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コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第61回

なた「陳平の謀略によって項羽は右腕を失いました」

コトタ「自ら右腕を斬り落とした様な状況ですがね」

なた「ですね。

   とは言え、楚軍が滎陽を包囲しているのは変わっておりません。

   食糧も尽き、どうすることもできない状態となりました」

コトタ「さすがに蕭何が頑張っても包囲されてれば輸送も困難ですものね」

なた「というわけでやっぱりここでも陳平が活躍しているので、

   そのお話をしていきましょう」

コトタ「はーい」

 

包囲網脱出

なた「鴻門の会で劉邦と共に逃げたメンバーの中に

   紀信という人物がいたのを覚えてますか?」

コトタ「ああ、いましたね」

なた「その紀信が劉邦に言いました。

   "このままだと王様は絶対絶命です。

    私が囮となって項羽を騙すので、その間にお逃げください!"と」

コトタ「死を覚悟した囮作戦ですよね……」

なた「ええ。

   これも陳平が考えた謀略らしく、所謂金蝉脱殻の計です」

コトタ「あー、ありましたね」

なた「陳平は夜になると甲冑を着せた女性2000人を滎陽の東側から出します。

   楚軍はそれを見つけると攻撃し始めました。

   そこで紀信が王の車に乗って出て行ったのです」

コトタ「女性も囮にしたってことでしょうか……」

なた「現代倫理で考えればろくでもない作戦ですけどね。

   悲しいことに王や君主が生きる為なら臣下や将兵、民衆の命なんて

   って考え方が普通でしたから」

コトタ「まあ時代の違いでしょうしね……」

なた「さて紀信は楚兵に伝えます。

   "食糧が尽きたから俺は項羽様に降伏する"と」

コトタ「あれ?紀信が乗ってるのは王の車……劉邦の振りをしたってことですか!」

なた「ですです。

   劉邦が降れば戦争は終わりですからね。

   楚兵は皆東側に集まってきて万歳をしていたのです」

コトタ「ってことは包囲がなくなった?」

なた「その通り。

   包囲が消えたタイミングで劉邦は滎陽の西側から脱出したのです」

コトタ「紀信はどうなったのです?

    というか兵士は騙せても項羽は劉邦を知っているのですから騙せませんよね」

なた「そりゃもちろん騙せません。

   あくまで劉邦が脱出させることだけが目的ですから問題ないんですけども……。

   項羽は紀信に会うと騙されたことに気付きます。

   "劉邦はどこいった!!!"と怒鳴りつけると

   "王様はもう逃げたよばーか!!!"と返事」

コトタ「"ばーか!!!"とは言ってないでしょう……」

なた「記述はないけど言ってそうな気がします!

   というわけで紀信は項羽に焼き殺されてしまいました」

コトタ「あらら……」

なた「で、劉邦は逃げ出したものの滎陽を空にするわけにはいきません。

   滎陽の守りに残ったのが韓王信、周苛、樅公(初登場)、

   そして魏豹です」

コトタ「周苛は漢最初の御史大夫でしたね。

    それにしても魏豹って裏切り大好き魏王の魏豹ですか……?」

なた「その裏切り大好き魏豹です。

   先日、韓信に捕らえられて滎陽に送られたって話したでしょう。

   身の程知らずなのか恥知らずなのか、漢に仕えてましてね」

コトタ「諦めが悪いのか、また何か企んでるのか……。

    あと初登場の樅公ってのは?」

なた「このイベント内で突如登場する人物ですが、

   最重要拠点でもある滎陽の守りを任せられる人材と考えれば、

   それなりに劉邦から信頼を受けていたのでしょう」

コトタ「さらに言えば、劉邦は逃げてるのですから、

    項羽に殺される覚悟もあったってことですね」

なた「ですね。

   陳平にも"周苛や樅公なら王様の為に死も覚悟できる"と言われてますし。

   さて滎陽で魏豹が殺されました」

コトタ「いきなり何で!?」

なた「周苛と樅公が"あの裏切り者がいるのは心配だなぁ"という理由で

   殺しちゃってるんです」

コトタ「そんな……。

    確かに項羽との戦で裏切られても迷惑ですけども……」

なた「実はこれも陳平の謀略でしてね。

   ほら陳平って元々魏豹の兄、魏咎に仕えてたでしょう?」

コトタ「あー。全く用いてもらえなかったんでしたね」

なた「ってことは魏豹とも折り合いは悪かったでしょうし、

   個人的に嫌っててもおかしくなかったと思います。

   なので"周苛らが魏豹を殺してくれるだろう"と踏んで滎陽に残したんです。

   建前上は"魏豹は裏切る心配があるから"らしいですが、

   本音は"私を重用しなかった奴の弟だし!"とか思ってそうだなって」

コトタ「何かひどい……」

なた「三国志の著者である陳寿は賈詡のことを陳平と評していますが、

   このエピソードを見るに法正こそ陳平に似てるなって思いますね」

コトタ「法正も重く用いてくれた劉備には尽くしてましたものね。

    才能はあるけど道義心や道徳心が全くない感じが似てる気がします」

なた「でしょう。

   無事滎陽を脱出できた劉邦の話は次回にするとして、

   魏王だった魏豹が謀略で死んでしまいましたが、

   この年、もう1人の王が死んでいます」

コトタ「王がたくさんいすぎて何がなんだか……」

なた「恐らく名前を出してもピンと来ないと思いますが、

   臨江王、つまり元々楚の将軍だった共敖が死んでいるのです」

コトタ「ああ、いましたね。

    いたのはわかりますが、仰る通りピンとは来てないです」

なた「この企画でも全然名前が出てない人ですからね。

   義帝殺害の時に黥布や呉芮と共に登場させましたが……。

   そもそも王に封じられた理由が南郡(三国時代だと荊州)攻め

   での功績ってのもあって、項羽や劉邦と絡みがほぼなかったんです」

コトタ「じゃあ登場しないですね……」

なた「その共敖が死に、息子の共尉が臨江王を継いでいます。

   紀元前204年に死んだのは確かですが、

   いつの話かわからないのでここで挟んでおきました」

コトタ「登場は少なくても王ですしね」

なた「ですねー。

   といったところで今回は終わりです」

コトタ「次回の教えて!項羽と劉邦をお楽しみに!」

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