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コトタさんの教えて!項羽と劉邦 第3回

なた「まだまだ続く始皇帝のお話」

コトタ「そんな簡単に終わっても困りますけどね」

なた「"教えて!キングダム"を先にやった方が流れとしては正しいのかも?と

   今更考えましたが、それなら"教えて春秋戦国"をやるべきでしょうし」

コトタ「"教えて!封神演義"と"教えて!項羽と劉邦"のミッシングリンクですね」

なた「そもそも"教えて!春秋戦国"なんて、

   やり始めたら200回でも終わりませんし……。

   そうなるとリクエストのあった項羽の話をするのが再来年になってしまう」

コトタ「本人がリクエストしたことすら忘れるレベルでは……」

なた「もしやるとしても管仲編、重耳編、呉越同舟編、三晋編

   みたいに分けることになるでしょう」

コトタ「三国志そのものを時系列でやってないのに……」

なた「確かに……。

   というわけで当初の予定通り項羽と劉邦を続けます」

コトタ「はーい」

 

亡秦者胡也

コトタ「亡秦者胡也……?」

なた「始皇帝が高名な仙人を求めてるのですが、

   それで派遣された人が戻ってきまして、彼が手に入れた予言書にあった言葉なんです」

コトタ「どういう意味です?」

なた「そのまま"秦を滅ぼすのは胡である"ってことですね。

   袁術が皇帝即位の言い訳にした代漢者当塗高と似たようなものでして」

コトタ「そっちは"漢に代わるのは当塗高である"でしたね。

    胡は異民族でしたっけ?」

なた「ですね。

   それこそ八王編の最後に話した五胡十六国時代の部分で触れたと思いますが、

   五胡は5つの異民族のことでした」

コトタ「つまり秦は異民族によって滅ぼされるという予言があった、と」

なた「そう考えた始皇帝は蒙恬という将軍に匈奴への攻撃命令を下しています。

   紀元前215年、30万の大兵力を率いて蒙恬は北伐へ向かったのでした」

コトタ「すごい数ですね……」

なた「蒙恬の活躍により匈奴は北へ追いやられ、そこで築かれたのが」

コトタ「まさか!?」

なた「ええ。

   万里の長城です」

コトタ「最初に始皇帝がしたことで説明しないと思ってたら、

    そんな流れでできたんですね」

なた「えっと紀元前214年だったはずです。

   元々北方に面していた趙や燕にもあった長城を繋げて完成させたものであって、

   最初から作ったわけではないんですがね」

コトタ「なるほど」

なた「以後は蒙恬が北方、つまり匈奴戦線を指揮することになったのでした。

   この功績で弟の蒙毅も始皇帝の側近に取り立てられてますね」

コトタ「ほー」

なた「この頃、始皇帝は南側も攻めてるのですが、

   そっちのお話は割愛しておきます」

コトタ「全部語ると長くなりすぎる、ってやつですね」

なた「今回はもう1つ別のお話があるので……」

 

焚書

なた「紀元前213年に始皇帝が都の咸陽で盛大な宴会を開きました。

   たくさんの学者が集まり、皆始皇帝の功績を口々に言祝ぎます」

コトタ「ほほう」

なた「1人の学者が言いました。

   "元々秦は狭い国でしたが、陛下のお陰で天下が平定され、

    異民族達も追い出すことができました。

    この大地で陛下に従わないものはいません。

    各地の国々を郡県としたことで争いも起こらず、民衆は平和に生きています。

    歴史的に見ても陛下を超える者はいません"と」

コトタ「べた褒めの境地ですね」

なた「当然始皇帝もこの言葉に気を良くしていました。

   しかし別の学者が始皇帝の前に進み出ます」

コトタ「お?」

なた「"殷や周の王は親族や功臣を各地に封じて諸侯とし、王朝を輔けさせました。

    陛下は天下の全てを手に入れましたが、

    陛下の親族は皆諸侯にはなっておりません。

    もし田常や六卿の様な臣下が現れたら、秦はどうなりますでしょう?

    何かをする上で過去の出来事から学ぶのは当然で、

    それをしなかった者で永らえた者はおりません。

    さっきの学者がバカなことを陛下に言いましたが、

    奴は忠臣でもなんでもありませんよ"と」

コトタ「田常……?」

なた「太公望が封じられた国が斉なのは以前説明しましたが、

   その斉で実権を握っていたのが田常を始めとする田氏でしてね。

   田常の曽孫の田和によって(太公望の子孫の)斉は滅ぼされているんです。

   以降、斉は田氏が君主となっているので、田斉と呼ばれたって経緯があります」

コトタ「六卿と言うのは?」

なた「晋の有力な6つの家系でしてね。

   お互いに争った結果、生き残った3つの家系が領土を分け合い、

   趙韓魏ができた、というお話です」

コトタ「どちらも主家に取って代わった臣下ってことですね。

    それこそ曹丕や司馬炎みたいなものでしょうか」

なた「その通り。

   "斉や晋の様に有力な臣下やその一族に滅ぼされるかもしれないよ!"

   ということが言いたかったのでしょう」

コトタ「始皇帝はどうしたのです?」

なた「臣下を集めて話し合いをさせています。

   で、ここで出てくるのが丞相の李斯」

コトタ「この前出た時は法律官でしたね」

なた「いつの間にか丞相になってるんですがね。

   李斯がこの件についてとても長い話をしてるので、要約しますね」

コトタ「お願いします」

 

・五帝も三代(夏殷周)もそれぞれ違うやり方で国を治めていた

・時代が変わればやり方だって変わるべきである

・戦乱の頃と違って、今は平和である

・民衆は農業をして、臣下は法律を覚えないといけない

・愚かな学者は過去から学び、今を批判することを民衆に教えている

・過去ばかり見て、今を批判するというのを繰り返したから、これまで天下は統一されなかった

・もし同じことが秦で起きてしまったらどうなるのか

 

なた「これらをまず始皇帝に語っています」

コトタ「学者の"過去から学ぶべきだ!"という意見に対する反論ですね」

なた「ええ。

   そこで李斯が提案したことが次です」

 

・秦以外の歴史書を全て焼き捨てる

・学者が職務として管理している書物以外は全て焼き捨てる

・過去のことを語る者、それを根拠に今を批判する者は一族皆処刑

・上記の事実を知ってて報告しない役人も同罪

・30日以内に書物を焼き捨てなかった者は黥(顔に刺青をする刑罰)に処す

・医薬、占い、農業の書物だけは残していい

・法律を学びたい人は書物ではなく役人から学ぶ

 

コトタ「これが焚書……」

なた「個人的にも……、というか一般的にも許されることではないでしょうね。

   つまり今、というか秦を批判させない為に、

   そもそも"過去を学ぶ、知る"ことを禁止したってわけです」

コトタ「始皇帝は李斯の提案を認めたってことですね」

なた「ですね。

   この焚書の影響で、秦以前の歴史の記述が乏しいのです」

コトタ「色々と悲しい出来事ですね……」

なた「本当に……。

   今回はここまでにして、次回は焚書に並ぶもう1つを」

コトタ「もう1つ……?

    では次回をお楽しみに!!」

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