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コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第62回

なた「前回、惜しまれて亡くなった臨江王の共敖でしたが、

   その遺志は息子の共尉に受け継がれていました」

コトタ「そんな話全くしてないですよ!!!」

なた「そうでしたっけ……。

   冗談は置いといて今回は滎陽から脱出できた劉邦のお話がメインです」

コトタ「滎陽の西へ逃げたってことは、黥布が配置された成皋が目的地?」

なた「そこからは本編に入ってるので本編行っちゃいます!!」

 

韓信「えっ」

コトタ「今までで一番ふざけたサブタイトルですね……?」

なた「四司馬死や愉快な仲間達よりですか!?」

コトタ「同じくらいですよ!!!」

なた「このサブタイトルは今回の後半の内容ですので、

   一旦気にしないでおいてください。

   冒頭でもコトタさんが話していた通り劉邦は西へ逃げました」

コトタ「でしたね」

なた「で、成皋を経由して函谷関を通って関中に戻っています。

   その時、黥布らも一緒に連れていってると思われます。

   それで成皋は楚に奪われちゃってます」

コトタ「成皋は放棄したってことでしょうか?

    つまり滎陽も陥落しちゃってる?」

なた「いえ、滎陽は韓王信や周苛が粘ってるので何とかまだ保持していますね。

   劉邦は関中で兵を集め直して、再度東へ向かおうとしましたが、

   ここで袁生という人物に引きとめられています。

   恐らく袁という姓の客人、先生なんでしょうけど」

コトタ「ふむふむ」

なた「"王様と項羽が滎陽を挟んで対立し始めてしばらく経ちましたが、いつも漢が劣勢です。

    王様は函谷関(関中の東)からではなく、武関(関中の南)から進軍すべきでしょう。

    それを知れば項羽は絶対に軍勢を南に向けます。

    でも王様は項羽と戦ってはいけません。ひたすら守るのです。

    そうしてる間に滎陽の防衛は休むことができます。

    また韓信に趙燕斉を平定させて北側から楚を攻撃させましょう。

    王様が東に向かうのはそれからでも遅くありません。

    楚は東西南北を囲まれるので軍を分けるしかなく、

    逆に我々は十分な休息を取りながら戦うことができます。

    そうすれば次に楚と決戦となった場合でも必ず勝てるでしょう"

