも父の教えがあったからだ。

   諸侯や将軍らは俺を皇帝と呼ぶが、父に尊号がないのはおかしい。

   これから父を太上皇とする。わかったな?」

 

コトタ「あー、そうすれば劉邦が劉太公に拝するのも問題がなくなりますね。

    太上皇帝ってことですか?」

なた「いえ、帝ではないです。

   帝は天子に付けられる号だから、という理由みたいですね。

   ちなみに太上は"一番上!これ以上は存在しない!"って意味があります」

コトタ「あの……そうなると太上皇と皇帝のやり取りに

    口出しした家宰はどうなっちゃったのです……?」

なた「"余計なこと言いやがって!"と殺されそうな気もしますが、

   逆に称賛され500斤の黄金が下賜されていますね」

コトタ「良かった……」

なた「さて話は一気に変わりますが、元衡山王の呉芮について。

   どのタイミングかわからないですけど、

   項羽に領地を奪われていて、元々の番君を名乗っていたのです。

   劉邦や黥布にとっても恩がある人物ですので、

   呉芮は改めて長沙王に封じられています」

コトタ「呉芮の部下の梅兇藁邦と協力して戦ってましたものね」

なた「よく覚えてますね。

   それと少し前に韓信と蒯徹の会話で兎死狗烹の例えが出て、

   范蠡と文種の話をしましたが、彼らの時代の越王が勾践です。

   その子孫が無諸という人物で、彼は秦によって越の領地を奪われ、

   反秦でも協力してくれましたが、項羽は取り立てておりませんでした

   その為、劉邦が復権させて閩粤王に封じております」

コトタ「そんなとこまでフォローしているんですね。

    武王が五帝の子孫を封じたのを思い出します。

    王と言えば捕まった共尉はどうなったのです?

    この流れだと劉邦に許されてそうですが」

なた「そっちは処刑されてますね」

コトタ「あらら……」

なた「では今回はここまでとしましょう」

コトタ「次回をお楽しみに!!」

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