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コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第26回

なた「前回に続いて鉅鹿での趙救援作戦のお話です」

コトタ「たくさん援軍は来ているのに全く動いてないって状況でしたね」

なた「ですねー。

   では陳余達は何故動いていないのか、言い訳を見ていきましょう」

コトタ「言い訳って……」

 

囲魏しないで救趙・その2

なた「陳余の言い訳を単刀直入に言うと

   "秦に勝てそうにないから動かなかった"だそうです」

コトタ「本当に言い訳だった!?」

なた「王離が攻める、どんどん兵が減る、食糧も尽きる……、

   そんな状態が長く続いた為、さすがの張耳も陳余にお怒りです。

   側近2人を派遣して陳余を問責しに向かわせました」

コトタ「刎頸コンビが決裂しかけてる……」

なた「"かつて我らは刎頸の契りを交わした仲ではないか!

    何故万を超える大軍を率いていながら、助けようとしないのか"

   と陳余へ張耳の言葉が伝えられます。すると陳余は答えました。

   "何度も言うが我々の軍では秦に勝てず全滅してしまう。

    ここで死んでしまったら趙王とお前の仇を取れなくなるじゃないか"と」

コトタ「理由になってるようで、なってないような……」

なた「派遣された側近2人は"私達は全滅してでも趙王と張耳様を救いたいです!"と申し入れ、

   陳余は"しょうがないなぁ……"と5000の兵を2人に与えました」

コトタ「どうなったのです?」

なた「側近2人は秦軍に果敢に突撃しましたが全滅しています」

コトタ「あらら……」

なた「ちなみに前回話した通り陳余の他にも張敖(張耳の息子)、斉と燕と魏の援軍がいましたが、

   それらも陳余の軍勢のそばに陣地を築いて待機しているだけでした。

   恐らく陳余と同じ考えだったのか、陳余が手を回していたのでしょう」

コトタ「刎頸の契りって一体……」

なた「お互いに首を刎ねたいぐらい憎しみ合ってるコンビになってしまいましたね。

   さて、一方楚軍の動向です」

コトタ「そうだ!まだ項羽がこっちに向かってるんですものね」

なた「ええ。

   宋義を殺して軍権は項羽の元にあったので、

   46日の遅れを取り戻すかのように進軍しています。

   先鋒として英布と蒲将軍が章邯の築いた兵站を破壊。

   これにより鉅鹿を包囲している秦軍も食糧が尽きる事態に陥っています」

コトタ「おお、さすが……」

なた「そして項羽は全軍に3日分の食糧以外全て捨てるように命じて、

   鉅鹿へ突撃したのでした」

コトタ「撤退しない覚悟での突撃ですね!!」

なた「余談ですが、王離と項羽は因縁があってですね」

コトタ「以前から個人的に繋がりでもあったのですか?」

なた「本人同士は直接面識もなかったとは思いますが、祖父同士が戦ってます」

コトタ「王翦と項燕……!?」

なた「ですです。

   楚が滅びる際、大将軍の項燕に勝利したのは王翦ですからね」

コトタ「確かに因縁がある……」

なた「話を戻しますが、項羽軍は鉅鹿に到着すると王離軍を包囲し、

   何度も戦って全て勝利しています」

コトタ「孫の代になってリベンジできたんですね!」

なた「ええ。

   秦軍は撤退を余儀なくされ、後ろに控えていた章邯も兵をまとめて逃げています。

   そのタイミングでやっと陳余や他の援軍も動き始めて秦軍を追撃します」

コトタ「何かずるい……」

なた「王離は捕虜となり、渉間は降伏するのを拒んで焼身自殺したのでした」

コトタ「囲魏しないで救趙成功、と」

なた「趙王・趙歇と張耳は鉅鹿城外に出て、勝利した項羽ら援軍の将を迎え入れます。

   当然そこには陳余もいたわけですが……」

コトタ「まさかその場で刎頸コンビの殺し合いが始まるのでは……?」

なた「そんなことは起きませんでしたが、張耳は側近2人の居場所を聞いています。

   "おい!私の側近はどこへ行った!?まさかお前殺したんじゃないだろうな!"と」

コトタ「最初から陳余のこと疑ってるーーーー!?」

なた「"お前はそんなに俺を恨んでたのか!?もういい!お前なんて絶交だ!!"

   と将軍の印綬を張耳に渡して、少ない手勢だけを率いて立ち去ったそうです。

   ここに刎頸コンビは完全に解散となったのでした」

コトタ「完全に陳余の逆ギレにしか見えないんですがね……」

なた「鉅鹿の戦いはかなり影響の大きいものでしてね。

   これを機に諸侯の軍は全て項羽の指揮下に入っています」

コトタ「何でそうなるのです?」

なた「だって項羽軍だけが果敢に秦に突撃したんですもの。

   その姿を待機していた援軍は陣地から見ていたわけです。

   "項羽には勝てない"と誰もが思ったことでしょう」

コトタ「武威を示したってことですね……」

なた「そういうことです。

   さて、趙を救った項羽はすぐに章邯追撃の為に軍を進めました」

コトタ「章邯さえ討ってしまえば秦は滅びたようなものですしね。

    何より項羽にとっては叔父の仇でもありますし」

なた「次回はその章邯と項羽の決着がどうなるのかをお話したいと思います」

コトタ「はーい!

    次回の教えて!項羽と劉邦をお楽しみに!!」

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