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コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第50回

なた「記念すべき第50回です!!!」

コトタ「前回で"次回で第50回"って話してたので、

    そのネタは話さないと思ってましたが……?」

なた「気にしないでください!!

   さて八王の乱編は全55回でしたが、

   この企画は60回でも終わりそうにありません!!」

コトタ「回数ネタは少し久しぶりですね……」

なた「というわけでネタもないので、本編へ!」

コトタ「反項羽連合軍56万が項羽率いる精鋭3万に大敗、

    劉邦が絶体絶命のピンチってとこからですね」

なた「綺麗にまとめてくれてありがとうございます!」

コトタ「では本編どうぞ」

 

劉邦失墜

なた「項羽軍は敗走する劉邦軍を包囲しました。

   劉邦の命は風前の灯です」

コトタ「そこまで追い詰められてたんですか!?」

なた「ええ。

   しかし突如として大きな風が吹き荒れ、項羽軍は混乱を来します。

   その隙に劉邦は何とか難を逃れたのでした」

コトタ「これは劉邦の凄さをアピールする為の

    後付けっぽいエピソードですね?」

なた「私もそんな気がします。

   劉邦が夏侯嬰や近侍の騎兵と逃げていると、偶然にも息子と娘と再会しました」

コトタ「呂雉の産んだ2人でしょうか?」

なた「ですね。

   劉邦は家族を迎えようと沛に兵を送っていたようですが、

   既に家族も楚兵に襲われて離散していたようでしてね。

   だから本当に偶然なのでしょう」

コトタ「子供と合流できて劉邦は嬉しかったでしょうね!!」

なた「それはどうでしょうね……。

   この直後、結構有名なエピソードが起こっているんですが」

コトタ「ほう?」

なた「ちなみに劉邦の子孫を自称する劉備が長坂で曹操軍に追撃されてる際、

   何をしたか知ってますか?」

コトタ「いきなり三国志絡めてきた!最近多いですね!!

    劉備が何をしたかって言われても、逃げてただけでは?」

なた「劉備は妻子を見捨てて逃げてるんですよ。

   まあ曹操軍によって散り散りにされたので、見捨てざるを得なかったとも言えますがね。

   名作 蒼天航路ではそこら辺を膨らませて描写していますが、

   その内容はご存知です?」

コトタ「えっと……馬車の速度が遅いから荷物だけでなく子供までも投げ捨て、

    "劉備はただの人ではなく天下人である"ってのを表現したシーンですね」

なた「その通り。

   劉邦は同じことをやっています」

コトタ「えっ!?」

なた「夏侯嬰が御者となって劉邦と子供2人は車に乗りました。

   そして逃げていると項羽軍の騎兵の影が見えてきたのです」

コトタ「まさか……?」

なた「劉邦は車を速くする為に子供2人を蹴落としたのです」

コトタ「やっちゃったーーーー!!!」

なた「夏侯嬰がすぐに気付いて子供を抱えて馬車に戻り、

   "王様、いや兄貴!なんてことするんですか!

    いくら大変な時だからってお子様を見捨てちゃダメですぜ!"と言います」

コトタ「夏侯嬰がまともで良かった……」

なた「再び車が走り出すと、劉邦がまた子供を蹴落とし、

   気付いた夏侯嬰が"兄貴ダメですって!"と子供を拾います」

コトタ「1回じゃ飽き足らずですか……」

なた「それを何度か繰り返したところで劉邦はブチギレ。

   "こら!お前いい加減にしろ!!!

    こいつら(子供2人)にとっては今こそ親孝行できるチャンスなんだぞ!"

   と剣を抜いて夏侯嬰を殺そうとしたのです」

コトタ「親孝行ってどういう……?」

なた「ほら、親の為に死ぬのは最大の孝行ってのが儒教的な考えですからね。

   そういう意味合いでしょう」

コトタ「劉邦って儒教嫌いだったような……」

なた「その通り。

   だから劉邦は自分の命惜しさに、大嫌いな儒教を盾にして、

   子供を見殺そうとしたクズなんですよ」

コトタ「これまでの劉邦の徳だとか度量だとか全否定ですか!?」

なた「夏侯嬰を殺したら逃げられなくなるのもあって、

   渋々子供2人を車に乗せて逃げ切ってますがね」

コトタ「なんか残念なエピソードです……」

なた「以前劉邦が剣を抜いた話は2回だけ、と言いましたが、

   それの残り1回がこれだったんです」

コトタ「さらに残念……」

なた「(演義における聖人の)劉備の先祖ってのも影響しているんでしょうけど、

   劉邦って項羽との対比もあって、良い人ってイメージがありますよね。

   でも実際、歴史を知ってる人からすれば"劉邦のが項羽よりクズなのでは?"

   ってのが常識に近いんですよ」

コトタ「元より酒と女が大好きなぐうたら親父だったんですものね」

なた「そういうことです。

   蒼天航路的な考えで、この時の劉邦の行動は

   "天下人として見れば間違ってはいない"

   という意見はその通りだと私も思うんですがね。

   父親としては最低なクズですが、戦乱の世の天下人ですから」

コトタ「常人では理解しにくいです……」

なた「ですね。

   劉邦バッシングはここまでにして本題へ戻ります。

   子供2人は劉邦と共に逃げ切りましたが、呂雉らはどうしていたかです」

コトタ「呂雉以外の家族は誰がいるんです?」

なた「名前がわかるのは父親の劉太公、次兄の劉喜ですかね。

   あと審食其という人が家族を守っています」

コトタ「審食其……?酈食其ではなく?」

なた「異姓同名の全くの別人です。

   劉邦が沛公として自立した頃に家族を守るのを任されてましてね。

   なので審食其は愉快な仲間達でありながら、

   劉邦と同行していなかった人なんです」

コトタ「名前が残ってるってことはただの使用人ってだけじゃなさそうですね?」

なた「ええ、結構重要な人物の1人ですね。

   さて、劉太公と呂雉は審食其に命じて劉邦を探させたのですが見つからず、

   項羽軍に捕まってしまい、項羽の手元に置かれ人質となってしまったのでした」

コトタ「あらら……」

なた「で、話は劉邦に戻ります。

   呂雉の兄である呂沢が近くで駐屯していることを知り、

   劉邦は呂沢の元へ向かい、散り散りになった漢兵を集めて、

   何とか立て直そうとしたのです」

コトタ「反項羽連合を合わせればまだ40万近くはいるはずですし、

    しっかり立て直せば項羽に反撃もできますもんね!」

なた「いや、それは難しいです」

コトタ「何で!?」

なた「大半の諸侯が楚に、というか項羽側に味方しちゃったんですよ」

コトタ「ええ……」

なた「さすがに韓王信は裏切ってないはずですね、そんな記述がないですし。

   しかし関中の章邯じゃない2人の王はすぐに楚に逃げてますし、

   魏王の魏豹は家族が病になったので看病の為にと帰国を願い、

   魏に戻るや黄河を渡れないようにしてから楚に寝返ってます。

   あとは殷王の司馬卬は彭城で戦死してますね」

コトタ「魏王がひどすぎる……」

なた「一度は項羽を滅ぼす勢いで諸侯をまとめあげた劉邦でしたが、

   項羽に敵うはずもなく大敗を喫し、一気に失墜したのでした」

コトタ「再起するのも難しそうですが……」

なた「劉邦は果たして再び立ち上がることができるのか!!

   続きは次回です!!!!」

コトタ「はーい!

    では次回の教えて!項羽と劉邦をお楽しみにー!」

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