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コトタさんの教えて!三国志 マイナー武将編 第4回 華歆

基本データ

名前 華歆(子魚)

生没 157〜231

出身 青州平原郡

正史 13巻鍾繇華歆王朗伝

親類 華嶠(孫)、華軼(ひ孫)

 

なた「今回は華歆です」

コトタ「前回に続いて割とビッグネームでは?」

なた「確かにそうですね。

   鍾繇や王朗と並んで魏の重鎮であり、曹丕にも

   "この3人は後世が真似できるレベルじゃない偉人だ"と評価されています」

コトタ「やっぱりビッグネームなんですね」

なた「孫の華嶠は後漢書を書いていますし、一族も栄達しています」

コトタ「でも、確か華歆って悪人みたいな印象が強いんですが」

なた「伏皇后の事件ですね」

コトタ「それです!」

なた「董承らによる曹操暗殺計画の処理方法がきっかけで、

   伏皇后は自らも曹操の排除を思いつきます」

コトタ「処理方法?」

なた「董承の娘であり、献帝の夫人のひとりも処刑されているのです」

コトタ「まあ……時代的にはそれも普通と言うしかないのでしょうか……」

なた「その娘、董貴人ですが身籠ってましてね。

   つまり献帝の子供がお腹にいたのです」

コトタ「うわ……」

なた「演義における曹操の悪人エピソードのひとつでも有名ですが、

   これは史実でもあるので、看過できないという意見は多いです」

コトタ「ですね……」

なた「"身籠ってるお妃ですら殺されるなんて!私もいつか……!"と恐怖した伏皇后は、

   父や兄に曹操を排除を訴えますが、実行されることなく月日は経ちました」

コトタ「でもそれがどこからか露見して……?」

なた「はい。

   曹操は当然激怒し、華歆らが宮廷に乗り込みました。

   伏皇后は壁の中に隠れていましたが、華歆によって髪の毛を捕まれて引きずり出され、殺されています」

コトタ「ええ……」

なた「伏皇后の産んだ皇子や一族も皆殺しになっています」

コトタ「歴史は闇が深いですね……」

なた「この一件は史実なのですが、曹操は特に悪いことはしてないと思うのです」

コトタ「えー!?」

なた「まず曹操がいなければ後漢は滅びていましたよね?」

コトタ「それはまあそうですけど……」

なた「曹操は自身に権力を集中させることで、後漢を守ろうとしていました。

   その為には邪魔な者は排除するしかなかった。

   処理方法については現代の倫理観では間違ってることかもしれませんが、よく考えてください」

コトタ「えっと……?」

なた「曹操は殺される計画を立てられていたんですよ。

   董承や伏皇后がやろうとしてたことは曹操の処理方法とそこまで変わらないのです。

   (伏皇后に殺意があったかは不明だが)」

コトタ「あー、そう言われれば確かに」

なた「曹操の話は余談ですがね。

   さて華歆の話に戻りますが」

コトタ「あ、ですね」

なた「華歆のこの件については陳寿の書いた正史本文にはありません」

コトタ「えっ」

なた「無双武将編でも何度か登場した気がしますが、曹瞞伝って覚えてます?」

コトタ「呉の人が書いた曹操を貶めた書物でしたっけ」

なた「ですです。

   そこで書かれたもので、後漢書がそれをそのまま採用しているのです」

コトタ「後漢書が成立したのは三国志より後でしたね。

    ってあれ?孫の華嶠が後漢書を書いたのでは!?」

なた「ああ、うまく引っかかりましたね。

   正史とされる後漢書を書いたのは范曄です。

   この華歆の一件が書かれているのは范曄の後漢書ですので」

コトタ「引っかける為に華嶠の話を最初にしたんですね!!!

    儒教思想から考えても、いくら歴史家でも自分の祖父のことを悪く書かないですものね!!!」

なた「やーいやーいwww」

コトタ(軽蔑の表情を浮かべている)

なた「范曄が曹瞞伝をそのまま鵜呑みにしたのか、

   後漢書の伏皇后の伝に華歆のエピソードを載せてるんですよね。

   裴松之も注釈で曹瞞伝をソースにしているのはいくつもあるので、

   完全に嘘とは言い切れないのですがね」

コトタ「何故こんな話を?」

なた「華歆って陳寿に"徳のある人物"と評価しているんですよ。

   それに他の記述を見ても公正だったり、清貧だったり、人間性の良さが目立ちます」

コトタ「ふむふむ」

なた「例えば、元々は華歆は孫権の臣下でしたが、

   曹操に招聘されたので"曹操と孫呉の友誼の為に"と中央に行くことを決意しました。

   その際には数千人での送別会を行われ、餞別もたくさん贈られましたが、

   全てに誰からどれだけ何を貰ったか記録しておき、出発の際に全員に返しています」

コトタ「なんと……」

なた「また官婢(国が所有する女性の奴隷)を下賜された際には、全員を奴隷身分から解放しています」

コトタ「めちゃくちゃ良い人じゃないですか……」

なた「ええ。良い人なんです。

   陳寿の記述を考えると、曹瞞伝や後漢書のエピソードが事実と思えないんですね。

   そもそも後漢書は曹操や魏関係者に好意的ではないのもあります」

コトタ「その流れが演義に受け継がれて、今日の悪人曹操の元となっている、と」

なた「また曹操に戻した!!その通りではあるんですけどね。

   今回の主役、華歆もその被害者のひとりではないのかな、と思ってます」

コトタ「真実は闇の中ですものね」

なた「いつか歴史の事実が全部明かされることがあればいいんですけどねぇ……。

   では今回は以上です!」

コトタ「次回をお楽しみに!!」

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