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コトタさんの教えて!三国志 無双武将編 第78回 賈充

基本データ

名前 賈充(公閭)

生没 217〜282

出身 司隷河東郡

正史 晋書40巻 列伝第10

親類 賈逵(父)、賈南風(娘)

 

なた「三国時代の人物というより、西晋時代の人物と言うべきでしょうか。

   今回の主役は賈充です」

コトタ「なんか無双でも邪悪な雰囲気ですよね」

なた「それもそのはず、主君である4代皇帝・曹髦の殺害命令を出したのはこの人です。

   司馬昭の回でも話したと思います」

コトタ「でしたね」

なた「賈充は謀略での活躍が主でして、

   司馬昭、そして司馬炎(司馬昭の息子で晋の初代皇帝)の右腕たる存在でした」

コトタ「娘が司馬衷(司馬炎の息子)の妻でしたっけ?」

なた「その通りです。

   賈南風という娘なのですが、これが相当な姦物でしてね。

   いずれ賈南風について話す機会があれば詳しく解説したいと思います」

コトタ「今回は賈充について……と」

なた「ですね。

   賈充は晋建国時に功臣の筆頭として賞されています」

コトタ「評価は高かったんですね」

なた「鍾会と司馬昭亡き後、同時代では賈充以上に

   知に長けた人物はいなかったでしょうしね」

コトタ「なるほど」

なた「ただこの賈充、天下統一戦となる呉征伐に関してはかなり消極的でした。

   むしろ反対を繰り返してまして」

コトタ「既に魏蜀も亡く、勢力的にもすぐに呉を滅ぼせたのでは?」

なた「中華はとっても広いですからね。

   文鴦の時に話しましたが、禿髪樹機能が北方で大暴れしてたのもあって、

   そっちがまずい状況で南を攻めるなんて無謀だ!っていう主張だったのです」

コトタ「そう言えば異民族が常に周りにいるのが中華でしたね……」

なた「ですが反論虚しく、皇帝・司馬炎は呉への出兵を決定します。

   しかも賈充は反対派にも関わらず、総司令官に任命されています」

コトタ「主戦派の意見が強かったんですね」

なた「そもそも司馬炎が主戦派だったんですよ」

コトタ「それなら賈充の意見なんて、

    最初から聞く耳持たなければよかったのでは?」

なた「司馬炎が皇帝になれたのは、重臣の賈充らのお陰なんですよ」

コトタ「あー……」

なた「だから皇帝の意見を退けるだけの権勢があり、

   意見も言える立場でした。

   しかし司馬炎のこの一言で賈充は折れます」

コトタ「どんな一言を……!?」

なた「"お前が行かないなら、朕自ら行こう"」

コトタ「それを言われたらさすがに……」

なた「ちなみに出兵が決定的になったきっかけは、呉の南部での反乱が原因だったのですが、

   そちらの対応に呉の兵が割かれた為、晋は特に大きな苦戦はありませんでした」

コトタ「そっちはそっちで異民族が……」

なた「いえ、そっちは異民族ではなくて郭馬という

   呉の武将が反乱を起こしています。

   さて話を戻しまして賈充ですが」

コトタ「はい」

なた「晋がかなり優勢なのに"やっぱ撤退しましょう!"と主張し続けたそうです」

コトタ「そんなに北方の状況がまずかったのですか?」

なた「同時期に樹機能は馬隆という武将に討ち取られているので、

   そっちは原因ではなかったでしょう」

コトタ「では何故!?」

なた「諸説あるのですがね。

   実は賈充の娘は司馬衷に嫁いだ子以外に、司馬攸に嫁いだ子もいましてね」

コトタ「司馬攸?」

なた「司馬昭の息子で、司馬炎の弟です。

   司馬師には息子がいなかったので、そちらの養子となっていました」

コトタ「ほほう」

なた「なので本来であれば司馬師の死後、司馬の家督を継ぐのは司馬攸なのですが、

   そうなると本来の父親である司馬昭や、兄である司馬炎が臣下になってしまう状況にあったので、

   司馬昭を後継者としたのです」

コトタ「司馬氏は儒教の家系でしたね」

なた「しかし司馬昭はお兄ちゃん大好きっ子でして、

   "俺が死んだら、兄貴の息子である司馬攸が後継者だー!"と考えてましてね。

   結局周りに反対されて司馬炎が後を継ぐことになったのですが、

   司馬炎にとっては面白くないですよね」

コトタ「でしょうね……」

なた「そんな司馬攸は呉征伐をどうするかと議論されていた頃、

   養母(司馬師の妻・羊夫人)が亡くなり喪に服していました」

コトタ「賈充はどう関係するのです?」

なた「賈充にとって司馬攸は娘婿です。

   司馬攸はかなり有能な人物で、徳もかなり高くてですね。

   司馬炎の後継者として周りにも期待されていたのです」

コトタ「司馬炎には息子がいるじゃないですか。

    それこそ、もう1人の娘婿の司馬衷が」

なた「その司馬衷はかなり暗愚な子だったんですよ……。

   なので司馬攸が期待されていたのです。

   しかし司馬炎はそんなの許しませんよね。

   自分が後継争いした張本人なのですから」

コトタ「そうですね……」

なた「つまり賈充としては呉を滅ぼした時に司馬攸がいないと困るんですよ。

   天下統一の功臣として司馬攸にいて欲しかったのです。

   そうすれば司馬攸は司馬炎の後継者として、そうでなくとも晋の実権を握ることができます。

   当然司馬炎としては司馬攸が服喪期間中に天下統一したいって思惑もあったのでしょう」

コトタ「あー……納得しました」

なた「自分の娘婿が権勢を誇れば、自分の家も安泰ですしね。

   そしてもうひとつ、というかもうひとりあります」

コトタ「お?」

なた「ほら、さっきも言ったように、賈充にとって司馬衷も娘婿ですよね。

   司馬炎が統一するよりも、司馬衷が天下統一してくれた方が、

   賈充としては都合がいいんですよ」

コトタ「そっちもありましたね」

なた「賈充は2人の娘が嫁いだ婿のどちらかが、天下統一に関わっていて欲しかった。

   だから呉征伐を反対し続け、先延ばしにしたかったのです」

コトタ「しかし結局天下統一したのは司馬炎……」

なた「ですね。

   ただ娘の賈南風は悪辣さから権力を手中にし、晋での実権を握っています。

   それが結果として晋を滅ぼすきっかけとなっているんですがね。

   うまくやっていれば晋の次は賈氏による魯王朝が建っていたかもしれません」

コトタ「魯?」

なた「賈充は魯公に封じられていますのでね。

   魏公、魏王に封じられた曹操、

   晋公、晋王に封じられた司馬昭、

   彼らの子孫がどうなったかはご存知でしょう」

コトタ「なるほど……」

なた「まあ"うまくやっていれば"なんですがね。

   失敗して一族皆殺しになっているので、

   賈充の願っていた一族の権勢は、一度は興隆したものの、娘によって断たれたのでした」

コトタ「儚いですね……」

なた「というわけで今回はここまで!」

コトタ「次回をお楽しみにー!」

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