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コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第63回

なた「劉邦が韓信にサプライズ作戦を決行したのが前回」

コトタ「サプライズどころの話じゃないですよ!!」

なた「仰る通りで……。

   では今回のオープニングトークはいつも以上に話すネタがないので、

   すぐ本編へ行っちゃいましょう!」

コトタ「素直!!!」

 

楚漢拮抗

なた「項羽から何とか逃れた劉邦は韓信や張耳の兵権をGETしたことで

   再起に成功しました」

コトタ「再起というか、成功というか……」

なた「すぐに劉邦は脩武まで軍を進めて、楚へのリベンジを考えております」

コトタ「脩武?」

なた「位置的には黄河を挟んで滎陽の北側辺りですね。

   しかし"リベンジはまだ早いですって!"と臣下に諌められ、

   素直にそれを受け入れています」

コトタ「"まだ早い"というより項羽を直接攻撃して勝てるんなら、

    もう何度も勝ってるはずですしね」

なた「悲しいことにその通りですね。

   というわけで守りに徹し、搦め手から攻撃する方針に転換し、

   盧綰、そして劉賈を白馬津から黄河を渡らせて彭越と合流させました」

コトタ「劉賈は劉邦の親戚か何かですかね」

なた「ええ、急にこのイベントから登場した劉邦の従兄ですね」

コトタ「幼馴染ってだけでなく事実上双子の弟な盧綰、

    従兄ってことは本当の兄弟同然(当時の中国では普通の考え)の劉賈、

    信頼できる2人に搦め手作戦を任せたんですね」

なた「前回話した通り、彭越がひたすら続けていた後方作戦の援護ってとこでしょう。

   盧綰と劉賈は彭越と共に燕県の西にある楚軍の食糧基地を破壊しています。

   これにより楚軍は食糧不足に陥ってしまいました」

コトタ「燕の西って黄河より北側じゃないですか?」

なた「ああ、失礼。

   燕は燕でも南燕国ってのが周の時代にありましてね。

   現代だと河南省辺り、三国志だと豫州辺りのことです」

コトタ「それなら黄河の南側ですね」

なた「ですです。

   楚軍は当然彭越らを攻めますが、一旦は戦わずに守るを徹底しています」

コトタ「そっちでも守備優先なんですね」

なた「いえ、その後彭越らは魏(梁)の故地を攻めてほとんど城を奪還してますし、

   守るだけでは終わってませんね」

コトタ「そう言えば気になってたんですが、以前から魏とか梁とか話してますけど、

    どっちなんですか?」

なた「そっちも説明してませんでしたか……。

   えっと戦国七雄の1つでもある魏のそもそもの都は安邑です。

   韓信が魏を攻めたお話の時にも登場してますね」

コトタ「教えて!三国志でも献帝が長安から洛陽へ向かう途中で安邑

    を経由している話をしてた気がします。

    確か夏の禹王が都とした場所で、現代だと山西省の夏県」

なた「よく覚えてますね。大正解です。

   ググってもらうとわかるんですが、紀元前350年前後の

   三晋(趙魏韓)の領土ってすごい歪でしてね。

   魏は韓の西北東をぐるっと囲むような感じで、西側は秦と隣接、

   東側は斉と隣接って状況だったんです」

コトタ「あー、言葉では説明しづらい形してますね……」

なた「時期によっては魏が周を取り囲んでたり(春秋時代)、

   韓が西側で秦と隣接してますがね。

   で、秦が商鞅によって富国強兵され、魏の西側を攻め、

   ほとんど奪われちゃったわけです。

   そうなると西側に位置している安邑が都では危険だということで、

   東側にある大梁という土地に遷都したわけです」

コトタ「何気にビッグネームが登場した気もします……」

なた「というわけで大梁に遷都してからの魏は国号を梁とも呼ばれてるんです。

   これまで魏の故地と言ってた場合、だいたい梁の故地だったと考えていいです」

コトタ「なるほど」

なた「ややこしいので魏で統一してたりしましたがね。

   後々のことを考えると梁の説明もしてないといけない時期でした」

コトタ「よくわかりました」

なた「では本編に戻りますが、彭越が梁を掌握したことは項羽の元にも報告が届きます。

   項羽は成皋の守りを大司馬の曹咎に任せ、こう話しています。

   "俺が15日以内に彭越を倒して梁地を取り戻してくる。

    お前は劉邦が挑発してきても絶対に乗るんじゃないぞ。

    漢軍が東に来させないようにするだけでいいからな"と」

コトタ「劉邦自身は北側にいますが、その他の漢軍は関中側(西)にいますものね。

    あれ?曹咎って捕まってた項梁の釈放を願った刑務官では?」

なた「よく覚えてますね。

   その時にコトタさんは"曹咎はまた登場するんですね"と言い、

   "名前が出たからって重要人物と思わないでください"となたちゃんは答えましたが、

   この時点の楚漢戦争の最重要拠点とも言える成皋の守りを任せられる立場になってます」

コトタ「しかも大司馬だし重要人物じゃないですか!」

なた「ですね。

   項梁の恩もあったので重用してたみたいです。

   ちなみに曹咎と共に成皋を守ってたのが司馬欣なんですが……」

コトタ「劉邦が攻めてきたらすぐに帰順して、

    彭城で敗れて失墜したら楚側に戻った元塞王ですね」

なた「ええ。

   上で話した曹咎初登場時に上司が司馬欣だってことも書いてたでしょう」

コトタ「あーーーーーーーーーー!

    そんな繋がりがここで……」

なた「歴史はこういうところが面白いんです。

   今回は脱線が多いな……。また本編に戻りますが、

   項羽は約束通り15日以内かはわかりませんが、

   宣言通りに梁地を回復しております。まだ成皋には戻ってませんがね」

コトタ「彭越は項羽本人が来たら守るというより逃げるんでしたね」

なた「ええ。

   せっかく彭越が取り戻した梁地まで再び奪われ、劉邦は悩みます。

   "もう成皋より東側の土地の攻略は諦めて、

    鞏や洛陽で楚に対抗するしかないか……"と」

コトタ「また脱線させて申し訳ないのですが、鞏って……?」

なた「位置で言うと、函谷関>洛陽>鞏>成皋>滎陽です。

   かなり省略してますが」

コトタ「彭城敗戦直後、滎陽で楚と対峙していたのに、

    どんどん最前線が西に追いやられてるんですね……」

なた「そういうことですね。

   つまり、このままでは関中に押し戻されてしまう可能性もあるんです。

   "どうしよう"と悩む劉邦に助言を与えた人物がいました」

コトタ「この感じは張良か陳平ですね!?」

なた「いえ、腐れ儒者こと酈食其です」

コトタ「この前ボロクソ言われたばかりなのに……。

    それにしても劉邦は彼をクビにしたりしないんですね?」

なた「これまで十分な功績がありますからね。

   弁が立ち、漢軍の内情もほとんど知り得てる酈食其を、

   例え殺したとしても、野に下らせることはないでしょう」

コトタ「現代だと過激な表現ですが、仰る通りで……」

なた「では酈食其がどんな助言をしたかは次回にしましょう」

コトタ「はーい!

    次回また会いましょう!!」

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