コトタさんの教えて!三国志 無双武将編 第16回 王異

基本データ

名前 王異

生没 ?〜?

出身 涼州漢陽郡

正史 25巻 辛毗楊阜高堂隆伝※王異の伝はなく、楊阜伝に記述があるのみ

親類 趙昂(夫)、趙月(子)

 

なた「立て続けに女性武将でいきます」

コトタ「前回みたいなことにはなりませんよね?」

なた「ごめんな……さい……。

   でも大丈夫です。

   王異さんは三国志というか世界の歴史史全体を見ても珍しい、

   戦場に出ていたとされる女性です」

コトタ「おー!

    よく無双シリーズの女性武将に対して"戦場に女性はいないのにおかしい"みたいな意見見ますけど、

    それを覆すような存在なんですね」

なた「ですね。

   ちなみに無双シリーズの王異さんは史実とも演義とも違うオリジナル設定です。

   馬超に対して一族の恨み!みたいな人になってますが、そんな事実はないです。

   まあ後で説明しますけど、馬超に息子は殺されてはいるので、そこから話を膨らませたのかと」

コトタ「演義でもないオリジナルっていうのもなかなかですね」

なた「ええ。

   というわけで史実における王異さんですが、

   戦場に出たという話だけでなく、古来からの女性の貞節を守ろうとする良妻賢母っていう感じの話が多いです」

コトタ「ほほう。

    武勇一辺倒とかではないんですね」

なた「戦場に出たと言っても、無双みたいに武器を振り回したってわけでなく、

   どちらかというと策謀タイプですね」

コトタ「なるほど」

なた「夫の趙昂が羌道という地(涼州武都郡)の県令を勤めていた頃、王異は西県(涼州漢陽郡)に住んでおりました。

   そして漢陽郡で反乱が起きた際、王異は息子2人を殺されてしまったのです。

   自分も死を覚悟したのですが、残された娘を見て生き延びることを決意しました。

   "お前(娘)を見捨てたら、お前は誰を頼ればよいのでしょう。

    西施ですら汚い衣服で身を包めば、民衆は鼻をつまんだと聞きます。

    私はそもそも西施みたいな美人じゃないのだから尚更でしょう"と言って、

   トイレの糞尿を衣服につけ、ご飯を減らして痩せ細り、反乱が治るまで凌ぎ切り、難を逃れたのでした」

コトタ「いきなり壮絶ですね」

なた「その後、夫の使いとして役人が迎えに来たので娘と共に羌道へ向かいました。

   そこでもこんな言葉を言っています。

   "女というのはお付きの者がいない限りは死を迫られたとしても部屋からは出ないものです。

    昭姜は川の流れに身を投げ溺死し、伯姫は身が焼かれるのを待ちました。

    彼女らの伝記を読む度、その貞節を壮絶に思ったものです。

    私は先日の戦乱で死ぬことができず、どうして姑たちと再会できましょうか。

    死ななかったのは、お前(娘)のことを思ってのことであって、

    今夫がいる官舎はもう間近です。私はお前と別れて死ぬことにしましょう"と、

   毒薬を飲み自殺をはかったのです」

コトタ「ええええ!?死んじゃうんですか?」

なた「いえいえ。

   役人が解毒剤を丁度持っていた為、何とか息を吹き返したのでした」

コトタ「ほっ……」

なた「そして時は流れ、趙昂は転勤して漢陽郡の冀城で働いていました。

   王異や家族もそこに住まいを移しています」

コトタ「ほほう」

なた「そこで攻めて来たのが馬超です。

   213年ですので、自身の乱において曹操に負けた直後ですね。

   この時、王異は籠手を装備し、弓を持って趙昂を補佐し戦ったそうです。

   自らの付けていた宝石類等を兵士に恩賞として与えたと記述があります」

コトタ「おお、確かに戦場に出てますね!」

なた「しかし馬超は曹操を追い詰めた程の猛将です。

   攻撃は非常に激しく民衆は痛み悲しみました」

コトタ「馬超としても再起を計る為に全力ですものね」

なた「涼州刺史の韋康は優しい人でしたので、民衆が傷つくのが見てられなくなって、

   馬超と講和することを決意したのです。

   趙昂は講和について諫言しましたが聞き入れてもらえず、

   帰宅して王異に相談したのでした」

コトタ「今度は何と……?」

なた「"君主には諫める臣下があり、臣下には独断の定めがあります。

    独断が悪いわけではないです。救援軍が近くまでに来ていないとも限りません。

    将兵や民衆を励まし続け、大功を立て、節義を全うして死ぬべきでしょう。

