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コトタさんの教えて!三国志 八王の乱編 第30回

なた「さーて前回の石勒編の続きです」

コトタ「前回は石勒の下積み時代の話でしたね」

なた「ですね。

   まあ今回も下積み時代ではあるのですが」

コトタ「続きが気になるので早速お願いします」

 

もう1人の英雄・その2

なた「時は流れて305年です。

   司馬穎が王浚や司馬騰に攻められて洛陽へ逃げ、その後長安へ移り失脚しましたよね。

   で、河北で司馬穎の復権の為の挙兵がありましたが、

   実はその挙兵に汲桑と石勒が参加しています」

コトタ「そんなところに!?」

なた「まあ石勒が司馬穎と司馬越のどちらかに味方するなら、

   どう考えても司馬穎でしょう?」

コトタ「あ、司馬越は司馬騰の兄ですものね」

なた「ですです。

   ただ石勒らは司馬模(司馬越の弟)の部下に散々に負けてしまい、

   さらには苟晞という将軍にも攻められて、元の牧場に逃げ帰っています」

コトタ「石勒のお陰で大勝ち!ってわけじゃないのですね……」

なた「もしそうなら司馬穎は鄴を奪還して形成逆転してたでしょうね」

コトタ「確かに……」

なた「汲桑は石勒と共に兵を集めて勢力を大きくし、307年に司馬穎が殺されたと知ると、

   司馬越と司馬騰を仇として挙兵したのです」

コトタ「司馬穎に恩は特にないですよね……?」

なた「ほら、司馬穎って鄴中心に河北では慕われてましたしね。

   汲桑は冀州の人ですからその流れでしょう」

コトタ「なるほど」

なた「汲桑は大将軍を自称し、石勒にも将軍位を与えています」

コトタ「気付けば307年だとこの企画では一番時系列進んでますね」

なた「ですね。

   まず石勒は以前自分らを散々に負かした司馬模の部下と戦い、これを撃破。

   そのまま鄴へ攻め込み、驚いた司馬騰は逃げようとしますが、追いつかれて殺されています。

   石勒は鄴に入るや虐殺に略奪を繰り返し、最後に火を放ち立ち去っています」

コトタ「鄴を拠点にすれば強いのでは!?」

なた「ほら、石勒って遊牧民ですし……」

コトタ「あ、納得しました」

なた「鄴を焼き尽くす炎は10日も燃え続けたと言われる程でした。

   そして勢いのまま司馬越を攻める為に黄河を渡り、兗州を攻めています」

コトタ「怒涛の快進撃でしょうか」

なた「ここではそうはならず、司馬越に迎撃を任された苟晞が粘っています。

   何度も何度も戦いますがお互いに一進一退の膠着状態です。

   司馬越は石勒の強さを理解して自ら軍を率いて苟晞の救援に向かったのです」

コトタ「石勒VS.八王最後の生き残り!!!」

なた「苟晞は司馬越の援軍により勢いが付き、石勒らに大勝しています」

コトタ「まさかの!?」

なた「石勒と汲桑は散り散りになった兵を集め劉淵を頼ろうとしますが、行く手を阻まれて失敗。

   2人は別々に逃げるはめになり、汲桑は司馬騰の仇討ちで殺されてしまいます」

コトタ「石勒の盟友が……」

なた「一方石勒ですが上党郡で小さな勢力として異民族を従え、

   半独立していた張㔨督の元に辿り着きました。

   鄴陥落や苟晞との戦いで既に有名人な石勒は張㔨督に歓迎されています」

コトタ「劉淵の元に行こうとしてたのでは……?」

なた「ええ。

   石勒は"何で大ボス(劉淵)のとこに行かんの?このままでいて独立できんの?"と聞きます。

   張㔨督は"多分無理だね"と答えています」

コトタ「会話が軽い!」

なた「"じゃあみんなで大ボスのとこ行こう!"と提案し、張㔨督は承諾。

   張㔨督は石勒の義兄となり名前を石会と改めたのでした」

コトタ「ってことは遂に?」

なた「そうです。

   この時代の最大の英雄2人、劉淵と石勒が出会っています」

コトタ「おおおおおお!!!!!」

なた「劉淵は石会に親漢王、石勒に平晋王とそれぞれ王号を授けています」

コトタ「いきなりそんな待遇だなんて、劉淵も石勒のことは知ってたんですね!」

なた「当然でしょう。

   で、石勒は早速劉淵の元で功績を挙げています」

コトタ「誰を倒したんです?」

なた「そういう功績ではないのです。

   劉淵が勇猛な烏丸の部族を仲間に引き入れたく誘っていたのでしたが、

   全然応じてもらえませんでした」

コトタ「まあそういう部族もありますよね」

なた「石勒は早速策を練り、その部族に嘘の投降をします」

コトタ「信じますかね?」

なた「"劉淵と揉めて逃げてきた"って設定で投降したようです。

   石勒というビッグネームですし当然受け入れられましてね。

   そして石勒はその部族の為に他の部族との戦いで連戦連勝の大活躍をします」

コトタ「どういうつもりなのです……?」

なた「ある時、自分の名声が高まったと判断して部族の長を縛り上げて、

   "俺とこいつのどっちに付いていく!?"と部族に呼びかけます。

   すると皆が石勒を選んだので、縛っていた長を解放し、

   部族を引き連れて劉淵の元へ帰ったのでした」

コトタ「策略というより力技ですねぇ!?」

なた「劉淵はこの功績で石勒に都督山東征討諸軍事の権限を与えています」

コトタ「既に劉淵の右腕ですね」

なた「ですねー!

   ではもう1人の英雄編はここで終わり!」

コトタ「次回から最終章ですか!」

なた「はい!

   八王最後の生き残り司馬越、そして北方出身の2人の英雄 劉淵と石勒。

   彼らがどう動くのか、西晋はどう滅ぶのか」

コトタ「次回の教えて!三国志をお楽しみに!!!」

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