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コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第59回

なた「韓信が黄河より北の大半を平定し、黥布が劉邦に帰順しました」

コトタ「そう言えば数ヶ月の足止めはどうなったのです?

    龍且が九江を攻めてきて、黥布は負けてしまいましたが」

なた「ああ、龍且が九江を破ったのが数ヶ月後らしいので、

   足止めはしっかり果たしているみたいですね。

   その間に劉邦が天下を平定する準備ができたかは不明ですが、

   ある程度の力は蓄えることができたでしょう」

コトタ「なるほど」

なた「では本編へ行きましょう!」

コトタ「お願いします!」

 

腐れ儒者

なた「タイトルからわかる通り、今回は酈食其のお話」

コトタ「わかるけどわかりませんよ!」

なた「わかるならいいじゃないですかー!

   さて楚の攻撃が激しくなってきた為、劉邦が酈食其に相談しました。

   どうすれば楚の勢いを止めることができるか、という内容です」

コトタ「さすがの酈食其でも楚を弁舌で降すことは無理ですよね……」

なた「でしょうね。

   項羽に対して劉邦への帰順を説いても、釜茹でにされるのが関の山でしょう」

コトタ「いや釜茹ではやり過ぎじゃ……?」

なた「とりあえずはそういうことにしておきましょうかね……」

コトタ「意味深な反応ーーー!?」

なた「気にしないでください!!!

   ではそんな劉邦と酈食其の相談を見てみましょう」

コトタ「はーい」

 

劉邦「楚の勢いがきついなー。

   酈食其、お前何か良い策とかないの?」

酈食其「かつて殷の湯王が夏の桀王を倒した時、夏の後継者を杞に封じました。

    そして周の武王が殷の紂王を倒した時、殷の後継者を宋に封じました」

劉邦「いきなり何を言い出すんだ?」

酈食其「秦の始皇帝が六国を倒した時、六国の後継者は一切の土地を与えられていません。

    その結果どうなりましたか?」

劉邦「陳勝らの反乱があり、諸侯や俺が秦を倒したな」

酈食其「そう、誰も秦に長く従わなかったのです。

    今こそ王様は六国の後継者を復権させて封地するのです。

    そうすれば皆が漢の徳義を慕い、臣従を願うでしょう。

    王様が覇を唱えれば、楚ですらが北面するはずです」

劉邦「おお!さすが酈食其だ。

   早速六国の印璽を作らせよう。

   お前はそれを持って各国に出向いてくれ」

酈食其「承知しました」

 

コトタ「良い策だとは思うのですが、少し違和感が……」

なた「どういう違和感です?」

コトタ「だって韓信、彭越、黥布に関東の土地を与えるのでしょう?

    その3人だけでなく張耳は既に趙王になってますし、

    他の愉快な仲間達にだって功績に応じて恩賞は必要ですし……。

    劉邦に六国の故地を後継者に与える余裕なんてないのでは?」

なた「その通りなんです。

   酈食其が出発する前に、張良が劉邦と話しています。

   今度はそちらの会話を見てください」

コトタ「わかりました」

 

張良「張良が王様に拝謁致します」

劉邦「張良か、こっちに参れ。

   先日、酈食其が楚の勢いを削ぐ、というより天下を平定する策を示してくれてな」

張良「ほう、どういう策です?」

劉邦「かつて殷の湯王が夏の桀王を倒しただろう?

   (中略)

   だから六国の後継者に故地を与えることを約束しようと思ってな。

   それで今その印璽ができたところなんだよ。

   お前はこの策をどう思う?」

張良「はぁ……。酈食其殿がこんな策を提案したんです?

   これじゃ王様が天下を取るどころか、全てを失いますよ」

劉邦「なんだって!?詳しく説明してくれ!!」

張良「わかりました。1つずつ説明しますね。

   まず湯王や武王が桀や紂の後継者を封じたのは彼らを制御できたからです。

   王様は項羽を制御できますか?」

劉邦「できぬ……」

張良「武王は殷を滅ぼしてから、商容を賞し、箕子を獄から解き、

   比干の墓を詣でました。今の王様にそんなことできますか?」

劉邦「で、できぬな……」

張良「次に武王は食糧や金銭を貧民に下賜しました。

   今の王様にそんな余裕ありますか?」

劉邦「ない……」

張良「武王はさらに戦車を馬車に変え、武器を逆さまに置いて、

   もう戦争をすることはない、と天下に示しました。

   今のこの状況で王様は兵器や将兵を捨てることができますか?」

劉邦「できるわけなかろう!」

張良「まだ続きますよ。

   武王は騎馬を華山の南で休めさせ、牛を桃林の北に逃し、

   戦争用にも輜重用にはしない、と天下に示しました。

   これらはどうでしょうか?」

劉邦「だからできないってば!!」

張良「先祖の墓があり、家族や友人のいる故郷を離れ、

   王様に付き従ってる臣下がたくさんいますよね?

   皆いずれ少しだとしても封地を賜ることができると信じて

   王様の元にいるのですよ。もし今六国の後継者を封じたら、

   彼らは皆故郷へ帰ることでしょう。

   王様は誰と一緒に天下を取ろうと思ってるんです?」

劉邦「お前ら臣下と共に決まっておろう!!」

張良「そもそも今は楚だけが強い状態です。

   他の六国が復活したとしても弱いのはわかってますよね?

   弱い六国は強い楚を頼り、従うかもしれません。

   どうやってそんな六国を王様は臣従させるのです?」

劉邦「わからぬ……」

張良「以上の理由から酈食其殿の策を用いるのは反対です。

   何度でも言いますが、王様の全てが失われますよ」

劉邦「くそう!あの腐れ儒者の所為で俺の天下取りが

   台無しにされるとこだったわ!

   作った印璽は全て破壊しろ!!!」

 

なた「というわけで酈食其の策は却下されたのでした」

コトタ「最後の台詞見てると劉邦が身勝手過ぎる気もしますがね……」

なた「彼の儒者嫌いは変わらないですからね」

コトタ「それにしても張良は批判しただけで、代わりの策を提示してないですよね。

    結局楚の勢いはどうやって削ぐのでしょうか」

なた「そこらは次回です!

   当代最高の謀略家が活躍しますよ!!!」

コトタ「陳平ですね、わかります」

なた「ぼかしたのに……」

コトタ「ぼかす意味がないんですよ!!

    続きは次回の教えて!項羽と劉邦で!!」

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