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コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第24回

なた「予告通り今回が紀元前208年の最後です」

コトタ「本当に?」

なた「本当ですってば!!!」

コトタ「じゃあ本編お願いしまーす」

なた「はい!!」

 

夜神月 VS. L

コトタ「いつから"教えて!DEATH NOTE"をやってたんですか!!」

なた「落ち着いてください。そんなに間違ってないサブタイトルですから。

   前回までは章邯無双や項梁の死について話しましたが、

   何か忘れてませんか?」

コトタ「んー……?」

なた「ほら、秦の都では何が起こっていたかです。

   胡亥、趙高、李斯達のことです」

コトタ「ああ、そう言えば最近出てなかったですね!」

なた「今回はそこらをやってきます」

コトタ「はーい」

なた「胡亥が各地の反乱について情報がほとんど遮断されていたとは言え、

   未だに終息していないことに苛立ちを感じていました。

   "何でまだ反乱が続くの!?自由にさせ過ぎじゃないの!?"と李斯を怒鳴ります」

コトタ「胡亥は自覚はないんですか!?」

なた「李斯は正解を知っていたでしょうけど、自分の地位を危うくするのを恐れます。

   その為、胡亥に阿諛曲従して答えました。

   "皇帝という地位にいるのであれば、天下(臣民)に厳しくあるべきです。

    かつての帝王達は皆、天下に優しくしたことで滅びました。

    そうすることで天下で自由に振る舞い、尊貴な立場でいられるのです。

    法律をもっと厳しくすれば、臣下も民衆も自分の無実アピールを優先して、

    反発や反乱をする暇がなくなることでしょう"と」

コトタ「さらに反乱増えるだけじゃ……」

なた「胡亥は李斯の答えに満足し、さらに法律を厳しくしました。

   処刑を多く決定する法律官や重税を課す役人こそが正しいとされ、

   毎日の様に人がたくさん死に、地獄の様な状況になったそうです。

   民衆は尚更"反乱が起こります様に"と願ったとか何とか……」

コトタ「始皇帝崩御にあたって趙高の陰謀に加担したとは言え、

    李斯は割とまともな感覚の持ち主だと思ってましたが……」

なた「さて、今度は趙高です」

コトタ「趙高嫌い!!!」

なた「まあ聞いてください。

   趙高は自分に従わなかったり、気に入らなかった者は

   胡亥の寵愛を盾にして無実の罪でどんどん殺していました」

コトタ「絶対好きになれない……」

なた「でも趙高に大きな権力があるとは言え、

   忠臣や気骨のある臣下ってのは絶対にいるものです。

   胡亥に自分の好き放題をチクられたらたまったもんじゃないでしょう?」

コトタ「胡亥は"趙高が正しいよー?"とか言いそうですが……」

なた「なので趙高は胡亥に提案しています。

   "皇帝が尊貴な立場にいられるのは、顔も見えず、声しか聞こえないからです。

    まだ陛下はお若いですから、政治や法律に詳しいわけではないでしょう。

    それで失敗なんてしたら大臣らに弱みを握られることになります。

    陛下は禁中から出ず、私達に政治を任せるのが良いでしょう"と」

コトタ「いやいや、それって趙高の思う壺になるだけじゃないですか!?

    それと禁中とは?」

なた「皇帝が住むお部屋のことですね。宮殿内にあるものですが。

   "禁"ってのは出入りが制限されている場所って意味がありますので」

コトタ「なるほど。

    つまり胡亥は朝廷に参加せず、部屋で引きこもってなさい、

    って提案されたんですね」

なた「その通り。

   それを素直に受け入れ、趙高に政治の全てを任せてしまっています」

コトタ「はぁ……」

なた「趙高と趙高の息がかかった極一部の高官ぐらいしか

   胡亥に謁見することはなくなったのです。

   趙高はさらに自分の都合がいいように政治を動かせるようになったってわけです」

コトタ「李斯すら胡亥に会えない?」

なた「ですね。

   その為、李斯は不満を漏らしており、趙高がそれを察知しています。

   そして趙高は李斯に話したのでした。

   "東の地では反乱が多発していると言うのに、

    陛下はまだ阿房宮の増設の強制労働を優先させようとしています。

    私は諌めたいのですが、卑しい身分なのでできません。

    李斯様はどう思いますか?"と」

コトタ「政治の決定は趙高がしてるのでしょう!?」

なた「"私もそのことについて悩んでいた。

    しかし陛下は朝廷に顔を出さないので話す機会がないのだ"と李斯は言い、

   "丞相が諫言して下さるのなら、陛下にお会いできるよう取り計らいましょう"

   と趙高が答えたのでした」

コトタ「最初から李斯も謁見できる様にしてたら良いじゃないですか……」

なた「ここからが趙高の本領発揮です。

   胡亥が後宮の女を集めて宴会を始めようとした時に、

   "今なら陛下にお会いできますよ"と李斯を呼びつけたのです」

コトタ「えっ」

なた「当然胡亥は"これから宴だから政治の話はやーだー!"と断りますよね。

   というのが複数回続きました」

コトタ「さすがの胡亥も怒る?」

なた「ええ。

   "僕はいつも暇してるのに丞相は会いに来ない。

    それなのに僕が宴会するぞー!って時にばっかり来るんだ。

    僕がまだ若いから舐められてるのかなーー?"

