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コトタさんの教えて!三国志 八王の乱編 第51回

なた「今回こそ西晋が滅亡します」

コトタ「掴みでがっつり言っちゃうんですね!?」

なた「滅亡することはわかってるじゃないですか」

コトタ「そもそもそういう企画ですしね……。

    でもそれなら前回の拓跋猗盧の話を後回しにして、

    今回の話を第50回にすれば良かったのでは……」

なた「あっ……」

 

西晋の滅亡・その12

なた「316年7月、劉曜が北地郡を攻めています。

   大都督の麴允が3万の兵を率いて救援に向かいます」

コトタ「麴允ってこの前は漢軍を恐れて進軍できなかったんじゃ」

なた「今回も部分的には似たような結果かもです……。

   劉曜は城の周りに火を点け、北地に向かっている麴允にスパイを送り込み

   "既に城は陥落しております!間に合いません!!"と虚報を伝えたのです」

コトタ「麴允はそれを?」

なた「信じています。

   というより漢軍を恐れて崩壊しちゃってます」

コトタ「衰えたとは言え官軍が……」

なた「この時期はどっちも自分視点では官軍でしょうけどね。

   麴允は散り散りになったところを劉曜に追撃され、

   拠点に逃げ帰っております」

コトタ「劉曜が急に強くなった……?」

なた「もし劉曜に洛陽や長安を一発で陥落させる強さがあったとずれば、

   劉聡が石勒に恐れることもなかったでしょう。

   劉曜で石勒を倒せばいいんですしね」

コトタ「確かに」

なた「劉曜がさらに進軍すると諸城は降伏したそうです。

   その際に晋の将軍やその妻を捕虜にしていますが、

   国や夫への忠を貫いて死んでいます」

コトタ「そういう臣下がまだいるのに、晋は何故滅ぶのでしょうね……」

なた「そうじゃない臣下が力を持ちすぎたからでしょうね……。

   さてバカ殿、じゃなくて劉聡のお話です」

コトタ「もうバカ殿でもいいですよ!」

なた「そうですか……。

   では遠慮なく、バカ殿が以前皇后を3人立てたという話をしましたよね」

コトタ「靳準の娘の1人が上皇后で、不義を働いて廃位され、自殺したんでしたね」

なた「その通りです。

   バカ殿は3人皇后を立てる前の皇后の侍女を上皇后に立て、

   さらに他の7人にも皇后の位を与えています」

コトタ「本当に本当にバカでは!?」

なた「また前々回、劉乂と共に反乱の噂を立てられた大将軍の劉敷(バカ殿の息子)が、

   国を憂えてバカ殿に諫言しましたが、激怒されてしまい、

   憂悶の内に病死しています」

コトタ「ひどすぎますよ……」

なた「劉乂が許されたって話もしましたが、それが316年9月の話です。

   その前月に劉曜が長安に進軍しています」

コトタ「今度こそ……遂に……?」

なた「それに対して相国の司馬保に命じられて、

   胡鵑箸い将軍が劉曜軍に向けて進発しました。

   一度は劉曜を破っているのですが、索綝と麴允が権力を持ち続けることを嫌がり、

   近隣の防備に当たっていた兵士を退避させてから、

   劉曜を追撃することもなく帰還したのでした」

コトタ「ええ……」

なた「さて劉曜が長安に到着して包囲しました。

   既に長安には食糧がほとんど無く、包囲もある為に外とは連絡ができません」

コトタ「籠城の強みである持久戦にも持ち込めない」

なた「ええ。

   そんな状況なので逃亡者が相次ぎましたが、

   前涼から派遣されていた義士1000人は諦めずに抗戦を続けたそうです」

コトタ「最後まで……前涼の人達は本当に忠臣……」

なた「北宮純(前涼の将軍)は漢に帰順してますけどね。

   穀物庫には麹しか残っておらず、麴允は司馬業に麹粥を作っt」

コトタ「ここにきてダジャレですか!?」

なた「だってそう書いてますし……。

   まあその麹も底を尽き、11月となりました」

コトタ「あれ……兵糧攻めですか……?」

なた「ですね。

   直接戦闘してもこれまで勝ち切ることができてなかったですし、

   中の食糧不足はわかりきってたので、待ってたのでしょう」

コトタ「降伏を待ってた……?」

なた「はい。

   司馬業は泣きながら麴允に言いました。

   "食糧もなく、援軍も来ない。恥を忍んで降伏すれば臣民は許されるだろう。

    私が誤ってしまったのは索綝と麴允、貴公らの所為だろうな"と」

コトタ「誰の所為で言うなら、あなたの親戚の所為だと思います……」

なた「司馬業は側近を劉曜に降伏の使者として送り込みます。

   しかし綝がその側近を留めおき、自分の息子を劉曜の元へ向かわせます

コトタ「今度は何を……?」

なた「"城内には1年以上の食糧が備蓄されており、そう簡単には陥落しない。

    もし私()に車騎将軍と同等の待遇、そして大きい郡に封じること

    を約束してくれるならば、城を開けて降伏しようじゃないか"

   と劉曜に伝えたのです

コトタ「綝は最初良い人キャラだったような……

なた「この企画のテーマ"権力は人をダメにする"に沿ったキャラですね」

コトタ「そんなのテーマにしないでください!」

なた「劉曜は綝の息子を殺し、

   "帝王の軍は義によって行動する。俺は15年戦場を駆け抜けてきたが、

    詭計で勝利したことは1度たりともない。正々堂々戦って破るのみだ!

    お前の言葉が憎むべき内容だったので息子は殺してやった。

    もし本当に食糧が余ってるならば城を守り続けるが良い。

    もし食糧が尽きているのならば、天命に従って降れ!"

   と使者に伝えさせています

コトタ「あれ……?

    さっき麴允に詭計用いて勝ってたたような……」

なた「義を欠いた計略ってニュアンスで使ったのでしょう」

コトタ「戦場における計略ってだいたい義を欠いてるような……?」

なた「いいんです!!!」

コトタ「ですかね……」

なた「さて改めて司馬業から降伏の使者が赴きました。

   劉曜はそれを受け入れています」

コトタ「つまり……?」

なた「316年11月11日、長安は開城し、

   司馬業は上半身裸の状態で羊車に乗り、

   自らの棺と共に門を出て劉曜に降伏しました。

   ここに晋王朝は4代51年で滅亡したのでした」

コトタ「西晋が……終わった……」

なた「内では外戚、そして八王によって乱れ、外では異民族らによって侵され、

   皇帝は権力の道具としてひたすら踊らされ、

   三国を統一した頃の面影もないままに滅びました」

コトタ「なんだか、いざ滅びると寂しいですね……。

    これでこの企画も終わりですか……」

なた「あ、いえ」

コトタ「えっ!?」

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