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コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第25回

なた「紀元前207年も少し長くなります。

   かなり重要なイベントが頻発してますしね」

コトタ「前年も十分だと思いますが……」

なた「というわけで早速本編へ行きましょう」

コトタ「はーい」

 

囲魏しないで救趙・その1

コトタ「えーっと?」

なた「囲魏救趙についてはこちらをご覧ください。

   今回とは全く関係ないお話ですがね!」

コトタ「関係ないんですか……」

なた「今回は前々回の続きとなります。

   章邯が趙の都である邯鄲を攻め落とし、

   趙王の趙歇と刎頸コンビ(張耳と陳余)は鉅鹿へ敗走。

   張耳は鉅鹿に残り、陳余は兵を集めて北に駐屯していました。

コトタ「秦の王離と渉間が鉅鹿を包囲してたんでしたね」

なた「ですです。

   それで趙から楚を始めとする各地に救援要請が届けられ、

   楚からは宋義を大将に項羽らが援軍へ出ました」

コトタ「劉邦は西へ行ってたんでしたね」

なた「宋義は軍をある程度進めましたが、途中で止まっています」

コトタ「急いで趙を助けないとダメなのでは?」

なた「それが46日も待機していたんですよ。

   我慢ならなかった項羽が宋義の元へ行き、話します。

   "趙は大変な危機だと聞いています。

    今すぐに兵を進めて趙と協力すれば、秦を打ち破れるでしょう"と」

コトタ「というかそれが任務ですよね?」

なた「宋義は答えます。

   "違う違う。項羽将軍、よく考えなさい。秦と趙は戦っているのだよ?

    秦が勝ったとしても、疲弊してるのだからそこを攻めればいい。

    秦が負けたのなら、そのまま西へ進めば秦を滅ぼすことができるだろう?

    戦場で戦うのは項羽将軍には敵わんが、策を練ることは私に及ばないな"と」

コトタ「なんか憎たらしい喋り方ですね」

なた「項羽は相当イライラしてたと思います。

   そこに宋義は項羽のイライラに追い打ちもかけていますしね」

コトタ「追い打ち?」

なた「"虎の様に獰猛で、羊の様に残虐で、狼の様に貪欲で、

    意地っ張りで指示に従わない奴は死刑だ!!"

   と宋義は全軍に発令したのです」

コトタ「それって項羽のことでは……?」

なた「これだけでは宋義の追い打ちは止まりませんよ。

   自分の息子を斉の宰相にしようと画策し、見送りで盛大な宴会をしています」

コトタ「趙を助けないといけないって時に息子の為に宴会ですか!?」

なた「この頃、寒い時期でしてね。さらに雨がずっと続き、

   しかも食料不足ときたもんです」

コトタ「項羽じゃなくともイライラするでしょう……」

なた「"何が策を練ることは私に及ばないだ!

    秦が趙に負けるわけがないだろう。もし趙が滅びたら秦はさらに力を付けることになる。

    それに兵が飢え苦しんでいる時に、自分の息子の為に宴会をするなんてバカなのか!"

   と項羽は激おこしました」

コトタ「妥当ですね」

なた「というわけで宋義は陣中で項羽に殺されました」

コトタ「展開が早い!!」

なた「項羽は宋義の首を手に持ち、全軍に言います。

   "宋義は斉と共謀して謀反を起こそうとしていた。

    懐王はそれを知っており、宋義を討つ密命を俺に渡していたのだ!"と」

コトタ「嘘も方便……?」

なた「ですね。

   当然ですが、斉に向かった宋義の息子も殺されました。

   とりあえず項羽が仮の大将となっているのですが、

   懐王に"宋義が謀反を起こそうとしてたので殺したよ"と使者として桓楚を送ると、

   すぐに正式に大将になる命令が届いています」

コトタ「つまり楚軍全体の大将にも?」

なた「そういうことになりますね。

   この時諸将が項羽に属したとありますので」

コトタ「ほほー」

なた「さて、続いて趙と秦の様子を見てみましょう」

コトタ「鉅鹿ですね」

なた「ええ。

   章邯は本陣から鉅鹿まで強固な兵站線を築き、王離らを支援しました。

   鉅鹿にこもる趙軍はどんどん食糧が減り、秦軍はどんどん軍備が整っていったのです」

コトタ「その籠城戦の感じ、司馬乂を思い出しました……」

なた「コトタさんにとっては辛い思い出でしたね。

   司馬乂は助けてくれる人がいませんでしたが、趙はどうだったか」

コトタ「楚以外にも援軍は要請してるんですよね?」

なた「斉からは田都、燕からは臧荼、

   魏からも将は不明ですがが援軍は来ていたようです」

コトタ「あれ?斉は田栄が許さないのでは」

なた「田栄の反対を押し切ったそうですね。

   それと張耳の息子である張敖も代(趙と燕の間)で兵を集めて戻ってきています」

コトタ「ほええ……。

    つまり包囲されてる趙の本軍の他に、

    周りには陳余、張敖、斉、燕、魏の軍がいたってことですよね。

    内外が呼応して攻めれば勝てませんか?」

なた「それが動いてないんですよ」

コトタ「え……?」

なた「王離が攻撃を仕掛けてきているのに、どの軍も動かなかったんです。

   張耳が"陳余早く助けにこい!!!"と伝令を何度も送ってますが、

   全て無視されていたのです」

コトタ「いやいや、何の為に集まったんですか……」

なた「さて陳余に何があったのか……!

   それは次回のお楽しみです」

コトタ「えっ!?

    では次回また会いましょう!!」

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