   と袁生は劉邦に説明したのです」

コトタ「なかなかの策士ですね」

なた「劉邦は袁生の提案を受け入れて、黥布と共に武関から出立し、

   宛に駐屯しました」

コトタ「宛と言えば三国志でもよく出てくる城ですね。

    典韋が死んだ場所ですし、司馬懿が孟達を攻めた時にいたのも宛でしたっけ?」

なた「よくご存知で。

   位置的には洛陽や滎陽から南に下りたところにあります。

   劉邦が宛にいると知り、項羽は軍を連れて宛まで南下しています」

コトタ「袁生の言った通りになってますね!?」

なた「ええ。

   となれば袁生に言われた通りにすべきでしょう。

   劉邦は項羽とは戦わずひたすら守るだけでした」

コトタ「滎陽は休息タイムですね」

なた「ですです。

   で、ここで登場するのが熱血おじいちゃん!」

コトタ「彭越!!!」

なた「彭越は魏の宰相に任命されて魏(梁)の故地を攻略していました。

   しかし劉邦が彭城で惨敗した勢いで、攻略した城を楚に奪われてしまいましたが、

   1人でずっと踏ん張っていたのです」

コトタ「踏ん張ってって、何をしていたのです?」

なた「漢の遊撃軍って感じでうろうろしてました。

   主に楚の兵站線を断絶させる動きを繰り返してたのですよ」

コトタ「地味に見えますが、かなり重要なことしてたってことですね」

なた「その通り。

   項羽が南下したと知るや、彭越は東阿へ攻めて大勝。

   さすがに項羽も彭越の強さは知ってるので、放置できないと判断し、

   劉邦との戦線を離れ東へ転身したのでした」

コトタ「項羽がいなくなったとすれば劉邦は?」

なた「もちろん北上しています。

   そして成皋を奪い返すのに成功したのでした」

コトタ「おー!」

なた「しかし、ここからまた事態が急変します。

   えっと、まず彭越の基本戦略は楚の後方をめちゃくちゃにして、

   項羽本人が来たら逃げる、ってのに終始していました」

コトタ「ええ……」

なた「かっこ悪いと思うかも知れませんがね。

   彭越の戦略のお陰で漢軍は項羽の猛威を受け続けないで

   済んでいたって事実もあるんです。

   "項羽は絶対に自分をほっておかない"と見抜いていたからこそ、

   ヒット&アウェイを繰り返していたんでしょうね」

コトタ「なるほど」

なた「というわけで彭越は項羽本人が東に戻ってきたので逃げています。

   まあ"彭越を破った"とあるので戦わずに逃げたわけではないでしょうけどね。

   さて項羽が"あの爺さん、また逃げやがった!"と怒っている頃に

   劉邦が成皋を奪還したという報告が届きます」

コトタ「ってことは項羽はまた西へ向かう?」

なた「南から東、そして西へと大忙しです。

   項羽は成皋を攻める前に地味に粘り続けていた滎陽を陥落させています」

コトタ「通り道ですもんね……」

なた「滎陽を守っていた周苛と樅公は殺され、韓王信は捕虜となっております。

   ちなみに項羽は周苛を釜茹でにしてるのですが、その前に"上将軍にしてやるぞ"と楚に誘っています。

   "お前なんかが我が王(劉邦)に勝てるわけないやい!"と反発されてるんですがね」

コトタ「そんな子供っぽい言い方で反発してないでしょう!?」

なた「多分してないと思います。

   話を戻しまして、滎陽を陥した項羽は勢いのまま成皋を包囲。

   劉邦は"やっべー!逃げるぞ!!"と夏侯嬰だけを連れて北門から逃げ黄河を渡ったのでした」

コトタ「袁生の進言と彭越の活躍で盛り返したと思ったら……。

    ああ、事態が急変ってのはこのことでしたか……」

なた「ですです。

   で、サブタイトルの話が始まります」

コトタ「忘れてた頃に来た!?」

なた「黄河を渡った劉邦がやってきたのは趙の陣営です。

   そこには韓信と張耳がいます」

コトタ「2人に救援を頼むってことですね」

なた「いえ、劉邦は趙の陣営に"漢の使者でーす!"と入ってるんです。

   これが早朝のお話で、まだ韓信も張耳も寝ている時だったんですけどね」

コトタ「何でそんなややこしいことするんですか……」

なた「そして大将の営舎に忍び込んだ劉邦は

   韓信の印綬(軍権や兵権の証)を手に入れ、

   "ここの将兵は全部俺のものーーー!!!

    お前はあっち!お前はこっち!お前はそっち!"

   と将兵の配置を勝手に変え始めたのです」

コトタ「えっ」

なた「目を覚ました韓信と張耳の反応もまさにそれだったんですよ」

コトタ「サブタイトルの意味がやっとわかりました……」

なた「劉邦は夏侯嬰だけ連れて逃げたのもあって、再起するには将兵が必要でしょう?

   関中へ逃げ込む余裕もなかったでしょうから。

   なので韓信らの兵権を奪う為に黄河を渡ったわけです」

コトタ「いやいや……味方ですし、そんなことしなくても……」

なた「張耳と韓信には改めて兵権を持つ劉邦が将兵を分け与え、

   張耳には北方の守りを任せ、韓信には斉を討つ様に命じたのでした」

コトタ「斉は劉邦を除けば元々反項羽の筆頭みたいなものですし、

    同盟しちゃって、韓信に項羽と当たらせればそれで解決なんじゃ?」

なた「私もそう思うんですけどねぇ。

   項羽を韓信が倒しちゃったら、劉邦の立場が弱くなってしまう、

   というか韓信の立場が強くなり過ぎるのを懸念はあったのでしょう」

コトタ「八王編に似た権力争いの匂いが……」

なた「みんな聖人君子ってわけではないですからね。

   給料貰って仕事するのが当たり前な様に、

   爵位や封地、恩賞を貰う為に功績を挙げたいんですから。

   それが将来的には権力に繋がるわけですし。

   歴史に名を残したい、だとかそういう理由もあるでしょうけどね」

コトタ「ふむう……」

なた「というわけで韓信と張耳の軍を手に入れた劉邦はひとまず安泰です。

   成皋にいた他の将兵も順番に脱出し、劉邦に合流しています」

コトタ「劉邦が持ち直したのはいいとして、成皋がまた項羽に奪われちゃう?」

なた「後の記述を見ると結果的には奪われてるみたいですね」

コトタ「ここ最近劉邦がうまく動いてると思ってましたが、

    よく読むとひたすら負けて逃げてるだけでしたね……」

なた「そもそも楚漢戦争の劉邦の対項羽戦績は1勝72敗と言われてるんです。

   72回本当に戦争したわけではないですけどね。

   それぐらい劉邦は負け続けてたんですよ」

コトタ「ほええ……」

なた「その1勝はまだ少し先のお話となりますがね。

   では今回はここまで」

コトタ「次回また会いましょうー!!」

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