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コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第28回

なた「章邯が項羽に降伏し、長く続いた章邯無双も終わりました」

コトタ「一方劉邦は西へ進軍中で、今日はそのお話ですね!」

なた「ですねー!

   果たして劉邦は関中へ入ることができるのか!!」

コトタ「わくわく」

 

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コトタ「サブタイトルが締まらない……」

なた「いつものことですし気にしないでください……。

   時系列としては少し戻って、項羽が趙への救援に向かってる頃です。

   劉邦は西へ進むと東郡で王離を破り、

   栗では魏軍と連合して秦軍に勝利したそうです」

コトタ「王離は鉅鹿にいるのでは……?」

なた「だって王離って書いてるんですもの……。

   恐らく同姓同名の将軍がいたのでしょうね」

コトタ「なるほど」

なた「その後、魏軍を吸収しています。

   "奪った"という記述もあるのですがね。

   そして劉邦は昌邑を攻めたのですが、彭越という人物と出会っています」

コトタ「彭越……?

    その人も聞いたことありますね?」

なた「黥布の時もそう言ってましたね。

   いずれ"どこで聞いたか"という話をする予定ですので安心を。

   さて彭越が劉邦に出会うまでのエピソードを少し話しましょう」

コトタ「歴史に名を残す前のエピソードがあるってことは、

    やっぱりそれなりの人物なんですね」

なた「ええ。

   陳勝らが反乱を起こした際、彭越の地元(昌邑)でも若者達が挙兵しようとしていました。

   となると当然誰かをボスとしないといけません」

コトタ「デジャブ……」

なた「そこで元々盗賊で名を馳せていた老人、彭越が指名されます。

   しかし彭越は"ワシには無理じゃ"と断ります」

コトタ「あ、東陽の陳嬰と同じパターンですね!!」

なた「よく覚えてますね。

   何度もしつこく若者達に求められた彭越は遂にボスとなることを承知し、

   "明日決起集会をするから朝日が昇る時に集まるのじゃ!遅れたら斬る!!"

   と言います」

コトタ「元気なおじいちゃんですね」

なた「夜が明けて朝になりましたが、10数人の若者が遅刻したのです。

   中には昼過ぎになってやっと集まるものさえいました」

コトタ「時間にルーズ過ぎでは……」

なた「"ワシはもう年老いていると言うのに、貴様らがしつこいからボスになったんだぞ!!

    時間を決めて集まろうと約束したじゃないか!!遅れた者は斬ると言ったじゃろう!?

    遅刻者全員斬るわけにもいかんから、一番遅れた者を斬る!!!"

   と彭越は若者を怒鳴りつけたのです」

コトタ「1回目ですし許してあげても……」

なた「と若者達も思ったのでしょう。

   "おじいちゃん、ちょっと落ち着いてwww

    次から気をつけるからさーwwwww"