   と趙高に愚痴をこぼしています」

コトタ「李斯が弁明できないところの会話だから、ずっと趙高のターン……?」

なた「そうなりますね。

   "陛下、言うべきか悩んでいたことがあります。実は丞相と陳勝は故郷が近いそうです。

    そして丞相の息子の李由は先の戦で守るばかりで攻めようとはしませんでした。

    聞くところによると丞相と陳勝の間で文書のやり取りもあった様です。

    さらに陛下が朝廷に顔を出さなくなってから、丞相こそが一番の権力となっています。

    内通については、本当かどうかわからなかったので言わないでいましたが……"

   と趙高が胡亥に伝えました」

コトタ「ツッコミどころ満載!!!!!」

なた「胡亥は趙高を信じて李斯に罰を与えようとしました。

   しかし証拠もないので、まずは李由を調べることになります」

コトタ「いくらでも趙高が捏造できるじゃないですかーーー!」

なた「ここで李斯が趙高の動きを察知してカウンター上書を仕掛けます。

   "趙高は朝廷で好き放題やっており、陛下と同等の力を振りまいております。

    かつて斉が田氏に奪われた時と同じことが起こりますよ!"と」

コトタ「もっと言っちゃえ!」

なた「胡亥は上書に対してブチギレ返答をしています。

   "君は何を言ってるのー?趙高は宦官の身でありながら、好き放題なんてしなかったし、

    どんなときでも冷静に礼節ある行動をしていたから高位につけたんだよー!

    僕はみんなからも信頼されている趙高は有能な臣下だって思うなー!

    そんな趙高を疑うなんておかしいよ。僕は趙高以外頼れる人なんていないよ?

    丞相が何と言おうと僕は趙高を信じるねー!"と」

コトタ「ブチギレてる様には見えませんが……」

なた「話し方を幼くし過ぎて、ブチギレたらどう話すか想像できませんでした……」

コトタ「余計な設定するから……」

なた「胡亥は趙高が李斯に殺されると困るので、李斯の上書の中身を教えます。

   すると趙高は"私が死ねば、丞相が斉の田氏と同じことをするでしょう"

   と答えたのでした」

コトタ「どう頑張っても李斯は趙高に勝てない……」

なた「李斯は他の重臣と改めて胡亥に強制労働について諫言しました。

   すると胡亥はこう言います。

   "僕は皇帝なんだから天下に厳しくすべきなんだよー!

    天下に優しくしてた昔の帝王はみんな滅んだらしいしー?

    それに阿房宮の増設はパパが決めたことだもん。

    文句言ってばっかりだけど、各地で起きてる反乱を止められてないし、

    パパがやったことまで否定する君達が何でそんな高官にいるのかなー?"と」

コトタ「前半部分は冒頭で李斯が胡亥に言った内容なんじゃ……」

なた「まさにそうです。

   というわけで李斯らは取り調べを受けることになりましたが、

   重臣らは"辱めを受けるぐらいなら"と自殺しています」

コトタ「李斯は……?」

なた「李由と共に反秦勢力と共謀していた罪で、家族や賓客全てが逮捕されています。

   趙高自らが李斯を激しく拷問し、李斯は痛みに耐えれず、

   遂に嘘の自白をさせられたのです」

コトタ「ひどすぎる……」

なた「"私は秦に仕えて30年以上となります。最初は秦は狭く、兵も少なかったですが、

    私は凡才でありながらも粉骨砕身に務め、政治を執り行いました。

    その甲斐あってか六国は滅び、天下平定に至り、

    度量衡や文字の統一をこの中華の地に広めて、秦に貢献してまいりました。

    これまでの全てが私の罪と言うならば、私は死ぬべきでしょう。

    どうか陛下、よくお考えください"と獄中の李斯は上書しましたが、

   "囚人が上書なんてできるわけないでしょう"と焼き捨てられています」

コトタ「ええ……」

なた「趙高によって李由の謀反の証拠は捏造され、

   李斯は腰斬の刑となり、その命を終えたのでした。

   また李斯の一族も皆処刑されております」

コトタ「胡亥も趙高も大嫌い!!!!」

なた「胡亥は"趙高がいなかったら僕は李斯に売られてたんだろうねー"とほざいています」

コトタ「本当バカ皇帝!!!

    そう言えば息子の李由はどうなったのです?」

なた「ほら、既に項羽軍に殺されてますので」

コトタ「そうだった……」

なた「趙高は秦の丞相となり、名実共に権力を得て、

   さらに好き放題するようになったのでした」

コトタ「あ、そうか……。サブタイトルの意味がわかりました。

    Lが死んでから夜神月がLの地位につきましたもんね。

    李斯がLで、趙高が夜神月だった、と……」

なた「その夜神月がどうなったか、ってのは今後のお話ですね。

   では今回はここまでとしましょう。

   次回からは約束通り紀元前207年となります」

コトタ「かなり胸糞が悪い回でしたが……、

    次回はそうならないことを期待します!!!」

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