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コトタさんの教えて!三国志 八王の乱編 第5回

なた「ではまたまた続きです」

コトタ「前回で色んな人が賈南風の権力欲の犠牲になりましたね……」

なた「はい。

   今回は果たしてどうなっていくのでしょうね!」

コトタ「賈南風嫌い!!!」

なた「あ、なんか久しぶりの響き」

 

賈一族の時代

コトタ「嫌なサブタイトルですね……。

    というかずっと賈一族の時代だったじゃないですか!」

なた「一応これまでは楊駿なり司馬亮なり対立する権力者がいたので、

   裏番長であったとは言え、権力を一手に引き受けてはいませんでした」

コトタ「ふむ……」

なた「今まで登場させていませんでしたが、賈一族派とは言え、

   賈南風はあくまで皇后なので実際に政治は行っていません。

   表立って朝廷で動いていた人がいます」

コトタ「そういえば賈充の息子なりなんなりがいたはずですよね」

なた「しかし賈充には男子がいなかったのです。

   まず賈充の後妻である郭槐、つまり賈南風の母なんですが、

   彼女の叔父の郭彰(郭淮の弟)ってのがまず賈一族派の有力者の1人です」

コトタ「確かに初めて登場しますね」

なた「それと賈充の外孫にあたる賈謐なんですが」

コトタ「外孫?外孫なのに賈姓なのですか?

    確か中華では同姓娶らずが基本ですよね」

なた「ええ。

   賈謐の元の名前は韓謐です。

   賈充の娘で賈南風の実妹である賈午の息子なのです」

コトタ「ややこしい!」

なた「賈充が死んだ時に地位や権力を継げる人がいなかったので、

   郭槐が"夫の遺言です!"とゴリ押しして、

   韓謐を賈黎民の養子として、無理矢理に賈充の後を継がせたのです」

コトタ「賈黎民……?」

なた「賈充の息子です」

コトタ「息子いたんじゃないですか!!!!」

なた「いえ。

   郭槐が賈黎民の乳母が賈充と浮気したと勘違いして殺してしまったのです。

   賈黎民は乳母に懐いてたのもあって、ショックで病死しています」

コトタ「ええ……」

なた「そんなわけで韓謐は賈黎民の養子として賈謐を名乗り、

   賈充の爵位を継いだのでした」

コトタ「あれ……?

    そう言えば中華では異姓を養子にしないってのも基本でしたよね?」

なた「ですね。

   夏侯家から養子に出たとされる曹嵩(曹操の父)って例もありますが、

   このケースは珍しいです」

コトタ「ほええ……」

なた「なので周りにはかなり批判されています。

   しかし"賈充の遺言ならしょうがないな……"と司馬炎が認めたのでした」

コトタ「では賈謐と郭彰が賈一族派の筆頭だったのですね」

なた「というかこの時点では派閥のレベルではなく西晋の筆頭の2人でした。

   2人は併せて"賈郭"と呼ばれまして、司馬衷を超える権力を持っていたと言われます」

コトタ「その裏には賈南風がいた、と」

なた「そうなりますね。

   で、本題に戻りますが、賈南風にはもう1人取り除かないといけない相手がいました」

コトタ「新しい権力者が……?」

なた「いえ。

   第2回で登場した司馬遹です」

コトタ「えっと司馬衷の息子でしたっけ」

なた「ですです。

   司馬炎が司馬衷の廃嫡をしなかった理由の1つだった有能な孫ですね」

コトタ「賈南風の子ではない……?」

なた「はい。賈南風も男子に恵まれなかったのです。

   郭槐(賈南風の母)は司馬遹を実の息子の様に扱いなさい、と言ってたんですけどね。

   賈南風にとっては賈一族の権力に繋がらないと判断して聞き入れませんでした」

コトタ「本当に欲深い……」

なた「というわけで賈南風は賈午の産んだ赤ちゃんを自分の息子だということにして、

   立太子することを目論見ます」

コトタ「めちゃくちゃだ……」

なた「周りも馬鹿ではないので"賈南風は司馬遹を廃嫡したいと思っている"と知っていました。

   その為、賈南風の廃位すら何度も検討されたのですが、実現しなかったのです」

コトタ「実現させてください!!!」

なた「で、先に動いたのが賈南風です。

   司馬遹を酔わせて"司馬衷と賈南風を廃位にする!"という文章を書かせます」

コトタ「そんなあからさまな!?」

なた「司馬衷はその文章を見て司馬遹の処刑を言い渡します」

コトタ「司馬衷は信じちゃうの!?」

なた「まあ暗愚ですからね。

   ただそこで張華らが"これは偽造されたものです!"と反対し、

   賈南風としても張華らは味方だと思っていたので、とりあえず廃嫡だけで済ませたのでした」

コトタ「ほっ……。

    司馬遹は死なずに済んだんですねぇ」

なた「いいえ。

   司馬遹は策謀の道具に使われてしまいます」

コトタ「えっ」

なた「賈南風の息がかかった宦官が"司馬遹様と共謀していた"と嘘の自首をしたのです。

   これにより司馬遹は幽閉されてしまいます」

コトタ「賈南風嫌い!!!!!!!!!!!!!」

なた「当然ながら司馬遹の臣下は復権を望みます。

   そこで頼ったのが趙王の司馬倫でした」

コトタ「八王……?」

なた「4人目の八王で司馬昭の弟です。

   司馬倫は司馬遹の復権の為に協力しようとしたのですが、孫秀という腹心がゲスい提案をします」

コトタ「ゲスい……?」

なた「"あえて皇后に情報を漏らして司馬遹様を殺させましょう。

    それを大義として皇后を廃して権力を握るんですよ!"と」

コトタ「司馬遹を犠牲にってことですか!?」

なた「そういうことです。

   司馬倫はそれを受け入れて実行させました」

コトタ「司馬倫は良い人かなって思ったのに……」

なた「賈南風は案の定情報を聞いて司馬遹を殺したのでした」

コトタ「もう誰を信じていいのやらわかりません」

なた「この企画では登場人物の誰のことも信じない方がいいかもですね……」

コトタ「ええ……」

なた「ちなみにこの皇太子殺害事件が300年の出来事です。

   廃嫡されたのは299年ですが」

コトタ「確か前回までの話が291年ですから、

    それまでずっと賈一族の時代だったってことですね」

なた「そういうことです。

   では今回はここらで終わりです」

コトタ「えーーーー!?続きが気になります!!!」

なた「次回をお楽しみに!!!」

コトタ「あっ……」

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