   と笑って彭越を宥めようとしたのですが、効果無し。

   彭越は言った通りに最後に来た若者を捕まえて首を斬っています。

   若者達はそれを見て戦慄し、彭越に背くことは一切なくなりました」

コトタ「ほええ……」

なた「彭越は元軍人でもないのに、軍を統率する方法を知っていたんですよ。

   これは孫武(孫子)と闔閭(呉王)のエピソードにも似ています」

コトタ「彭越は孫子を読んでたんですかねぇ……」

なた「彭越は若者達を率いて周辺を制圧し、兵数千の勢力にまで大きくなっていました。

   そこに劉邦達がやってきたので昌邑の平定に協力したのです」

コトタ「愉快な仲間達の新メンバーってことですね?」

なた「立場的には劉邦の同盟者ってとこですね。

   劉邦と彭越は昌邑を落とすことができず、さらに西へ向かって高陽に駐留しました。

   そこで今度は酈食其という人物に会っています」

コトタ「ほほう」

なた「酈食其は60歳を過ぎた貧乏な儒者でしてね。門を守る小役人をしていたのですが、

   劉邦が高陽に来たのを知って、目通りを願っています」

コトタ「亭長の頃ならまだしも、今の劉邦にはそんな簡単には会えないのでは?」

なた「ええ、ですから劉邦の部下に同郷の者がいることを知り、

   それを伝にしようとしたのです。

   "高陽にはこれまで色んな将軍が通り過ぎたが、みんな小物だった。

    しかし劉邦様は傲慢で人を軽んじているが、大きな志があると噂に聞いたのだ。

    私は劉邦様みたいな人物に仕えたいと常々考えていたのだ。

    どうか劉邦様に私のことを紹介してくれんかの?"と酈食其は言います」

コトタ「劉邦の部下は言う通りにしたのですか?」

なた「こう言っています。

   "劉邦様が儒者大嫌いなのを知らんのか?

    儒者を見かけたら帽子に小便をぶちまけたいと、いつも仰っている程だ。

    それに儒者と話すときは大声で罵倒することも多い。

    酈食其殿は儒者なのだから会うべきではない"と」

コトタ「劉邦は儒者嫌いだったんですね……」

なた「酈食其は"いいから伝えてくれ"と食い下がり、劉邦の部下も渋々了承しています。

   そして劉邦は酈食其の話を部下から聞かされ、呼び出したのです」

コトタ「儒者嫌いなのに儒者に会っちゃうんですね」

なた「酈食其が劉邦の宿舎に入ると、ちょうど劉邦は侍女に足を洗わせていました。

   酈食其が自己紹介をしていて話をする間も、劉邦は態度を改めません」

コトタ「ふむ……」

なた「すると酈食其が怒鳴ります。

   "劉邦様は秦の味方ですか!?それとも反秦の諸侯ですか!?"と。

   当然劉邦はその言葉にカチンときて立ち上がり、大声を挙げたのです。

   "この腐れ儒者が偉そうに!!何で俺が秦の味方になるんだ!?"と」

コトタ「いい大人がそんな簡単に口喧嘩しないでください……」

なた「"義挙で不義の秦を倒すのならば、年長者にその態度はないでしょう!?"

   と酈食其は反論すると、劉邦は衣服を整え、酈食其を上座に招き入れて謝罪しました」

コトタ「やけに素直ですね……?」

なた「劉邦の良い所は"人の話を聞く"ってところですからね。

   さて劉邦は酈食其と食事を共にし、今後について話しています」

コトタ「秦をどう攻めるか、ですね」

なた「ええ。

   "劉邦様は兵を集めたとは言え、1万にも満たない軍勢です。

    そんな状態で秦を攻めても勝てるわけがありません。

    陳留の地は天下の要衝ですし、食糧が大量に蓄えられています。

    さらに言えば陳留の県令は私と旧知の仲なのですよ。

    劉邦様が使者を命じてくだされば、私が説得して参りましょう。

    もし説得に失敗した場合は陳留を攻めるのです。私が内から呼応しましょう"

   と酈食其は策を献じたのです」

コトタ「劉邦は外交向きの人材を手に入れたってことですね」

なた「ですね。

   かくして酈食其は陳留令の説得に成功し、劉邦は大量の食糧を手にしています。

   酈食其の弟である酈商も4000人の手勢と共に劉邦に帰順し、

   そのまま陳留の将軍にも任じられています」

コトタ「どんどん仲間が増えますね!」

なた「その後、劉邦は酈商と共に開封を攻めましたが陥せず、

   ですが西へ軍を進めて秦軍と2度戦いどちらも勝利しています」

コトタ「劉邦は城攻めより野戦のが向いてるんですかね?

    項羽と劉邦が共に行動していたときも城攻めはあまり勝ってない印象ですが……」

なた「城攻めは食糧と兵力で決まりますからね。

   そんなに簡単なものじゃないですし、負けが多くなるのも当然ですよ」

コトタ「確かに、簡単に城が陥ちてたら困りますしね……」

なた「というわけで今回はここまでです!

   次回は番外編を挟みたいと思います!!!」

コトタ「では次回の教えて!項羽と劉邦 番外編をお楽しみに!!」

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