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コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第51回

なた「劉邦はここまでの快進撃の勢いのまま項羽の本拠地である

   彭城を制圧しましたが、斉攻略から転身してきた項羽の急襲で大敗。

   父と妻は項羽の人質となり、諸侯からは離反され、

   自軍も散り散りとなって劉邦は普通なら立ち直れない状況に陥りました」

コトタ「そんな状況から失意のままフェードアウトした人物は

    歴史上にたくさんいますものね」

なた「そこで再び立ち上がれるのが、英雄や天下人なのでしょう」

コトタ「ですね……」

なた「劉邦はどうなったか、見ていきましょう」

コトタ「お願いします」

 

関東三将

コトタ「武田、上杉、北条……?」

なた「違います!!!」

コトタ「ですよね……」

なた「では本題に行きますよ!

   えっと、劉邦は離散した兵を少しずつ集めながら西へ逃げていました。

   この間も当然ですが項羽軍の追撃を受けています」

コトタ「関中近くまで逃げないといけませんね……」

なた「ええ、とりあえずの劉邦の目標は滎陽でした。

   そこで兵を合流させようとしてたわけです。

   位置的には洛陽の東なので、函谷関(関中の東の入り口)までは少し遠いですが」

コトタ「呉広が李由(李斯の息子)と戦ってた場所ですね」

なた「ですです。

   劉邦らが滎陽に向かっている道中にこんな会話がありました」

コトタ「ほう?」

 

劉邦「俺が天下を取ったら函谷関より東(関東)の地は功臣に分け与えようと思う。

   誰なら俺の天下取りを手助けしてくれるだろうか?」

張良「まず王様の軍の中で1方面を任せて戦うことができるのは

   韓信大将軍以外おりません」

劉邦「他にはいないのか?」

張良「あとは彭越ならば任せることができるでしょう。

   彼も項羽に対抗して戦える1人です」

劉邦「あの熱血爺さんか。確かに強いからな。

   2人では足りんな、もう1人ぐらいいないか?」

張良「ええ、います。

   九江王の黥布です」

劉邦「おいおい、黥布は項羽の右腕の様な将軍だろうが」

張良「今は項羽と黥布は険悪なムードが漂ってるんですよ」

劉邦「どうしてだ?」

張良「項羽が斉を攻撃した際に黥布へ援軍を求めてますが、

   黥布は病気と言うことで現地へ赴かず、代わりに数千を派兵するだけで済ませました。

   それだけでなく、王様が彭城を占拠した時も黥布は一切項羽を助けなかったのです。

   項羽はそれに怒って黥布に何度も問責の使者を送り、呼び出そうとしましたが、

   黥布は追及を恐れて項羽に応じようとはしませんでした」

劉邦「そんなことがあったのか。

   では項羽は黥布を何故斬らぬのだ?」

張良「斉だけでなく趙も項羽に反し、さらに王様の軍勢がいましたからね。

   唯一の頼れる味方である黥布を敵に回したくなかったのでしょう」

劉邦「今ならば黥布を味方に引き入れることも容易いということか?」

張良「恐らく可能かと。

   韓信、彭越、黥布の3人に関東の地を与えれば、

   必ず項羽を打ち破ることができるでしょう」

劉邦「ふむ、わかった」

 

なた「というわけで劉邦の天下統一の為のプランが決まったわけです」

コトタ「韓信、彭越、そして黥布を使って項羽に当たらせる、と」

なた「ですね。

   で、また時が少し過ぎます。

   まだ滎陽に向かってる道中なんですがね」

コトタ「今度は何が?」

なた「こんな会話があります」

 

劉邦「はぁ……」

隨何「王様、ため息なんてついてどうしたのです?」

劉邦「あー、誰か黥布のとこに使者に行ってくれないかなー?

   黥布が項羽の足止めをしばらくしてくれるだけで、

   俺の天下取りには充分なんだけどなー?チラッ」

隨何「ああ、そういうことですか。

   私が行って黥布を背かせましょう」

劉邦「よし来た!行ってこい!!!」

 

コトタ「隨何……?」

なた「愉快な仲間達にいつの間にか参加してた儒者ですね。

   主な役割は外交官でして、前回決まったプラン通りに

   黥布を味方に引き入れる使者として九江に向かっています」

コトタ「ふむふむ」

なた「隨何がどうなったかはまた後日の回でお話します。

   さて劉邦が滎陽に到着しました」

コトタ「漢軍の合流地点ですね」

なた「敗残兵が皆集まっており、ここから立て直そうとしたわけです。

   関中からもたくさんの兵や食糧が送られてきたことで、

   漢軍は何とか盛り返したのです」

コトタ「おお、前回失墜したばかりですが、

    すぐに再起できたってことですね!」

なた「これも偏に1人の人物の尽力があったからなんですがね。

   それはまた次回お話します」

コトタ「また後回し!!!」

なた「色々前後関係考えながら話してるんですもの!!!

   えーと、本題に戻って楚軍の大量の騎兵が滎陽付近まで攻めてきました」

コトタ「せっかく立て直したのにいきなり絶体絶命!?」

なた「彭城から漢軍の敗残兵を追い立ててた騎兵達ですからね。

   確かに士気や勢いを考えれば絶体絶命にもなり得る相手でしょう。

   というわけで劉邦は騎兵には騎兵で対応しようと、

   騎兵運用に優れた将軍を考えます」

コトタ「こうなってくるとやっぱり韓信?」

なた「いえ、灌嬰です」

コトタ「おお?そんなに強いのですか?」

なた「つい先日のオープニングトークで前漢三傑に次ぐ

   4人目の候補として挙げるぐらいですからね。

   そもそも劉邦は李必と駱甲という武将に任命しようとしたんですが、

   彼らがそれを拒んだのです」

コトタ「何で!?」

なた「諸将が李必と駱甲の2人を推薦したんですけどね。

   "騎兵運用ならあの2人がオススメでしょう"って感じで」

コトタ「諸将の推薦なら尚更拒む理由がないような……」

なた「ただ拒んだだけではなく、こんな提案もしているんです。   

   "我々は元々秦の武将です。恐らく兵士達が我々に従わないでしょう。

    王様の身近な将軍で騎兵運用に長けた方はいませんか?

    その将軍の左右を我らが補佐しましょう"と」

コトタ「あー……秦の出身でしたか。

    確かにそれだと重要な一面で任せるのは難しいかもですね……」

なた「王や将なら気にしなくとも、兵が従わなきゃ無意味ですしね。

   というわけで灌嬰が将軍となり、李必と駱甲は左右の校尉に任じられました」

コトタ「楚に対するリベンジですよね。

    どうなったのです?やっぱり苦戦しましたか……?」

なた「ところがどっこい、灌嬰と2人はうまく騎兵を操り、

   楚兵に圧勝して滎陽を守り抜いているんです。

   これより滎陽の東西で楚漢が睨み合うことになったのでした」

コトタ「ほええ……。

    本当に灌嬰は優秀な将軍だったってことですね」

なた「そうなります。

   それでは続きは次回にしましょう」

コトタ「はーい!次回をお楽しみに!!」

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