    講和なんて聞き入れてはいけません"と」

コトタ「なかなか強い人ですね……」

なた「趙昂もそう思ったのでしょう。

   妻の言う通りだ!と再び韋康に諫言しに戻ったら、既に馬超と講和が成立していたのです」

コトタ「あらら……」

なた「馬超はそんな講和も束の間、韋康を殺して冀城を乗っとります」

コトタ「まあ目的はそこでしたものね」

なた「さらに馬超は趙昂を自分の臣下にする為に脅し、息子である趙月を人質とさせたのでした」

コトタ「それは王異さん怒りそうですね」

なた「馬超の妻である楊氏は、王異の評判を聞いていたので、友好を深めようとしました。

   まあ夫の助けになるって思ったのでしょうね。

   その想いは当然王異側にもありました」

コトタ「息子が人質に取られてるのに、夫同士の仲の為に敵の妻と仲良くするんですか?」

なた「いえ、韋康の部下として趙昂の同僚であった楊阜が同郷の仲間らと馬超打倒の策を練っていたのですね。

   その為には夫である趙昂が馬超に信頼されていないといけなかった」

コトタ「なるほど」

なた「結果として楊氏は王異を気に入り関係を深めました。

   馬超に"趙昂は信用しても大丈夫だと思います"と報告します」

コトタ「おお、さすが」

なた「趙昂は楊阜と立てた馬超打倒作戦を王異に話します。

   しかし1つ懸念点がありました」

コトタ「懸念点ですか」

なた「人質に取られた息子です」

コトタ「あーーーー!確かに……」

なた「ここで王異の言葉が振るっています。

   現代倫理観だと正しいとは言えないのでしょうけど、

   古代中国であり儒の教えが当たり前の時代だっていうのを前提に聞いてくださいね」

コトタ「はい」

なた「王異は夫が息子のことを気にしているので言いました。

   "忠義を我が身に打ち立て、君父(人質になっている趙月にとっての趙昂)の甚大な恥辱を雪ぐのです。

    首が飛んでも大したことではないでしょう。

    ましてや子供1人くらいがなんでしょうか!

    義を貴ぶだけですよ"と」

コトタ「確かに現代倫理観だとちょっと微妙な表現ですね」

なた「儒の考え方からすれば、父の為に死ぬのなら喜んで!的な考えがありましたしね」

コトタ「お父さんお母さんを大切にしよう!だけじゃないんですね……」

なた「ええ。

   さて王異の言葉を聞いた趙昂は"おっ、そうだな"と決意を固め、楊阜と共に計略を実行し、

   馬超を冀城から閉め出したのでした」

コトタ「おお」

なた「馬超は行き場を失い、漢中に逃げ延び、そこで張魯から兵を借り受け、

   再び冀城を攻めます」

コトタ「しぶといですね……」

なた「楊阜と趙昂は冀城から馬超に攻め立てられ、戦いながら逃げて祁山に立て篭もりました。

   その際に9つの奇計を実行したそうですが、全てに王異が関わっていたそうです」

コトタ「女性策謀家ですね」

なた「ええ。

   そして何とか救援が到着した為、馬超は包囲を解き退散したのです」

コトタ「王異は馬超に籠城戦で勝ってるということですね」

なた「そういうことになります。

   さて馬超は人質としていた王異の息子、趙月を殺したのでした。

   また同じく人質であった楊阜の一族7人もその時に殺しています」

コトタ「馬超ひどい!!!!」

なた「まあ王異側のエピソードから見てると馬超は確かにひどい奴かもですね」

コトタ「そして王異はどうしたのです?」

なた「これしか記録がありません。

   なのでこの後どうなったかもわかりません。

   わかることとしては、馬超に勝利し隴右の平定に尽力したとして

   楊阜や趙昂ら11人が曹操から列侯されています」

コトタ「報われてはいるんですね」

なた「冒頭で無双の王異の馬超への恨みはオリジナル設定と言いましたが、

   記述がないだけで、馬超を恨んでいた可能性は大いにあるでしょう。

   まあ史上だと復讐劇は果たせているんですけどね」

コトタ「勝ってますしね」

なた「さて長くなってしまいました。

   前回があんな感じだったのでバランスは取れてるでしょう!

   楊阜伝にある王異の記述ほぼ全てを網羅したので当然ではあるのですが」

コトタ「前回みたいなことは今後ないようにしてくださいね!

    それでは次回をお楽しみに!」

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